45 / 303
過去~高校生編1
38
しおりを挟むあれからと言うもの、僕と玲人の関係はギクシャクしっぱなしだ。
それが僕のせいであることは分かっている。
分かっているけど…
あまりにもすべてが初めてすぎて。
どこから何に手をつけていいのか全然分からない。
一度自分の気持ちを認めてしまったらその思いは加速する一方で。
そのスピードに自分がついていけていないというのが事実だ。
ましてや自分が男であると言うこともかなりの足かせとなっている。
玲人は同性である僕などわざわざ選ばなくても女の子がこぞって向こうから寄ってくるような存在だ。
どうしたらいいんだろう。
あっちゃんはゆっくりでいいって言ってくれたけど。
身動きとれないでいるくせに焦ってしまう自分がいるんだ。
それでも毎日のランチはアイカワラズ三人一緒で。
少しだけ。
ほんの少しだけ勇気を出してみようと思った。
アスパラの豚肉巻き。
今度は落とさないようにしないと。
弁当箱にぎゅうぎゅうに収まっているそいつらは。
『うまくやれよ。』とでも言いたげに見える。
(うん、がんばります。)
「なぁ、玲人。お前今日の昼飯何?俺はね、肉まん!今年初。さっき授業抜けて買ってきたやつ。」
「……うるせぇ。」
「えー、教えてくれたってよくない?あ、もしかしてお前も肉まん食べたいとか?」
「別に。」
「まぁまぁ、そういうこともあるかと思って。じゃじゃーん!なんと五個も買っておきました。さすが、敦くん。」
「うぜぇ。」
二人が肉まんのやり取りをしている横から。
「あ…あの……」
恐る恐る会話に入ってみると二人の視線が一気にこちらへ向く。
「あの…玲人。これ、よかったら……」
おずおずと弁当からアスパラをつまみ玲人の前に持って行った。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
188
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる