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迷宮都市ラピスラズリへ
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エルクが加入して四人となった冒険者パーティーは街道を歩く。会話の中でそれとなくリーネ以外の二人の名前も聞いて置いた。魔道士風の少女をイシス・イプシウス。そして僧侶風の少女がリーシア・ラインアハトというらしい。
「それで疑問に思ったのですが」
「はい。なんでしょうか? 先生」
「この冒険者パーティーはなんという名前なのでしょうか?」
エルクは訊く。普通冒険者パーティーはパーティー名というものが決まっていた。言わばチーム名であり、そのパーティー名で呼ばれる事も多い。
「ラブリーラビットです」
リーネはそう言った。
「ラブリーラビット(愛らしい兎)ですか」
確かに彼女達三人のパーティーであったのならば相応しいパーティー名だろう。だがその輪の中に一人の中年が入ってきた。中年というのも可哀想か。エルクは27歳である。青年とも中年とも言い切れない、そんな微妙な年齢だった。だが男である事は間違いない。少々似つかわしいパーティー名とは言えなくなってきた。
「それでどうしてそのパーティー名にしたのですか?」
「リーネがウサギが好きだから」そう、イシスが言う。
「はい。大好きです」リーネは答える。
「私達も特にこだわりはなかったので」そう、リーシアは答える。
「そうですか……単純な理由ですね。可愛らしい。ところでこの冒険者パーティーのランクはいくつなのですか?」
冒険者パーティーには冒険者ギルドからランクというものが与えられる。S~Fランクまでの等級だ。Sに近づけば近づく程実力のあるパーティーと目される事となり、そのランクを聞くだけである程度、その冒険者パーティーの実力も理解できるのであった。
「Fランクです」
リーネは答える。
「私達、まだ新米の冒険者パーティーだから」
そうイシスは付け加える。当然のようにFランクとは新米の冒険者パーティーにつけられる最下級のランクだ。新米冒険者とか、素人とか、初心者とか言われて見下される事も多い。 だがそれは誰もが通る道である。今Sランクの冒険者パーティーとはいえ最初はFランクから始まったのだ。無論飛び級のようにDランクから始まる事もあるかもしれないが。
宮廷錬金術師である彼にとって冒険者という稼業は未知の職業である。その為、あまり深くは知らなかったが。
「そうですか。まあ、これからクエストをこなして上げていけばいいです」
「はい。その為に迷宮都市にいくんです。そのダンジョンで強いモンスターを倒してクエストをクリアしていけばおのずと冒険者パーティーのランクもあがっていきますから」
「ランクがあがっていけばクエストの難易度もあがるけどその分報酬も大きくなる。それに信用にもなるし」
そう、イシスは言う。
「そうか。そうだな、まずはその迷宮都市に行って、ダンジョンに潜るというわけだな」
「そうです」
「そうだな。まずはFランクパーティーの卒業を目指そう。えいえいおー」
エルクはそういってかけ声をかけた。
「「「えいえいおー」」」
三人は揃ってかけ声をかけた。そう、そしてこれがFランク冒険者パーティー『ラブリー・ラビット』の船出だったのだ。
しかし、いくらエルクもまた名詞に無頓着とはいえ、冒険者パーティー名がラブリーラビットなのはいかがなものかと思った。可愛らしいが、強さとは無縁だ。だがまあいいか。何となく面倒くさいし。放っておいて後から変えればいい。変えれない事もないだろうとエルクは思っていた。
こうして四人による冒険者パーティーは初めての冒険クエストをこなす為に、長い旅路の末に迷宮都市ラピスラズリに辿り着いたのである。
「……はあ。着いた」
「疲れたー」
「疲れましたー」
三人はへとへとだった。対するエルクは平気そうだった。
「せ、先生。なんでそんなに平気そうなんですか?」
「え?」
「先生って宮仕えで、自分でも引き籠もって研究ばかりしていたっていうじゃないですか。それなのにどうしてこんなに長距離歩いてきたのに、顔色ひとつ変えないし、汗もかかないんですか。おかしいじゃないですか?」
