聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!

つくも/九十九弐式

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二人の四天王との闘い

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目の前にいるのは四天王の一人、真祖の吸血鬼カーミラ。だが、事態はそれにとどまらない。敵となったバハムートがいるだけでも大変なのに。

 雷撃が走る。ほとばしる電流と共に姿を現したのは一匹の雷竜だった。
 そしてその雷竜にまたがる人物。見覚えがあった。エルフ国で交戦した経験があった。ダークエルフ。魔法剣士。四天王の一人ゼロティアである。

「……貴様はあの時の錬金術師か」

「おやおや。ゼロティアは以前に面識がありましたか」

「……ああ。エルフの国で刃を交えた。奴は侮れない。規格外の錬成物を作り出すからな」

「それはそれは。私も警戒せねばなりませぬね」

 カーミラは笑う。

「……どうします?」

 状況は最悪だ。フィアとフィルに聞いた。

「バハムート様はどうしてああなったんですか?」

「精神支配系のアイテムを使用されたそうです。恐らくは伝説級のアイテムを使用したのでしょう」

 魔王が残したとされた伝説のアイテムがいくつかあると文献で読んだ事があった。そのうちのひとつかもしれない。

「治せるんですか?」

「この状況で今すぐというわけにはいきませぬ。下準備が必要です。それよりあなた達はあの二人に時間を稼げますか? 勝てとは言いません。恐らくは無理でしょうから」

 フィルとフィアは見たところSランク相当の竜人である。だが、かといって相手は魔王の四天王である。そのランクはEX相当だ。勝つのは困難だ。

「わからない。けどバハムート様の為ならやるしかない!」
「私もフィアと同じ。やるしかないならやる!」

「良い心掛けです。でしたらリーネさんはフィアさんに加勢、リーシアさんはフィルさんを回復魔法でフォローしてください!」

「「はい! 先生!」」

「私とイシスさんでバハムートを何とかします」

 エルクはそう言ってアイテムを取り出す。眼鏡を取り出した。

「おやおや。遊び相手は決まったでありますか?」

 フィアがカーミラの前に立つ。

「お前の相手は私がする!」
「私もです!」

 リーネは剣を構える。

「竜化(ドラゴンモード)!」
 
 フィアはその姿を炎の竜の姿に変えた。巨大な火竜が姿を現す。

「おやおや。これは少しは楽しめそうでありますね」

 カーミラは嬉しそうに笑みを浮かべる。

「……私の相手は貴様達か」

「竜人双子姉妹の妹! 氷竜のフィルが相手をするよ!」

「ついでに白魔導士の私もフォローします」

 ゼロティアの目の前にフィルとリーシアが立つ。リーシアは回復役なのでだいぶ後方に立っているが。

「竜化(ドラゴンモード)!」
 
 フィルもフィアと同じく竜形態へ移行する。巨大な氷竜が姿を現す。

「私もカーミラと同意見だ。少しは楽しめそうだ。退屈しなそうで良い」

 ゼロティアは笑った。

「こないでありますか? だったらこちらから行くでありますよ! 眷属召喚!」

 カーミラは蝙蝠の眷属を無数に召喚した。蝙蝠の群れはフィアに襲い掛かる。

「わっ! なにこいつら!」

「吸血蝙蝠であります。放っておいてもダメージを与えてその分私を回復させてくれるであります」

「く、くそっ! このっ!」

 フィアは炎を吐いて眷属を死滅させる。蝙蝠のHPはそう高くはない。

「……これは小手調べでございます。闇魔法ブラッディペイン!」

 カーミラは闇魔法を使う。天空に現れた赤い球体が血の槍を無数に降らせた。

「きゃああああああああああああああああああああ!」
 
 フィアは悲鳴をあげる。血の槍に鋼鉄よりも硬い皮膚を貫かれた。かなりのダメージ量なのだろう。竜の皮膚を貫くとは。

「ふふふっ。竜のくせに随分と可愛い声で鳴くでありますね」

「いつまでもやらせますかっ!」

 リーネは剣を振るい、カーミラに襲い掛かる。しかしカーミラの赤い爪が鋭く伸び、その剣を防いだ。

「なっ!?」

「あなたでは些か私の相手にはレベル不足であります。出直してくるであります」

「きゃっ!」

 弾かれたリーネは尻もちを着いた。

「……テトラ! ライトニングブレス!」

 強烈な電撃が氷竜フィルを襲う。雷竜テトラの雷のブレスだ。

「きゃああああああああああああああああああああ!」

「フィルさん! 回復魔法(ヒーリング)!」

「こっの! フロストブレス!」
 
 氷竜フィルは氷のブレスを吹いた。激しい氷のブレスがゼロティアと雷竜テトラを襲う。

「甘いなっ! マジックシールド!」

 魔法の盾が雷竜テトラを守る。

「……食らうが良い! ライトニングストーム!」

 ゼロティアの雷魔法が再びフィルを襲った。

「きゃああああああああああああああああああああああああ!」

 再びの悲鳴。流石の氷竜でもこう連続で強力な雷撃を食らうとつらそうだった。フィルのHPはかなり削られた様子だ。リーシアの回復魔法でも焼け石に水だろう。

 一方その頃。その事を眼中にもおかず、自国に破壊行動をしているバハムートをエルクは見据える。エルクは普段かけていない眼鏡をかけていた。

「先生、なんで眼鏡をかけたんですか」そうイシスは聞いた。

「これはアナライズゴーグルという私の錬成物です」

「アナライズゴーグル?」

「ええ。アナライズの魔法と同じ効果を得られます」

 エルクはゴーグルでバハムートを見据えた。

『バハムート。種族竜種。レベル100。ランク『EX』。保有スキル竜王結界。ランクS以下の物理、魔法攻撃の無効化。HP30000』

「HP30000ですか……流石竜王バハムート。規格外のHPです」

人間の戦士の平均が大体HP100である。英雄と言われる存在でも1000もいかないだろう。平均的な竜種が5000程度だ。竜種と比較しても規格外のHPをバハムートはしていた。

「どうしてバハムートさんのステータスを」

「私の錬成物の中でもバハムートさんを精神支配したようなアイテムと全く同じものはありません。ですが、似たようなものならあります。バハムートさんが精神支配を受けているのならばその上からさらに精神支配をすればいいのです。味方が敵になったのならまた敵を味方にすればいいのです」

「でもどうやってですか?」

「先ほどのアイテムです。私の持っている心変わりの秘薬はHP3000以下の相手を味方にできます。モンスター相手に有効です。バハムートさんにも恐らく効くでしょう。ですが、その為にはバハムートさんのHPを1割にまで削らなければなりません。ですがバハムートさんは見ての通り天空にいます。おまけにSランク以下の攻撃を無効化する竜王結界も持っています。これは厄介極まりない相手ですよ」

「……先生」

「イシスさん、あなたにも協力して貰わなければなりません。やれやれ」

 エルクは嘆いた。

「これは結構大変な大仕事になりそうです」

 しかしそれでも、どこか困難を目の前にしたエルクの表情は充実しているようにも感じた。


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