聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!

つくも/九十九弐式

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宮廷錬金術師クビになる

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「貴様はクビだ! エルク・バンディッド!」
「ええ~~!! なんでですか!!」

 宮廷錬金術師エルクは王国アーガスに仕えていた。しかし、ある日突然、国王陛下にクビを言い渡されたのだ。

「理由は明白だ! 貴様には宮廷錬金術師として高い給金を払っておる! しかし貴様は自室に引きこもっているただの穀潰しではないか! 貴様の給金は国民の血税から払われているのだぞ! そんな無駄金、国王として看過できるものか!」

 国王は鼻の息を荒くする。かねてより国王はエルクの事をろくに働きもせずに引きこっている甲斐性無しだと思い不満を溜めていた。その不満を我慢しきれずに今になって爆発させたというわけだった。

「そ、そんないきなり、あまりに理不尽です! それに私はただ引き籠もっているというわけではありません! 錬金術の研究をしていただけです!」
「うるさい! そんな研究何の役にも立たんだろう! わしはそんな錬金術のようなまじないが大嫌いなのだ!」
 
 エルクは反論をするがもはや国王は聞く耳を持っていなかった。

「いいからさっさとこの王国を出て行け! 貴様の顔などもう見たくもないわ!」

 国王とは国の最高権力者である。その国王が黒だといえば白も黒になるのだ。いくら宮廷錬金術師の社会的な地位は高いとはいえ、それでも国王の権力には敵わない。横暴だったとしても国王の判断に抵抗できる者はこの国には存在していないのである。
 エルクは自室から最低限の荷物を引き上げ、強制的に王国アーガスから追放される事となった。


 錬金術師学院を主席で卒業したエルクは宮廷錬金術師になる事を夢見ていた。それは実際になっていないからこそ描く憧れでもあった。

 宮廷に入れば、好きなだけ錬金術の研究が出来る、しかも高い給料を貰ってそう思っていたのだ。

 だが実際に宮廷錬金術師になると想像とは異なる現実を突きつけられる。宮仕え故の息苦しさもあった。宮廷錬金術師は前述したように国王には敵わないのだ。

だから先ほどのような横暴も甘んじて受け入れるよりなかった。また閉じた世界にずっといるのだ。引きこもりのような生活をしていると段々と陰鬱とした気分になってくる。自分はこのままでいいのか。疑問を抱くようにもなってきた。

 だからこのクビは良い機会なのかもしれない。新しい人生を歩むため為のスタートだ。
 当初は宮廷錬金術師の座を追われた事に落ち込み、途方に暮れていたエルクではあったが、次第にその気持ちは前向きなものへと変化していった。

 しかし、エルクは相変わらず途方にくれていた。今まで宮廷錬金術師になり、錬金術を極める事を目標生きていたのだ。
 だからこれからエルクは何を目標に生きてばいいのかわからなかった。だが、まあ、それでいいとも思う。
 今はゆっくりと休んで、考えていけばいいそう思っていた。王国を追い出され、一人ぶらぶらとさすらう旅人のように彷徨っていた時の事だった。

「……先生」
「ん?」

 一回りほど年の離れた三人の少女達だった。年齢は15歳といったところか。皆、可憐な美少女達ではあったが、一人はライトアーマーに腰に剣を携えており、そしてもう一人はスタッフやローブを着ている。その事から彼女達はただの村娘などではなく冒険者である事が推察できた。

「やっぱり先生だ!」

 一人の少女が感極まった様子でエルクに抱きついてくる。剣士風の少女である。

「なっ、なんだ、いきなり」

 いくら美少女からとはいえ、いきなり抱きつかれたらびっくりする。ライトアーマーを着ている為、胸板は硬くて冷たいが、髪から女の子特有の良い匂いがしてきた。

「す、すみません、いきなり」

 剣士風の少女は離れる。

「んー? 君は」

 エルクは思い出す。エルクは宮廷錬金術師として錬金術の研究に勤しむ最中、冒険者学校に講師として招かれ、臨時講師をしていた事を思い出す。あれは1年~2年前だったか。
 その時の生徒のうちの一人に彼女の顔があった事を思い出す。あれから1、2年が経過しているのだから、今頃冒険者学校を卒業していて冒険者になっていても不思議ではなかった。
「そうだ。君はあの王国の冒険者学校にいた」
「はい。リーネ・トロイメライと言います。お久しぶりです。先生」

 剣士風の少女ーーリーネはそう言って頭を下げた。その時の彼女の目には涙すら滲んでいるように見えた。
 この突然の再会がエルクの第二の人生に大きく影響を与えていく事になる。 
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