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80.ピアス
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「あ。めっちゃ固っ!」
「痛っ! ちょっ……耳が千切れる!!」
ピアスを力いっぱい引っ張られて、オレは思わず叫んだ。
なんでそんな力任せにピアスを取ろうとしたの!? 今、呪文を唱えたんだったら、ここは魔法か何かで取るところじゃないの!?
いや、取られたいわけじゃないんだけど。オレは耳の痛みに涙目になりながら、ロロを睨みつけた。
「キミたちどんだけラブラブなのさ……」
呆れた様子で言われても、意味がわからない。
「なんなの!? どーゆーこと? これって一度つけたら外れないものなんでしょう!?」
「解呪の呪文を使えば簡単に取れるよ。こっちでその呪文を使える人がいないから、外せないって思われてるんだろうけど」
「はぁ!?」
「これはルグミアンで随分前に流行った、恋人同士がつけるピアスなんだよね。お互い想い合ってないとつけることができないし、想いが強ければ強いほど固くくっつくの。でも、解呪の呪文を使っても離れないのなんて初めて見たよ」
「あ、あはは……」
それはグエンがそれだけオレのことを強く想ってくれているからなんだろうけれど。それだけじゃなくて、オレもグエンのことが大好きだ。そんなことを、こんな理由で知ることになるとは……なんだか恥ずかしい。
「あー、もう……従順な方が扱いやすいんだけど、なんか面倒くさくなっちゃった。もうキミの意思とか関係なく連れて帰っちゃえばいっか」
「はいっ!? オレ達の想いに免じて、グエンのところに帰してくれるんじゃないの!?」
「なんでそんなことしなきゃなんないのさ。せっかく手に入れた希少生物なんだから、手放すなんて勿体ないでしょ。ミア姫を使ったハーブティーの実験は失敗しちゃったしさ。わかんないことだらけの収穫ナシで帰るなんてイヤだよ」
ていうか、ハーブティーの実験は失敗……?
「……それはどういうことだ?!」
ミア姫のお茶会で、ジェレール王子はオレにだけ毒を仕込むつもりだったらしい。だけど、何故か全員のカップに毒のハーブティーが注がれていた。それを用意したのはロロだろうとは思っていたけれど……
「うん? この前、ミア姫がキミ達に振舞ったハーブティーだよ。四人まとめて同じものを飲めば、毒耐性の個体差がわかりやすくていいかなって思ったんだよね」
ロロにとって、人に毒を飲ませるのは、好奇心を満たすためのただの実験だというのか?
「あ、そうだ。キミは何か知ってる? グエナエル王子とキミに毒は効かないのに、ジェレール王子には普通の毒でも効果があった理由。あの感じだと、ミア姫にも毒の耐性はないよね、きっと。それから、側室のペンダントも何かの魔道具みたいだけど、あれは一体どんな効果があるの?」
ペンダント……?
オレがこの世界にやって来た日のことを思い出す。
確か、黒くて大きな鳥がペンダントを持ち去ったハズだ。グエンのお母さんは見たこともない鳥だって言っていたけれど……
「もしかして……あの鳥も、ロロに関係が……?」
そういえば、ここに連れ去られる直前に見たのも大きくて黒い鳥だった気がする。あの鳥は、オレから王妃の従者を引き離した後、ロロの肩に止まっていた。
「あの鳥って?」
「大きくて黒い鳥……もしかして、あれは魔物なのか?」
あの時はよくわかっていなかったけれど、ここでは見たこともない生物は全部魔物だという。だから、もしかして……
「ああ、プリュノワのこと? あれは僕の鳥だよ。優しくていい子なんだ。こっちの人たちは魔物と意思疎通ができないから、全部ワルモノ扱いしちゃうけど、ちゃんと接すれば飼うことだってできるんだよ。嘘をつかない分、人間よりよっぽど信用できる」
以前から、王城内では様々な陰謀がはびこっていたらしい。ロロはそこに付け込んだにすぎないのかもしれない。だけど、オレがこの世界に来てから、グエンの周りでは色んなことが起きていた。そのほとんど全部がロロの仕業だったなんて……
こいつはただの好奇心で、いったいどれだけ王城内をひっかきまわしたのだろうか。
「質問にはちゃんと答えてあげたんだから、ほら、次はキミの番だよ。僕の知りたいことを教えてよ」
「痛っ! ちょっ……耳が千切れる!!」
ピアスを力いっぱい引っ張られて、オレは思わず叫んだ。
なんでそんな力任せにピアスを取ろうとしたの!? 今、呪文を唱えたんだったら、ここは魔法か何かで取るところじゃないの!?