「うん。だって僕ポーション飲んでるし」
「ポーション?」
エルクは錬金術で生成したポーションを飲んで体力を回復していたのだ。だから体力が減らなかったのである。
「そうか。先生が道中で飲んでた青色の飲み物って、ポーションだったんだ」そう、イシスは言う。
「ず、ずるいです! 先生! 何で私たちにくれなかったんですか?」
リーネはエルクを責める。
「ごめんごめん。別にずるしていたつもりはないんだよ。ただあんまり僕が手助けするのも君たちの為にならないかと思って。ほら、一本あげるから気を取り直して」
「ちょ、ちょっと、私に譲りなさいよ。リーネ」
「い、嫌です。先生から貰った貴重なポーション、どうしてあなたにあげなきゃなんですか!」
「け、喧嘩はやめてよ。二人とも」
そうリーシアは言う。
「そうだ。喧嘩はよくない。それにほら」
エルクはマントをめくる。そこには無数のポーションがあった。
「ポーションならいくらでもある」
「さ、流石宮廷錬金術師」
「元がつくけどね。ははっ。今はしがない冒険者さ」
エルクは三人にポーションを渡した。ごくごくごく。三人はポーションを一気飲みする。
「力がみなぎってくる」と、イシス。
「すごい。これが先生のポーションの効き目」と、リーネ。
「すごいです。疲れがどんどんととれていく気がします」と、リーシア。
「そうかい? 別に、このくらい、ただの普通のポーションだと思うけど」
「そんな事ありません。店で売っているポーションは何本も飲まないと体力が全開にならなかったですけど、先生のポーションは一本飲んだだけで体力が全開になりましたから。すごい効き目です!」
そうリーネは目を輝かせて言う。
「そうかい。そうまで言われると恐縮なんだけど。それで、それよりこれからどうするんだい?」
迷宮都市ラピスラズリには多くの冒険者達が集っていた。中には亜人などもいるし。また明らかに古強者といった風貌の戦士達から、どこかあどけない新米冒険者達の姿まで。
色とりどりの人々がこの迷宮都市には集結していた。
「まずは冒険者ギルドへと向かうんです。それでクエストの受注をしてから地下迷宮にいくんです」
リーネはそう言った。
「そうか。だったらまずは冒険者ギルドに行こうか」
「はい。わかりました。先生」
Fランクの冒険者パーティー「ラブリーラビット」は冒険者ギルドへと向かった。
「それで疑問に思ったのですが」
「はい。なんでしょうか? 先生」
「この冒険者パーティーはなんという名前なのでしょうか?」
エルクは訊く。普通冒険者パーティーはパーティー名というものが決まっていた。言わばチーム名であり、そのパーティー名で呼ばれる事も多い。
「ラブリーラビットです」
リーネはそう言った。
「ラブリーラビット(愛らしい兎)ですか」
確かに彼女達三人のパーティーであったのならば相応しいパーティー名だろう。だがその輪の中に一人の中年が入ってきた。中年というのも可哀想か。エルクは27歳である。青年とも中年とも言い切れない、そんな微妙な年齢だった。だが男である事は間違いない。少々似つかわしいパーティー名とは言えなくなってきた。
「それでどうしてそのパーティー名にしたのですか?」
「リーネがウサギが好きだから」そう、イシスが言う。
「はい。大好きです」リーネは答える。
「私達も特にこだわりはなかったので」そう、リーシアは答える。
「そうですか……単純な理由ですね。可愛らしい。ところでこの冒険者パーティーのランクはいくつなのですか?」
冒険者パーティーには冒険者ギルドからランクというものが与えられる。S~Fランクまでの等級だ。Sに近づけば近づく程実力のあるパーティーと目される事となり、そのランクを聞くだけである程度、その冒険者パーティーの実力も理解できるのであった。
「Fランクです」
リーネは答える。
「私達、まだ新米の冒険者パーティーだから」
そうイシスは付け加える。当然のようにFランクとは新米の冒険者パーティーにつけられる最下級のランクだ。新米冒険者とか、素人とか、初心者とか言われて見下される事も多い。 だがそれは誰もが通る道である。今Sランクの冒険者パーティーとはいえ最初はFランクから始まったのだ。無論飛び級のようにDランクから始まる事もあるかもしれないが。
