10 / 61
国王戻ってこいと懇願するが断られる
しおりを挟む
「……ところで聞いてもよろしいでしょうか?」
「は、はい。何でしょうか?」
「あなた達が冒険者になった目的ですよ。それぞれ違う事でしょう?」
「は、はい。私の目的はお父様のような立派な冒険者になる事です」
「……抽象的ですね。それでは私の方で手助けできませんよ」
「そうですね。だったらとりあえずはSランクの冒険者になりたいです」
「そうですね。それでしたら」
「私は古代魔法を研究する為にそれに関する魔導書が欲しいです」イシスは答える。
「私は……」
リーシアは言葉を上手く発せれない様子だった。
「どうかしたのですか? 何か問題でもありましたか?」
「い、いえ。何でもありません。わ、私の目的はより高位な回復魔法を覚えて、妹の病気を治す事です」
「より高位な回復魔法ですか」
「そ、そうです。妹は重病を抱えていて、普通の回復魔法で癒せないんです。それで私、妹を治してあげたいのです」
「……そうですか。それは立派な心掛けですね。ひとつ聞いてもいいでしょうか?」
「は、はい。なんでしょうか?」
「妹さんを治すのはあなたでなければならないのですか? それとも妹さんが治ればそれでリーシアさんは満足なのでしょうか?」
「そ、それは勿論、妹が治ればそれでいいです。誰が治しても妹が幸せになるのですから同じです」
「だったら冒険の目的地をとりあえずはそこに変えましょう。私でよろしければ力になれるかもしれません」
「……え? け、けど。先生の手を煩わせるわけには」
「よろしいでしょうか? お二人は。とりあえず、リーシアさんの目的を達成しに行っても」
「はい。問題ありません」
「意義なし」
「だそうです。とりあえずはリーシアさんの妹様のところへ行きましょうか」
「み、皆さん、本当によろしいのでしょうか?」
「問題ありません! だって私達は同じ冒険者学校を卒業した、仲間じゃないですか」
「ありがとうございます! 皆さん!」
リーシアは涙を流した。
「……ん?」
「どうしましたか、先生」
「どうやら何者かが私達を見ているようですね」
エルクは答えた。
一方その頃、エルクを見つけたのは王国の捜索部隊であった。
「い、いたぞ! 間違いない、あのエルクだ」
「国王陛下に報告だ。マジックアイテムで連絡しろ!」
「わ、わかった!」
エルクを見つけた捜索部隊はあわただしく国王に連絡した。
「引き続き見失なわないように尾行を続けるんだ」
「あ、ああ」
王国の部隊はそう言った。
それから数日後の事だった。エルク達はリーシアの実家へと向かう。その道中だった。馬車がエルク達の方へ向かってきた。
「……あれは王国の馬車」
馬車から国王、及び統括大臣が降りてくる。
「国王陛下ではないですか。それに統括大臣」
エルクは神妙な表情になる。
「王様ですか。それに大臣さんまで、一体、何の用でしょうか?」
「国王陛下、わかっているのですか。あくまでも下手に出てですね」
「わ、わかっておるわ! こほんっ!」
国王は咳払いをした。
「どうしたのですか。国王陛下。今更私の何の用です」
「エルク殿。どうか我が王国アーガスに戻ってきてはくれぬか? 給金は今までの10倍程出す! この通りだ!」
国王は頭を下げた。
「……先生」
リーネは心配そうな顔をする。
「いかがされたのですか? あれほど錬金術に無頓着ではなかったですか? 何かあったのでしょう?」
「実は王国に疫病が流行ってな。それだけではない。色々な者がエルク殿のアイテムを求めていてな。今更ながらエルク殿が王国に必要不可欠な存在だとわかったのじゃ」
「そうですか」
「だからこの通り、王国の錬金術師に戻ってくれ! この通りだ!」
国王は頭を下げる。
「残念ながら国王のお願いは聞けません」
「な、なんじゃと! わしが頭を下げて頼んでいるのだぞ! その頼みを聞けないというのか!」
「こ、国王! そんな高圧的な態度を取ってはなりませぬ!」
「ぐ、ぐぬぬ。そうだったな。すまない、取り乱した。なぜ王国に戻ってくれぬのだ? 待遇は改善する。もうエルク殿をわしは馬鹿にしたりせぬ。それでも戻ってはくれぬのか?」
「私は見ての通り一介の冒険者となりました。そして一緒に冒険を共にしたい仲間もいるのです。今更王国に戻る事などできません。零れたコップの水は元には戻らないんですよ」
「ぐ、ぐぬぬっ! ぐっ! そうかっ。今日のところは一旦引き下がろう」
「ええ。何度来ても同じ事ですが」
国王たちは馬車に乗り引き下がっていった。
「いいんですか? 先生。王国に戻らなくても」
「途方に暮れていた私に夢を与えてくれたのはあなた達です。あなた達を裏切る事など私にはできません」
「やっぱり先生です! 大好きです!」
リーネが抱き着いてきた。
「ちょ、ちょっとやめなさい。誰か見ているかもしれないのに」
「ずるいリーネ。私も先生に抱き着きたい!」
「わ、私もです」
「は、離しなさい。三人に抱き着かれたら少々息苦しいです」
羨ましい状況ではあるがエルクは悲鳴をあげた。