いや、取られたいわけじゃないんだけど。オレは耳の痛みに涙目になりながら、ロロを睨みつけた。
「キミたちどんだけラブラブなのさ……」
呆れた様子で言われても、意味がわからない。
「なんなの!? どーゆーこと? これって一度つけたら外れないものなんでしょう!?」
「解呪の呪文を使えば簡単に取れるよ。こっちでその呪文を使える人がいないから、外せないって思われてるんだろうけど」
「はぁ!?」
「これはルグミアンで随分前に流行った、恋人同士がつけるピアスなんだよね。お互い想い合ってないとつけることができないし、想いが強ければ強いほど固くくっつくの。でも、解呪の呪文を使っても離れないのなんて初めて見たよ」
「あ、あはは……」
それはグエンがそれだけオレのことを強く想ってくれているからなんだろうけれど。それだけじゃなくて、オレもグエンのことが大好きだ。そんなことを、こんな理由で知ることになるとは……なんだか恥ずかしい。
「あー、もう……従順な方が扱いやすいんだけど、なんか面倒くさくなっちゃった。もうキミの意思とか関係なく連れて帰っちゃえばいっか」
「はいっ!? オレ達の想いに免じて、グエンのところに帰してくれるんじゃないの!?」
「なんでそんなことしなきゃなんないのさ。せっかく手に入れた希少生物なんだから、手放すなんて勿体ないでしょ。ミア姫を使ったハーブティーの実験は失敗しちゃったしさ。わかんないことだらけの収穫ナシで帰るなんてイヤだよ」
ていうか、ハーブティーの実験は失敗……?
「……それはどういうことだ?!」
ミア姫のお茶会で、ジェレール王子はオレにだけ毒を仕込むつもりだったらしい。だけど、何故か全員のカップに毒のハーブティーが注がれていた。それを用意したのはロロだろうとは思っていたけれど……
「うん? この前、ミア姫がキミ達に振舞ったハーブティーだよ。四人まとめて同じものを飲めば、毒耐性の個体差がわかりやすくていいかなって思ったんだよね」
ロロにとって、人に毒を飲ませるのは、好奇心を満たすためのただの実験だというのか?
「あ、そうだ。キミは何か知ってる? グエナエル王子とキミに毒は効かないのに、ジェレール王子には普通の毒でも効果があった理由。あの感じだと、ミア姫にも毒の耐性はないよね、きっと。それから、側室のペンダントも何かの魔道具みたいだけど、あれは一体どんな効果があるの?」
ペンダント……?
オレがこの世界にやって来た日のことを思い出す。
確か、黒くて大きな鳥がペンダントを持ち去ったハズだ。グエンのお母さんは見たこともない鳥だって言っていたけれど……
「もしかして……あの鳥も、ロロに関係が……?」
そういえば、ここに連れ去られる直前に見たのも大きくて黒い鳥だった気がする。あの鳥は、オレから王妃の従者を引き離した後、ロロの肩に止まっていた。
「あの鳥って?」
「大きくて黒い鳥……もしかして、あれは魔物なのか?」
あの時はよくわかっていなかったけれど、ここでは見たこともない生物は全部魔物だという。だから、もしかして……
「ああ、プリュノワのこと? あれは僕の鳥だよ。優しくていい子なんだ。こっちの人たちは魔物と意思疎通ができないから、全部ワルモノ扱いしちゃうけど、ちゃんと接すれば飼うことだってできるんだよ。嘘をつかない分、人間よりよっぽど信用できる」
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