48 / 61
入浴中の出来事
しおりを挟む
「嫌な予感がしますね……」
竜城の大浴場に入浴しているエルクは一人そう呟いた。嫌な予感がしていた。懸念材料は多くある。
魔王の存在もある。さらには四天王の存在もあった。不気味だ。魔王の四天王は依然健在であった。
勇者パーティーの力を譲り受けたイシスは対抗できるだけの力を得たが、残りの二人、リーネとリーシアに至っては今まで通りである。
エルクが考え事をしていた時だった。ガラガラと浴場の戸が開く。
入ってきたのは黒髪の少女だった。バハムートである。当然すっぽんぽんだ。
少女の見た目をしているが、それなりに胸に肉がついていた。歩く度にたゆんたゆんと揺れる。
「なっ!?」
嫌な予感がするとは言ったが、こんな事を予感していたわけではない。さらにはバハムートの後ろには竜人の双子姉妹がいた。当然二人もすっぽんぽんである。
「なんじゃ。貴様も風呂に入っていたのか」
身じろぎひとつせず、バハムートはエルクの前に立つ。
「おー。お肉くれた錬金術師様だ」
「錬金術師様だー」
呑気にフィルとフィアは言っていた。当然二人も身じろぎひとつしない。
「な、なぜ?」
「なぜ? 疑問の意味が一切理解できない。貴様は何に対して疑問を抱いている」
「……い、いえ。なんでもありません」
「リーネ、飲みすぎよ。そんなんでお風呂入っちゃ危ないわよ」
食事の席では酒も振舞われた。そのため、リーネは飲みすぎ酔っていたようだった。
「先生の匂いがするんです。きっとこっちです」
「い、犬みたい」
三人もまた大浴場に入ってきた。当然全裸である。
「ん? あの娘たちも入ってきたか」
「あっ! ああっ! せ、先生がまた! 浮気です! 私以外の女の人とお風呂に入るなんて!」
リーネは騒ぐ。
「浮気? あの雌ガキと結婚しているのか? 貴様は?」
「しておりません」
「方恋慕か」
「特別否定する要素はありません」
「この状況に何か問題があるのか?」
「あなたに説明するのは難しそうです」
「そうか……」
「い、いったい、どういう事ですか? 先生! 竜人の人たちと混浴するなんて!」
「いえ。私に言われても困ります」
「……何か問題でもあるのか?」
「フィル、何かあったの?」
「フィア、私にはわからないわ。みんなで仲良くお風呂に入ればいいだけじゃない」
「そうそう。お風呂に入ると気持ちいいんだよ。何も悪い事はないじゃない」
「そうそう」
エルクは顔を赤くして目を背ける。あまり見てはいけない。煩悩は人を狂わせる。
「……どうかしたか?」
「愚問かもしれませんが。竜人には恥ずかしいという感情がないのですか?」
「恥ずかしい? なんでじゃ。貴様は犬に裸を見られたからといってどう思う?」
「どう思うと言われましても。なんとも思いません」
「わしも同じじゃ」
つまり何か。エルクは犬だとでもいうのか。同程度の認識なのだろう。大体犬は常に全裸である。服を着ていないと恥ずかしいという文化は人間独自のものか。
「なんだ? もしかしてわし等の体を見て欲情したのか?」
「したとしても私の責任ではないように感じますが」
「自慰行為は浴槽が汚れるから、風呂からあがってやってはくれぬか?」
「しませんよ! そんな事!」
「ふむ……そうか。本番の方がしたいか?」
「そこでしたくないというと男として機能を失ってしまっているようですが」
「なんじゃ。貴様は童貞なのか?」
「童貞だったとしてそれが何なのです?」
「……くっくっく。情けない奴よの。この童貞錬金術師め」
「ひどい言われ様です。童貞とつけられるだけで錬金術師という肩書がこうまで貶められるとは」
「くっくっく。童貞め。この童貞め」
「バハムート様はそういう経験あるんですか?」
フィアは無邪気に聞く。
「それはもう、わしほどの存在となれば……」
バハムートは頭を悩ませる。
「特にそういう経験はないな。竜王という事で恐れられ、男に迫られる経験もない」
「……なんなんですか。人をあれほどバカにしておいて」
2000年間、経験がないってよほどの事である。
「そういえば興味があるな。竜人は人の子を孕むのか。竜人の血には竜の血と人の血が混在している。だからやってできない事もないかもしれぬ」
バハムートはエルクに伸し掛かってきた。いろいろと見えてしまう。
「よし。貴様、わしを抱け!」
「「「「なっ!」」」」
「……何を言っているんですか。あなたは」
「貴様の童貞をわしがもらってやると言っているのだ。ついでに人の子を身ごもるか試してみたい」
「だ、だめですっ! 先生の童貞は私のものなんですっ!」
リーネは手をぶんぶんと振って抵抗してきた。
「なんじゃ。貴様のものか。だったら貴様の後でよいわ。さっさと済ませろ」
「しませんよ! そんな事!」
「据え膳食わぬは男の恥というのだぞ。たわけめ。貴様は不能なのか」
「わ、私は出ます」
エルクは立ち上がる。
「じーーーーーー…………」
「リーネさん……あまり見ないでください」
「すみません。立派なものだったので。つい」
「はぁ…………」
エルクはため息を吐いた。
こうして入浴時間が過ぎる。この時はまだこの後とんでもない事になるとは誰も思ってもいなかったのである。