「は、はい。何でしょうか?」
「あなた達が冒険者になった目的ですよ。それぞれ違う事でしょう?」
「は、はい。私の目的はお父様のような立派な冒険者になる事です」
「……抽象的ですね。それでは私の方で手助けできませんよ」
「そうですね。だったらとりあえずはSランクの冒険者になりたいです」
「そうですね。それでしたら」
「私は古代魔法を研究する為にそれに関する魔導書が欲しいです」イシスは答える。
「私は……」
リーシアは言葉を上手く発せれない様子だった。
「どうかしたのですか? 何か問題でもありましたか?」
「い、いえ。何でもありません。わ、私の目的はより高位な回復魔法を覚えて、妹の病気を治す事です」
「より高位な回復魔法ですか」
「そ、そうです。妹は重病を抱えていて、普通の回復魔法で癒せないんです。それで私、妹を治してあげたいのです」
「……そうですか。それは立派な心掛けですね。ひとつ聞いてもいいでしょうか?」
「は、はい。なんでしょうか?」
「妹さんを治すのはあなたでなければならないのですか? それとも妹さんが治ればそれでリーシアさんは満足なのでしょうか?」
「そ、それは勿論、妹が治ればそれでいいです。誰が治しても妹が幸せになるのですから同じです」
「だったら冒険の目的地をとりあえずはそこに変えましょう。私でよろしければ力になれるかもしれません」
「……え? け、けど。先生の手を煩わせるわけには」
「よろしいでしょうか? お二人は。とりあえず、リーシアさんの目的を達成しに行っても」
「はい。問題ありません」
「意義なし」
「だそうです。とりあえずはリーシアさんの妹様のところへ行きましょうか」
「み、皆さん、本当によろしいのでしょうか?」
「問題ありません! だって私達は同じ冒険者学校を卒業した、仲間じゃないですか」
「ありがとうございます! 皆さん!」
リーシアは涙を流した。
「……ん?」
「どうしましたか、先生」
「どうやら何者かが私達を見ているようですね」
エルクは答えた。
一方その頃、エルクを見つけたのは王国の捜索部隊であった。
「い、いたぞ! 間違いない、あのエルクだ」
「国王陛下に報告だ。マジックアイテムで連絡しろ!」
「わ、わかった!」
エルクを見つけた捜索部隊はあわただしく国王に連絡した。
「引き続き見失なわないように尾行を続けるんだ」
「あ、ああ」
王国の部隊はそう言った。
それから数日後の事だった。エルク達はリーシアの実家へと向かう。その道中だった。馬車がエルク達の方へ向かってきた。
「……あれは王国の馬車」
馬車から国王、及び統括大臣が降りてくる。
「国王陛下ではないですか。それに統括大臣」
エルクは神妙な表情になる。
「王様ですか。それに大臣さんまで、一体、何の用でしょうか?」
「国王陛下、わかっているのですか。あくまでも下手に出てですね」
「わ、わかっておるわ! こほんっ!」
国王は咳払いをした。
「どうしたのですか。国王陛下。今更私の何の用です」
「エルク殿。どうか我が王国アーガスに戻ってきてはくれぬか? 給金は今までの10倍程出す! この通りだ!」
国王は頭を下げた。
「……先生」
リーネは心配そうな顔をする。
「いかがされたのですか? あれほど錬金術に無頓着ではなかったですか? 何かあったのでしょう?」
「実は王国に疫病が流行ってな。それだけではない。色々な者がエルク殿のアイテムを求めていてな。今更ながらエルク殿が王国に必要不可欠な存在だとわかったのじゃ」
「そうですか」
「だからこの通り、王国の錬金術師に戻ってくれ! この通りだ!」
国王は頭を下げる。
「残念ながら国王のお願いは聞けません」
「な、なんじゃと! わしが頭を下げて頼んでいるのだぞ! その頼みを聞けないというのか!」
「こ、国王! そんな高圧的な態度を取ってはなりませぬ!」
「ぐ、ぐぬぬ。そうだったな。すまない、取り乱した。なぜ王国に戻ってくれぬのだ? 待遇は改善する。もうエルク殿をわしは馬鹿にしたりせぬ。それでも戻ってはくれぬのか?」
「私は見ての通り一介の冒険者となりました。そして一緒に冒険を共にしたい仲間もいるのです。今更王国に戻る事などできません。零れたコップの水は元には戻らないんですよ」
「ぐ、ぐぬぬっ! ぐっ! そうかっ。今日のところは一旦引き下がろう」
「ええ。何度来ても同じ事ですが」
国王たちは馬車に乗り引き下がっていった。
「いいんですか? 先生。王国に戻らなくても」
「途方に暮れていた私に夢を与えてくれたのはあなた達です。あなた達を裏切る事など私にはできません」
「やっぱり先生です! 大好きです!」
リーネが抱き着いてきた。
「ちょ、ちょっとやめなさい。誰か見ているかもしれないのに」
「ずるいリーネ。私も先生に抱き着きたい!」
「わ、私もです」
「は、離しなさい。三人に抱き着かれたら少々息苦しいです」
羨ましい状況ではあるがエルクは悲鳴をあげた。
96
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる