精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果

あーもんど

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本編

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 ······えっ?は·····?私が他の男と寝た?え?どういうこと?

 彼の言っていることが滅茶苦茶すぎて、思考が追い付かない······。
呆然とする私を置いて、ノア様は言葉を続けた。

「アリスは不特定多数の男性と関係を持ち、私の信用を裏切りました!これは許される行為ではありません!」

「ほ、他の男と関係を持った······?それも不特定多数の男と······?あの真面目で礼儀正しいアリス嬢が?」

「信じられないかもしれませんが、これは揺るぎない事実です!」

 自信満々の様子で『事実だ』と言い切るノア様だったが、残念ながらこれは真っ赤な嘘である。
事実なんて、これっぽっちも含まれていない。
 だが、今それを知っているのは当事者である私とノア様だけだ。

「そ、それが事実だとして······クレア嬢と何の関係があるんだ?」

「クレアは私が落ち込んでいる時に優しく慰めてくれたんです!アリスに裏切られたことで出来た傷も、クレアのおかげで無事癒えました!なっ?クレア」

「は、はい·····その通りです」

 クレア様は躊躇いながらも、ノア様の意見に同調する。
────この瞬間、私を見る周囲の目が変わった。
 これは濡れ衣なのに······私は全く悪いのに······周囲は私を責め立てるように睨み付けてくる。

 何故、私が責められるんだろう?何故、私がこんな目に遭わないといけないんだろう?何故、私が二人の幸せのために不幸ならないといけないんだろう?
何故、私がっ·······!!!

「アリス嬢、この件に関してはまた後日話を······」

「────うるさいっ!」

 カッ!と頭に血が上った私は陛下の温情を跳ね除ける。
まあ、そもそも濡れ衣なので温情も何も無いが······。

「あ、アリス嬢······?」

「ははっ!ついに本性を表したな!アリス!」

 我が意を得たりとばかりにノア様はほくそ笑む。
その笑みが更に私の怒りを煽った。

「もういい······もういいっ!!こんな茶番うんざりだわ!もう我慢の限界よ!!貴方にはほとほと愛想が尽きたわ!」

 今まで溜まってきた鬱憤が一気に溢れ出す。
感情の昂りに合わせて溢れ出す涙を拭い、私は叫んだ────最も信頼する者の名を。

「今すぐこの地獄を終わらせて────サナトス!!」

 私の呼び声に応じて、床に巨大な魔法陣が浮かび上がる。
銀色に輝く魔法陣から、銀髪金眼の美青年が姿を現した。
ハラリと銀色に光る長い髪が宙に舞う。
 ────終焉を招く精霊王が今、降臨を果たした。
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