僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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過去~高校生編1

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「とにかく、『玲人』だけでいいから。な、慶太」

「はぁ…」

「『はぁ…』じゃなくてさ。お前、俺の言ったこと分かってる?」

「…たぶん」


とりあえず呼び捨てにしろって言うことなんだよね。

名字で呼ばれるの嫌いなのだろうか。


「えっと~、すみませーん?二人の世界に入って俺のこと一人ぼっちにしないでくれますか~っ?」

オトモダチの人がヒラヒラと手を振ってみせる。


(…この人名前なんだったっけ?)


「ばかっ、ちげーし。敦、お前ノリうざい!」

「うわ。それちょっとひどくない?」


ギャーギャーと、それこそ小学生みたいに騒ぎだした二人に冷静に問いかける。

「あの。僕はもう行ってもいいでしょうか?」

正直この状態はバイト妨害もいいとこだ。

早く仕事に戻らないとマネージャーに怒られてしまう。


「えぇ~、もう行っちゃうの?俺全然話できてないのに」

「うるせぇ、敦。慶太はな、バイト中なの。邪魔すんじゃねぇよ!」


どちらかと言えば最初に邪魔したのは桐生玲人な気がするが。

「ま、いいか」とカウンターへ戻っていく僕に玲人が叫んだ。


「頑張れよ、慶太。また来るからな!」


社交辞令か、と相手にもしていなかった僕は、それが大きな間違いだと気づくのにそう時間はかからなかった。
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