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79.真実と嘘
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「え、嘘! マジで!? キミ、本当に異世界から来たの!?」
「……は?」
オレはロロの反応にポカンと口を開いた。
「ルグミアンでもポメガバースだなんて言葉は聞いたことないし。こっちの大陸でも初めて聞いたから、冗談で言ってみただけなんだけど」
「は、はぁぁ……!?」
冗談!? それなのに、オレは異世界から来たってことをうっかりバラしちゃったの!? そんなことをしたら、余計にロロに興味を持たれてしまうじゃないか!!
「い……いや、違うしっ!! オレ、異世界から来たんじゃないよっ!」
慌てて否定したけれど、今更そんなことを言ってもロロが信じる様子はない。
「ねぇねぇ、もしかして、キミは元の世界に帰りたいんじゃない!? それだったら、僕が帰る方法を教えてあげるから。一緒にルグミアンに行こうよ」
「……え? 元の世界に帰る方法があるの……?」
そう聞き返したのは、元の世界に帰りたかったからじゃない。
オレはこの世界でグエンと生きていくって決めたんだ。
だけど、気がかりなことがある。オレはうっかりこの世界に来てしまった。だから、ある日突然、うっかり元の世界に戻ってしまう……なんてことが起きないのかって……そりゃ、自由に行き来できればそれが一番いいんだろうけど……
「それはね。ルグミアンに行ったらわかるよ」
「っ……!! 行かない! 誰が行くか……!!」
ニヤニヤと笑って言う様子を見て、もしかしたらロロがまた適当なことを言っているのではないかとオレは疑った。それに、ここでロロについていったらグエンに二度と会えなくなる気がする。そんなのは絶対に嫌だ!
「この大陸では、未知の生き物は魔獣って呼ばれて怖がられるんでしょ? キミみたいに獣の姿になる相手を、こっちの人間が本気で愛するわけないじゃないか」
「そんなことはない!! グエンはオレのこと、本当に愛してくれていて……」
「それ、本当に信じられる? 愛してるだなんて、口先だけでなんとでも言えるよ。とくにグエナエル王子は、自分の都合のいいようにコトを運ぶのが上手じゃないか。ちゃっかりとジェレール王子のことも追い落としてしまったし。キミも王子の口車に乗せられて、いつの間にか都合よく扱われてるだけじゃないの?」
グエンのことを何も知らないロロにそんなことを言われたくない。
「オレはグエンのことが本当に好きだからずっと一緒に居るんだ!! 元の世界になんて帰る気はないし、おまえとルグミアンにも行く気はないっ!! 」
「ふーん。まぁ、いいや。お互いがどう思ってるかなんて、すぐわかることだし」
そう言ってロロはオレのピアスに手を伸ばした。
「ちょ……! 何するんだよ、やめろよ!!」
そのピアスは、グエンからもらった大切なものだ。それに触れようとしてくるロロの手から逃れようと、オレは身を捩った。
「ほらほら、暴れないで」
全身で抵抗するオレを抑えるために、ロロが身体の上に乗り上がってくる。
縄で縛られただけでなく、体重をかけて押さえつけられて、さらに身体の自由が利かなくなる。頭も押さえつけられてしまうと、上半身は身動きがとれなくなった。
オレの抵抗を封じると、ロロが何か呪文のようなものを唱えてピアスに触れた。
「……は?」
オレはロロの反応にポカンと口を開いた。
「ルグミアンでもポメガバースだなんて言葉は聞いたことないし。こっちの大陸でも初めて聞いたから、冗談で言ってみただけなんだけど」
「は、はぁぁ……!?」
冗談!? それなのに、オレは異世界から来たってことをうっかりバラしちゃったの!? そんなことをしたら、余計にロロに興味を持たれてしまうじゃないか!!
「い……いや、違うしっ!! オレ、異世界から来たんじゃないよっ!」
慌てて否定したけれど、今更そんなことを言ってもロロが信じる様子はない。
「ねぇねぇ、もしかして、キミは元の世界に帰りたいんじゃない!? それだったら、僕が帰る方法を教えてあげるから。一緒にルグミアンに行こうよ」
「……え? 元の世界に帰る方法があるの……?」
そう聞き返したのは、元の世界に帰りたかったからじゃない。
オレはこの世界でグエンと生きていくって決めたんだ。
だけど、気がかりなことがある。オレはうっかりこの世界に来てしまった。だから、ある日突然、うっかり元の世界に戻ってしまう……なんてことが起きないのかって……そりゃ、自由に行き来できればそれが一番いいんだろうけど……
「それはね。ルグミアンに行ったらわかるよ」
「っ……!! 行かない! 誰が行くか……!!」
ニヤニヤと笑って言う様子を見て、もしかしたらロロがまた適当なことを言っているのではないかとオレは疑った。それに、ここでロロについていったらグエンに二度と会えなくなる気がする。そんなのは絶対に嫌だ!
「この大陸では、未知の生き物は魔獣って呼ばれて怖がられるんでしょ? キミみたいに獣の姿になる相手を、こっちの人間が本気で愛するわけないじゃないか」
「そんなことはない!! グエンはオレのこと、本当に愛してくれていて……」
「それ、本当に信じられる? 愛してるだなんて、口先だけでなんとでも言えるよ。とくにグエナエル王子は、自分の都合のいいようにコトを運ぶのが上手じゃないか。ちゃっかりとジェレール王子のことも追い落としてしまったし。キミも王子の口車に乗せられて、いつの間にか都合よく扱われてるだけじゃないの?」
グエンのことを何も知らないロロにそんなことを言われたくない。
「オレはグエンのことが本当に好きだからずっと一緒に居るんだ!! 元の世界になんて帰る気はないし、おまえとルグミアンにも行く気はないっ!! 」
「ふーん。まぁ、いいや。お互いがどう思ってるかなんて、すぐわかることだし」
そう言ってロロはオレのピアスに手を伸ばした。
「ちょ……! 何するんだよ、やめろよ!!」
そのピアスは、グエンからもらった大切なものだ。それに触れようとしてくるロロの手から逃れようと、オレは身を捩った。
「ほらほら、暴れないで」
全身で抵抗するオレを抑えるために、ロロが身体の上に乗り上がってくる。
縄で縛られただけでなく、体重をかけて押さえつけられて、さらに身体の自由が利かなくなる。頭も押さえつけられてしまうと、上半身は身動きがとれなくなった。
オレの抵抗を封じると、ロロが何か呪文のようなものを唱えてピアスに触れた。
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