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第14話 イガードと魔術師アイ、鎧の迷宮デート
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「すまないイガード待っていたか?」
「待っていたな、5分38秒ほど」
「ははそれは細かいデータで助かるぜ、魔術師的に」
「そだ、そうじゃなくて。久しぶりだなイガード」
「あぁ、久しぶりだ魔術師アイ」
いつもの青いジーンズと一瞬のイメージ構築で選んだ適当な上を着て出掛けていた魔術師アイは、視線を下からなめるように見上げていき。
少しにごった白パンプス白いロングスカート、淡い白ベージュのシャツ。
白系統で統一されたその洒落たもの、いつもは履いていなかったロングスカート。
うなじと絡んだ毛をそっと右手でなであげた黒い瞳は彼の目と合い少し見開き。
「…………」
「あ、いやはは」
「……手紙はもらったが俺に会って良かったのか?」
「カスミも会っていた」
「なんで知ってんだよ」
「…………」
イガードはそう言われ考え込んでしまい、アイはそれに少し苦笑いをし、つづけた。
「そうか、で」
「……すまない。ミラータワーの下まで付き合ってくれないか」
手紙の内容にあった防具屋での買い物のことだ、返事はもちろん。
「あぁはやくいこうぜ! 人ごみに居座るのはユニークじゃないからな」
金髪は元気にワラいかけ、ノーマルな表情でいたイガードはそれに釣られた。
▼▼▼
▽▽▽
たどり着いたのはミラータワーの下その賑わいの近辺にある望鏡者の武器や防具を売っている店だが。店の中にさらに店があった、鏡の欠片だ。しかもCランク以上が条件……危なかったぜ、魔術師アイ。
こうした望鏡者の必要アイテムがそろった総合的な武具店に専門的な店をさらに鏡の中の店として置いておくのは一般的だ。望鏡者は多種族多様、人族専用ばかりではないのだからな。
開けた黄色い野に、鎧がずらり。青い天の下で鎧の迷路を2人はゆっくりと歩いていき。
新しい鎧選びだとか。
頼ったのだろう、センスのいい俺にどれがいいかをな。
もちろん断りなんかしない。一緒のパーティーだったときもイガードは静かでいいやつだ……静かならいいやつ? まぁあまり知らないな、でもいいやつだろう。だからカスミがパーティーに誘って入れている、俺ももちろん反対なんてしなかった。鏡騎士、重騎士としての腕も確かだ。
「目当てはあったのかイガード?」
「まだ……分からないな」
顎に手をおきながら立ち止まり横目にアイを見つめたイガード、数秒。
まぁ、だから呼ばれたんだろうな……。アレンジイメージユニークな俺を。
その瞳で悟ったアイは微笑い先を行き。イガードのためイメージ構築しながらの選別を開始した。
開放感あふれる店内……には鎧がいっぱいある。にしてもフルプレートの鎧がここまでたくさんあるのはこの店ぐらいか? ここまで取り揃えている店主にきいた方が早いんじゃ……いや、イガードは魔術師アイのセンスを信頼しているところがあるからな、悪品つかまされないように俺がしっかりしないとな。
よし、デザインと性能重視だ。
雑多な鉄色の鎧は素通りし、目に入ったのは。
ピンクゴールド。
これは!? 燃えるようなナイスカラーのデザイン。それに気力カーゴの板と同じで気力が通りやすいみたいだ防御性能もバッチリなはずだ。カーゴ屋シジメも協力して作ったか……いいな!