竜城の大浴場に入浴しているエルクは一人そう呟いた。嫌な予感がしていた。懸念材料は多くある。
魔王の存在もある。さらには四天王の存在もあった。不気味だ。魔王の四天王は依然健在であった。
勇者パーティーの力を譲り受けたイシスは対抗できるだけの力を得たが、残りの二人、リーネとリーシアに至っては今まで通りである。
エルクが考え事をしていた時だった。ガラガラと浴場の戸が開く。
入ってきたのは黒髪の少女だった。バハムートである。当然すっぽんぽんだ。
少女の見た目をしているが、それなりに胸に肉がついていた。歩く度にたゆんたゆんと揺れる。
「なっ!?」
嫌な予感がするとは言ったが、こんな事を予感していたわけではない。さらにはバハムートの後ろには竜人の双子姉妹がいた。当然二人もすっぽんぽんである。
「なんじゃ。貴様も風呂に入っていたのか」
身じろぎひとつせず、バハムートはエルクの前に立つ。
「おー。お肉くれた錬金術師様だ」
「錬金術師様だー」
呑気にフィルとフィアは言っていた。当然二人も身じろぎひとつしない。
「な、なぜ?」
「なぜ? 疑問の意味が一切理解できない。貴様は何に対して疑問を抱いている」
「……い、いえ。なんでもありません」
「リーネ、飲みすぎよ。そんなんでお風呂入っちゃ危ないわよ」
食事の席では酒も振舞われた。そのため、リーネは飲みすぎ酔っていたようだった。
「先生の匂いがするんです。きっとこっちです」
「い、犬みたい」
三人もまた大浴場に入ってきた。当然全裸である。
「ん? あの娘たちも入ってきたか」
「あっ! ああっ! せ、先生がまた! 浮気です! 私以外の女の人とお風呂に入るなんて!」
リーネは騒ぐ。
「浮気? あの雌ガキと結婚しているのか? 貴様は?」
「しておりません」
「方恋慕か」
「特別否定する要素はありません」
「この状況に何か問題があるのか?」
「あなたに説明するのは難しそうです」
「そうか……」
「い、いったい、どういう事ですか? 先生! 竜人の人たちと混浴するなんて!」
「いえ。私に言われても困ります」
「……何か問題でもあるのか?」
「フィル、何かあったの?」
「フィア、私にはわからないわ。みんなで仲良くお風呂に入ればいいだけじゃない」
「そうそう。お風呂に入ると気持ちいいんだよ。何も悪い事はないじゃない」
「そうそう」
エルクは顔を赤くして目を背ける。あまり見てはいけない。煩悩は人を狂わせる。
「……どうかしたか?」
「愚問かもしれませんが。竜人には恥ずかしいという感情がないのですか?」
「恥ずかしい? なんでじゃ。貴様は犬に裸を見られたからといってどう思う?」
「どう思うと言われましても。なんとも思いません」
「わしも同じじゃ」
つまり何か。エルクは犬だとでもいうのか。同程度の認識なのだろう。大体犬は常に全裸である。服を着ていないと恥ずかしいという文化は人間独自のものか。
「なんだ? もしかしてわし等の体を見て欲情したのか?」
「したとしても私の責任ではないように感じますが」
「自慰行為は浴槽が汚れるから、風呂からあがってやってはくれぬか?」
「しませんよ! そんな事!」
「ふむ……そうか。本番の方がしたいか?」
「そこでしたくないというと男として機能を失ってしまっているようですが」
「なんじゃ。貴様は童貞なのか?」
「童貞だったとしてそれが何なのです?」
「……くっくっく。情けない奴よの。この童貞錬金術師め」
「ひどい言われ様です。童貞とつけられるだけで錬金術師という肩書がこうまで貶められるとは」
「くっくっく。童貞め。この童貞め」
「バハムート様はそういう経験あるんですか?」
フィアは無邪気に聞く。
「それはもう、わしほどの存在となれば……」
バハムートは頭を悩ませる。
「特にそういう経験はないな。竜王という事で恐れられ、男に迫られる経験もない」
「……なんなんですか。人をあれほどバカにしておいて」
2000年間、経験がないってよほどの事である。
「そういえば興味があるな。竜人は人の子を孕むのか。竜人の血には竜の血と人の血が混在している。だからやってできない事もないかもしれぬ」
バハムートはエルクに伸し掛かってきた。いろいろと見えてしまう。
「よし。貴様、わしを抱け!」
「「「「なっ!」」」」
「……何を言っているんですか。あなたは」
「貴様の童貞をわしがもらってやると言っているのだ。ついでに人の子を身ごもるか試してみたい」
「だ、だめですっ! 先生の童貞は私のものなんですっ!」
リーネは手をぶんぶんと振って抵抗してきた。
「なんじゃ。貴様のものか。だったら貴様の後でよいわ。さっさと済ませろ」
「しませんよ! そんな事!」
「据え膳食わぬは男の恥というのだぞ。たわけめ。貴様は不能なのか」
「わ、私は出ます」
エルクは立ち上がる。
「じーーーーーー…………」
「リーネさん……あまり見ないでください」
「すみません。立派なものだったので。つい」
「はぁ…………」
エルクはため息を吐いた。
こうして入浴時間が過ぎる。この時はまだこの後とんでもない事になるとは誰も思ってもいなかったのである。
10
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる