Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

文字の大きさ
上 下
75 / 256
激震!勇魔最終戦争…!

最終決戦Ⅱ〜炸裂、流星爆裂魔法〜

しおりを挟む
◇◇◇◇◇◇◇◇

 そうして、それは地上に舞い降りた。

 瞬間、辺りが照らされ、あまりにも巨大すぎる呪いの「カミ」の姿が全面的に晒される。
 黒のモヤだらけのその身体は、とても神とは思えないほどの瘴気に呑まれていた。

 ……が、そのモヤに突き刺さる3本の虹の矢。

「ア、アアアアアアアアアア!!!」

 蠢くカミ。
 上半身のような身体……のみだったが、ヒトの身体を模し、大穴から這い上がるその姿はまるで何か、言いようのないモノに抗うような様だった。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 轟音と共に光り輝く希望の虹。
 その最中にて。

「……やっぱりだ、奇跡は起こった……!」

「会いに来たわよ、白……!」

「……サナ、お前が来たってことは、勝機はあるんだな……!」

「…………もちろん……みんなで作り上げた、最高の、めっっっちゃキレイな最強の魔法!!」

 上空より、天使のように舞い降りた魔法使いは、今にも勝ち誇った顔で言い放った。



「いつにも増して語彙力……減ってないか……?」



「アアアアアアアアアア……ウウウウウウウアアアアアアアアアア!!!!」
「うるっ……せえ……!」

「アアア…………アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 声にならない呻き声。
 その屍を、俺たちは踏み越えてゆく……!



「天と地と海を紡げ、星座の瞬きよ。暗き、暗き空に陽は堕ち、天頂に座する神もまた同じく。

 しかして出でよ、救世の法術。暗き深淵より来たれ、流星の輝きよ。
 人の身に、抗いを。
 人の世に、救いを。
 終末の再来を。天堂の主に、贖いを……!

 輪廻の渦に、終焉を……!!」


 宙に瞬く虹の魔法術陣、その全ての矛先が「カミ」へと向けられる。
 サナは最後の準備、最後の詠唱を終わらせていた。

「……全く、詠唱ってのは魔法の発動を早めるためにあるってのに、これじゃ長すぎだっての」

 上空。暗黒と呪いの風吹き荒れる最中にて、光は未だ途切れず。



「俺も杖、持つのか?」
「……当たり前よ、言ってたでしょ、爆裂魔法使ってみたい、って!」

 白とサナ、2人で杖を持ち、ありったけの魔力を流し込む。

「白、コレはみんなが分け与えてくれた希望の魔力……王都のみんなから、少しずつ分け与えられた最後の魔力よ……!」

 十人十色、虹色に可視化された魔力が、俺たち2人を包み込む。
「そっか、みんなが俺たちの為に……!」

「……そう、なんたって私たちはワンダー・ショウタイム! 奇跡なんて、いくらでも起こしてあげるわよ!!」

 その虹は、まるで奇跡のように。

「……何回も起きる奇跡なんて……奇跡とは呼べねーけどな!」

 2人で、杖を振りかざす。
 終わりだ、カミ様……!


「いくわよ白! 超ウルトラスーパーカッコいい奇跡の技!!!!」
「見せてやる、俺たちの力!」


 あの日。
 人界軍に追われながらも出会った少女が、今は横にいて。

 あの日。
 人類に楯突く為に戦っていた俺たちは、今や人類を守る為に戦っていて。

 あの日。
 覚悟が決められずに、ただただ泣いているばかりだった俺は、決意を固めてここにいて。

 あの日。
 交わされた約束は、ついにここまで辿り着いたのだ。



「メテオ~ッ!」
「メ、メテオ~ッ!」
「「エクス……プロージョンッ!!!!」」


 超ウルトラスーパーカッコいい奇跡の技……って何だって話だけども。



 メテオ・エクスプロージョン。
 かつてこの地に放たれた人類最強の混合魔法、攻撃手段は、
 その暗黒の星に、希望をもたらした。


しおりを挟む
感想 203

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

グレイス・サガ ~ルーフェイア/戦場で育った少女の、夢と学園と運命の物語~

こっこ
ファンタジー
◇街角で、その少女は泣いていた……。出会った少年は、夢への入り口か。◇ 戦いの中で育った少女、ルーフェイア。彼女は用があって立ち寄った町で、少年イマドと出会う。 そしてルーフェイアはイマドに連れられ、シエラ学園へ。ついに念願の学園生活が始まる。 ◇◇第16回ファンタジー大賞、応募中です。応援していただけたら嬉しいです ◇◇一人称(たまに三人称)ですが、語り手が変わります。  誰の視点かは「◇(名前)」という形で書かれていますので、参考にしてください ◇◇コンテスト期間中(9月末まで)は、このペースで更新していると思います  しおり機能で、読んだ場所までジャンプするのを推奨です…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

噂(うわさ)―誰よりも近くにいるのは私だと思ってたのに―

日室千種・ちぐ
ファンタジー
身に覚えのない噂で、知らぬ間に婚約者を失いそうになった男が挽回するお話。男主人公です。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...