目に止まった鎧の首からかけられていた説明書きの木板を読み込み、うんうんと頷いた魔術師アイ。
そんな彼の後ろを鉄色の迷宮をかき分けてぴったりついて来ていた彼女。
「これはどうだイガード」
「これは……魔術師アイ、何がいいんだ。戦うにはピンク過ぎないか?」
「おい、相変わらずだなまったく。なんというか燃えるようなものを感じないか。可愛いだけじゃなく強く燃えているバランス! イメージが湧いてくるユニークじゃないか。俺は炎魔術が好きだしな、なんかこの珍しい色を見てるとイメージが止まらない」
「……なるほど、たしかにそう思えてきた。これにしよう」
燃えるような力説を出力した魔術師の言葉を真剣に鵜呑みに。
すでにイガードはそのピンクの鎧を撫で上げたり、見つめ纏ったイメージを思考しモーニングスターを振るう真似をしていた。
あまりの食いつきに勧めた本人魔術師アイもその熱心な背を苦笑う。
「ははえっと他はいいのか?」
「イヤ、これしかないようにみえてきた。メラメラと燃えるものを感じる」
……こいつ、やっぱりか。少々魔術師アイを盲信しすぎるきらいがあるからな。だがそれもイメージ構築済みだ。既にもう一つめぼしいのを見つけている。
「他にもあるぞ……? これとかフルプレートだが澄んだ湖の騎士のような美人なフォルムだ、軽量加工だが防御性能も」
「燃えていないな。やはりあのピンクゴールド? アレンジイメージユニークに燃えていた」
「たしかに燃えてはいないが……。ってそれ俺のだろ」
「ふ。やはりこちらだ魔術師アイ」
めぼしい湖の騎士の鎧もその彼女の黒目にうつりピンクゴールドに燃え盛るものには勝てなかったようだ。
「そうか……お前がいいならそれが一番いいな! 俺も付き合った甲斐がある」
「あぁ、本当にこれがほしい私は」
何が良いのか分からないと言っておき、その鎧を愛おしく撫で上げるその彼女の表情の変わりように魔術師アイは心から笑いの表情を浮かべてしまった。
「そうだ、すまないイガードそれ、いくらだ?」
「値段は……」
探せど探せど、値札は無かった。
イガードは鎧の背や、案山子を持ち上げ探していき。
「金貨79枚」
「魔術師アイ……炎魔術が好きだよな」
「それは無理をアレンジしすぎだろ……イガード」
白いロングスカートが不死鳥の兜を被り、前のバイザーを開ける。
ひらりと野に落ちた紙ぺらと金貨79枚を纏った彼女の姿に、苦笑うしかなかった。
「待っていたな、5分38秒ほど」
「ははそれは細かいデータで助かるぜ、魔術師的に」
「そだ、そうじゃなくて。久しぶりだなイガード」
「あぁ、久しぶりだ魔術師アイ」
いつもの青いジーンズと一瞬のイメージ構築で選んだ適当な上を着て出掛けていた魔術師アイは、視線を下からなめるように見上げていき。
少しにごった白パンプス白いロングスカート、淡い白ベージュのシャツ。
白系統で統一されたその洒落たもの、いつもは履いていなかったロングスカート。
うなじと絡んだ毛をそっと右手でなであげた黒い瞳は彼の目と合い少し見開き。
「…………」
「あ、いやはは」
「……手紙はもらったが俺に会って良かったのか?」
「カスミも会っていた」
「なんで知ってんだよ」
「…………」
イガードはそう言われ考え込んでしまい、アイはそれに少し苦笑いをし、つづけた。
「そうか、で」
「……すまない。ミラータワーの下まで付き合ってくれないか」
手紙の内容にあった防具屋での買い物のことだ、返事はもちろん。
「あぁはやくいこうぜ! 人ごみに居座るのはユニークじゃないからな」
金髪は元気にワラいかけ、ノーマルな表情でいたイガードはそれに釣られた。
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▽▽▽
たどり着いたのはミラータワーの下その賑わいの近辺にある望鏡者の武器や防具を売っている店だが。店の中にさらに店があった、鏡の欠片だ。しかもCランク以上が条件……危なかったぜ、魔術師アイ。
こうした望鏡者の必要アイテムがそろった総合的な武具店に専門的な店をさらに鏡の中の店として置いておくのは一般的だ。望鏡者は多種族多様、人族専用ばかりではないのだからな。