宮廷錬金術師である彼にとって冒険者という稼業は未知の職業である。その為、あまり深くは知らなかったが。
「そうですか。まあ、これからクエストをこなして上げていけばいいです」
「はい。その為に迷宮都市にいくんです。そのダンジョンで強いモンスターを倒してクエストをクリアしていけばおのずと冒険者パーティーのランクもあがっていきますから」
「ランクがあがっていけばクエストの難易度もあがるけどその分報酬も大きくなる。それに信用にもなるし」
そう、イシスは言う。
「そうか。そうだな、まずはその迷宮都市に行って、ダンジョンに潜るというわけだな」
「そうです」
「そうだな。まずはFランクパーティーの卒業を目指そう。えいえいおー」
エルクはそういってかけ声をかけた。
「「「えいえいおー」」」
三人は揃ってかけ声をかけた。そう、そしてこれがFランク冒険者パーティー『ラブリー・ラビット』の船出だったのだ。
しかし、いくらエルクもまた名詞に無頓着とはいえ、冒険者パーティー名がラブリーラビットなのはいかがなものかと思った。可愛らしいが、強さとは無縁だ。だがまあいいか。何となく面倒くさいし。放っておいて後から変えればいい。変えれない事もないだろうとエルクは思っていた。
こうして四人による冒険者パーティーは初めての冒険クエストをこなす為に、長い旅路の末に迷宮都市ラピスラズリに辿り着いたのである。
「……はあ。着いた」
「疲れたー」
「疲れましたー」
三人はへとへとだった。対するエルクは平気そうだった。
「せ、先生。なんでそんなに平気そうなんですか?」
「え?」
「先生って宮仕えで、自分でも引き籠もって研究ばかりしていたっていうじゃないですか。それなのにどうしてこんなに長距離歩いてきたのに、顔色ひとつ変えないし、汗もかかないんですか。おかしいじゃないですか?」
「うん。だって僕ポーション飲んでるし」
「ポーション?」
エルクは錬金術で生成したポーションを飲んで体力を回復していたのだ。だから体力が減らなかったのである。
「そうか。先生が道中で飲んでた青色の飲み物って、ポーションだったんだ」そう、イシスは言う。
「ず、ずるいです! 先生! 何で私たちにくれなかったんですか?」
リーネはエルクを責める。
「ごめんごめん。別にずるしていたつもりはないんだよ。ただあんまり僕が手助けするのも君たちの為にならないかと思って。ほら、一本あげるから気を取り直して」
「ちょ、ちょっと、私に譲りなさいよ。リーネ」
「い、嫌です。先生から貰った貴重なポーション、どうしてあなたにあげなきゃなんですか!」
「け、喧嘩はやめてよ。二人とも」
そうリーシアは言う。
「そうだ。喧嘩はよくない。それにほら」
エルクはマントをめくる。そこには無数のポーションがあった。
「ポーションならいくらでもある」
「さ、流石宮廷錬金術師」
「元がつくけどね。ははっ。今はしがない冒険者さ」
エルクは三人にポーションを渡した。ごくごくごく。三人はポーションを一気飲みする。
「力がみなぎってくる」と、イシス。
「すごい。これが先生のポーションの効き目」と、リーネ。
「すごいです。疲れがどんどんととれていく気がします」と、リーシア。
「そうかい? 別に、このくらい、ただの普通のポーションだと思うけど」
「そんな事ありません。店で売っているポーションは何本も飲まないと体力が全開にならなかったですけど、先生のポーションは一本飲んだだけで体力が全開になりましたから。すごい効き目です!」
そうリーネは目を輝かせて言う。
「そうかい。そうまで言われると恐縮なんだけど。それで、それよりこれからどうするんだい?」
迷宮都市ラピスラズリには多くの冒険者達が集っていた。中には亜人などもいるし。また明らかに古強者といった風貌の戦士達から、どこかあどけない新米冒険者達の姿まで。
色とりどりの人々がこの迷宮都市には集結していた。
「まずは冒険者ギルドへと向かうんです。それでクエストの受注をしてから地下迷宮にいくんです」
リーネはそう言った。
「そうか。だったらまずは冒険者ギルドに行こうか」
「はい。わかりました。先生」
Fランクの冒険者パーティー「ラブリーラビット」は冒険者ギルドへと向かった。
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