私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

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第一章

狩猟大会③

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「ねぇ、今からでも私の元へ来ないかい?後悔はさせないよ?それ相応の謝礼だって、用意する」

 玉座のような造りの椅子から身を乗り出し、エレン殿下は『どうだい?』と詰め寄る。
期待に胸を膨らませる彼の前で、私達は苦笑を浮かべた。

「せっかくの申し出ですが……」

「私達はもうルパート殿下について行く、と決めていますので」

「エレン殿下のお気持ちには、応えられません」

 『申し訳ございません』と一様に頭を下げ、私達はキッパリと断る。
迷うことも揺れることもなく自分達の意志を貫くと、エレン殿下はガクリと肩を落とした。

「やっぱり、ダメかぁ……まあ、これでコロッと乗り換えられても嫌なんだけどさ。私が欲しいのは、絶対忠誠を誓ってくれる子達だからね。あっさり主を裏切るような者は、求めていない……からこそ、本当に惜しい」

 『まさに理想の臣下達なのに……!』と嘆き、エレン殿下は物欲しそうな目でこちらを見た。
が、私達の意志は変わらず……不毛な睨み合いならぬ、見つめ合いをする羽目に。
『なんだろう?この時間は……』と早くも居心地の悪さを感じていると、ヴィンセントが顔を上げる。

「本当に申し訳ございません、殿下。ただ、我々は同じ志を持つ身同士。どこかで力を合わせるような場面が、あるやもしれません。そのときはどうぞ、よろしくお願いします」

 ────第二皇子派の牽制及び排除については、共闘を望む。

 ということを遠回しに伝え、ヴィンセントは優雅に一礼した。
『では、我々はここら辺で』と言い、踵を返す彼の前で、私とアイリスもお辞儀する。
どことなく悪い顔をしているエレン殿下を一瞥し、ヴィンセントの後に続いた。

「やはり、エレン殿下は第二皇子のことをよく思っていないようだね。共闘は充分可能だと思うよ」

 『なかなかの好感触だった』と語り、ヴィンセントはスッと目を細める。

「思ったより楽に、暴れ馬を処分出来るかも」

 第二皇子のテントへ足を向けながら、ヴィンセントは不敵に笑った。
と同時に、第二皇子の従者から呼び止められる。

「申し訳ございません……現在、殿下はその……体調を崩しておりまして、挨拶はお控えいただきたく……」
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