開けた黄色い野に、鎧がずらり。青い天の下で鎧の迷路を2人はゆっくりと歩いていき。
新しい鎧選びだとか。
頼ったのだろう、センスのいい俺にどれがいいかをな。
もちろん断りなんかしない。一緒のパーティーだったときもイガードは静かでいいやつだ……静かならいいやつ? まぁあまり知らないな、でもいいやつだろう。だからカスミがパーティーに誘って入れている、俺ももちろん反対なんてしなかった。鏡騎士、重騎士としての腕も確かだ。
「目当てはあったのかイガード?」
「まだ……分からないな」
顎に手をおきながら立ち止まり横目にアイを見つめたイガード、数秒。
まぁ、だから呼ばれたんだろうな……。アレンジイメージユニークな俺を。
その瞳で悟ったアイは微笑い先を行き。イガードのためイメージ構築しながらの選別を開始した。
開放感あふれる店内……には鎧がいっぱいある。にしてもフルプレートの鎧がここまでたくさんあるのはこの店ぐらいか? ここまで取り揃えている店主にきいた方が早いんじゃ……いや、イガードは魔術師アイのセンスを信頼しているところがあるからな、悪品つかまされないように俺がしっかりしないとな。
よし、デザインと性能重視だ。
雑多な鉄色の鎧は素通りし、目に入ったのは。
ピンクゴールド。
これは!? 燃えるようなナイスカラーのデザイン。それに気力カーゴの板と同じで気力が通りやすいみたいだ防御性能もバッチリなはずだ。カーゴ屋シジメも協力して作ったか……いいな!
目に止まった鎧の首からかけられていた説明書きの木板を読み込み、うんうんと頷いた魔術師アイ。
そんな彼の後ろを鉄色の迷宮をかき分けてぴったりついて来ていた彼女。
「これはどうだイガード」
「これは……魔術師アイ、何がいいんだ。戦うにはピンク過ぎないか?」
「おい、相変わらずだなまったく。なんというか燃えるようなものを感じないか。可愛いだけじゃなく強く燃えているバランス! イメージが湧いてくるユニークじゃないか。俺は炎魔術が好きだしな、なんかこの珍しい色を見てるとイメージが止まらない」
「……なるほど、たしかにそう思えてきた。これにしよう」
燃えるような力説を出力した魔術師の言葉を真剣に鵜呑みに。
すでにイガードはそのピンクの鎧を撫で上げたり、見つめ纏ったイメージを思考しモーニングスターを振るう真似をしていた。
あまりの食いつきに勧めた本人魔術師アイもその熱心な背を苦笑う。
「ははえっと他はいいのか?」
「イヤ、これしかないようにみえてきた。メラメラと燃えるものを感じる」
……こいつ、やっぱりか。少々魔術師アイを盲信しすぎるきらいがあるからな。だがそれもイメージ構築済みだ。既にもう一つめぼしいのを見つけている。
「他にもあるぞ……? これとかフルプレートだが澄んだ湖の騎士のような美人なフォルムだ、軽量加工だが防御性能も」
「燃えていないな。やはりあのピンクゴールド? アレンジイメージユニークに燃えていた」
「たしかに燃えてはいないが……。ってそれ俺のだろ」
「ふ。やはりこちらだ魔術師アイ」
めぼしい湖の騎士の鎧もその彼女の黒目にうつりピンクゴールドに燃え盛るものには勝てなかったようだ。
「そうか……お前がいいならそれが一番いいな! 俺も付き合った甲斐がある」
「あぁ、本当にこれがほしい私は」
何が良いのか分からないと言っておき、その鎧を愛おしく撫で上げるその彼女の表情の変わりように魔術師アイは心から笑いの表情を浮かべてしまった。
「そうだ、すまないイガードそれ、いくらだ?」
「値段は……」
探せど探せど、値札は無かった。
イガードは鎧の背や、案山子を持ち上げ探していき。
「金貨79枚」
「魔術師アイ……炎魔術が好きだよな」
「それは無理をアレンジしすぎだろ……イガード」
白いロングスカートが不死鳥の兜を被り、前のバイザーを開ける。
ひらりと野に落ちた紙ぺらと金貨79枚を纏った彼女の姿に、苦笑うしかなかった。
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