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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-セン: 決死
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急接近。
さっきもそうだ、この目で速さが捉えられないほどのスピードでヤツは移動し、
今、たった今僕の眼前にて、その刃を振ろうとしている———!
何が。
何が、今の僕にとっての最適解だろうか。
イデアさんの再起———は、望めない。決死の時間稼ぎさえもままならない。
そもそもここが機神神核への道ではないことは、先程の通話でほぼ確定的なのだ。
だから逃亡、そのままくいなたちと合流———なんて方法もアリだが、結局のところ敵を———レインを誘き寄せて結果的に挟み撃ちにされるだけである。
そもそも神核へと繋がらないであろうこの道に1番隊の隊長がいること自体おかしいんだ、ならばゴルゴダ機関1番隊隊長以上の化け物が、神核を守護していると捉えていいだろう。
ならばよりダメだ、ここで逃げちゃダメなんだ、コイツだけは確実にここで、僕が倒さなくちゃいけないんだ、だからこそその為に、その為だけに思考を回す。
「……っふう……っ!」
3本の爆剣を構えた腕が2つ———合計6本の振り回された爆剣を、手刀によって生じた魔力斬撃で弾く。
だが、いつまでもこの状況が続くとは思い難い。なにせよ相手が持っているのは爆剣だ、いくら少しとは言えど、こちらより射程が長いのは確実。
既に詰められ至近線を強いられているこの状況にて、それはかなりの不利的条件となる。
ならば、ならば僕はどうすべきか。
助けは呼べない、切り札も———発動できるかは分からない。
体力もない、魔力もない、使える魔術すらあまりにも限られすぎている。
大体魔力が切れて魔力斬撃を纏わせた手刀が消え去った瞬間に僕は終わりだ、その瞬間に僕の腕はその骨ごと斬り落とされる。
無力、だった。
久しぶりだった、どうしようもない絶望、抗い難い無力感。
嘆くことすら無駄に近い、圧倒的な実力差。
勝てない。というか、死ぬ。
今度こそは、本当に、絶望しかなかった。
今までは、今までは、希望も1つぐらいはあったのだ。
今まではその僅かな希望を、なんとかして手繰り寄せて勝利を掴んできた。
だが、今回はそんな僅かな希望すら潰えた。
勝機はない、手繰り寄せる糸すら残っちゃいないのだ。
———じゃあ、甘んじて死を待つか?
……諦めちゃダメだ、だがしかし冷静になれ。
「はあっ、はあっ、はあ、あああっ……!」
「ふんっ!」
後ろにのけ反り返った瞬間、爆剣の切っ先が正面腹部に擦れる。
「後退は無駄を生む、貴様はここで終わりだ」
真上に飛び散る僕の血、一瞬のみ冷たいと感じた腹は、いつの間にか激痛と暖かさで塗れていた。
「あ…………っ、っぎ……っ!」
飛び散った血を頭からかぶる。というよりも顔面から。
それでも敵は攻撃の手を休めはしない。
その刃が、頭より振り下ろされる———!
さっきもそうだ、この目で速さが捉えられないほどのスピードでヤツは移動し、
今、たった今僕の眼前にて、その刃を振ろうとしている———!
何が。
何が、今の僕にとっての最適解だろうか。
イデアさんの再起———は、望めない。決死の時間稼ぎさえもままならない。
そもそもここが機神神核への道ではないことは、先程の通話でほぼ確定的なのだ。
だから逃亡、そのままくいなたちと合流———なんて方法もアリだが、結局のところ敵を———レインを誘き寄せて結果的に挟み撃ちにされるだけである。
そもそも神核へと繋がらないであろうこの道に1番隊の隊長がいること自体おかしいんだ、ならばゴルゴダ機関1番隊隊長以上の化け物が、神核を守護していると捉えていいだろう。
ならばよりダメだ、ここで逃げちゃダメなんだ、コイツだけは確実にここで、僕が倒さなくちゃいけないんだ、だからこそその為に、その為だけに思考を回す。
「……っふう……っ!」
3本の爆剣を構えた腕が2つ———合計6本の振り回された爆剣を、手刀によって生じた魔力斬撃で弾く。
だが、いつまでもこの状況が続くとは思い難い。なにせよ相手が持っているのは爆剣だ、いくら少しとは言えど、こちらより射程が長いのは確実。
既に詰められ至近線を強いられているこの状況にて、それはかなりの不利的条件となる。
ならば、ならば僕はどうすべきか。
助けは呼べない、切り札も———発動できるかは分からない。
体力もない、魔力もない、使える魔術すらあまりにも限られすぎている。
大体魔力が切れて魔力斬撃を纏わせた手刀が消え去った瞬間に僕は終わりだ、その瞬間に僕の腕はその骨ごと斬り落とされる。
無力、だった。
久しぶりだった、どうしようもない絶望、抗い難い無力感。
嘆くことすら無駄に近い、圧倒的な実力差。
勝てない。というか、死ぬ。
今度こそは、本当に、絶望しかなかった。
今までは、今までは、希望も1つぐらいはあったのだ。
今まではその僅かな希望を、なんとかして手繰り寄せて勝利を掴んできた。
だが、今回はそんな僅かな希望すら潰えた。
勝機はない、手繰り寄せる糸すら残っちゃいないのだ。
———じゃあ、甘んじて死を待つか?
……諦めちゃダメだ、だがしかし冷静になれ。
「はあっ、はあっ、はあ、あああっ……!」
「ふんっ!」
後ろにのけ反り返った瞬間、爆剣の切っ先が正面腹部に擦れる。
「後退は無駄を生む、貴様はここで終わりだ」
真上に飛び散る僕の血、一瞬のみ冷たいと感じた腹は、いつの間にか激痛と暖かさで塗れていた。
「あ…………っ、っぎ……っ!」
飛び散った血を頭からかぶる。というよりも顔面から。
それでも敵は攻撃の手を休めはしない。
その刃が、頭より振り下ろされる———!
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