1 / 61
宮廷錬金術師クビになる
しおりを挟む
「貴様はクビだ! エルク・バンディッド!」
「ええ~~!! なんでですか!!」
宮廷錬金術師エルクは王国アーガスに仕えていた。しかし、ある日突然、国王陛下にクビを言い渡されたのだ。
「理由は明白だ! 貴様には宮廷錬金術師として高い給金を払っておる! しかし貴様は自室に引きこもっているただの穀潰しではないか! 貴様の給金は国民の血税から払われているのだぞ! そんな無駄金、国王として看過できるものか!」
国王は鼻の息を荒くする。かねてより国王はエルクの事をろくに働きもせずに引きこっている甲斐性無しだと思い不満を溜めていた。その不満を我慢しきれずに今になって爆発させたというわけだった。
「そ、そんないきなり、あまりに理不尽です! それに私はただ引き籠もっているというわけではありません! 錬金術の研究をしていただけです!」
「うるさい! そんな研究何の役にも立たんだろう! わしはそんな錬金術のようなまじないが大嫌いなのだ!」
エルクは反論をするがもはや国王は聞く耳を持っていなかった。
「いいからさっさとこの王国を出て行け! 貴様の顔などもう見たくもないわ!」
国王とは国の最高権力者である。その国王が黒だといえば白も黒になるのだ。いくら宮廷錬金術師の社会的な地位は高いとはいえ、それでも国王の権力には敵わない。横暴だったとしても国王の判断に抵抗できる者はこの国には存在していないのである。
エルクは自室から最低限の荷物を引き上げ、強制的に王国アーガスから追放される事となった。
錬金術師学院を主席で卒業したエルクは宮廷錬金術師になる事を夢見ていた。それは実際になっていないからこそ描く憧れでもあった。
宮廷に入れば、好きなだけ錬金術の研究が出来る、しかも高い給料を貰ってそう思っていたのだ。
だが実際に宮廷錬金術師になると想像とは異なる現実を突きつけられる。宮仕え故の息苦しさもあった。宮廷錬金術師は前述したように国王には敵わないのだ。
だから先ほどのような横暴も甘んじて受け入れるよりなかった。また閉じた世界にずっといるのだ。引きこもりのような生活をしていると段々と陰鬱とした気分になってくる。自分はこのままでいいのか。疑問を抱くようにもなってきた。
だからこのクビは良い機会なのかもしれない。新しい人生を歩むため為のスタートだ。
当初は宮廷錬金術師の座を追われた事に落ち込み、途方に暮れていたエルクではあったが、次第にその気持ちは前向きなものへと変化していった。
しかし、エルクは相変わらず途方にくれていた。今まで宮廷錬金術師になり、錬金術を極める事を目標生きていたのだ。
だからこれからエルクは何を目標に生きてばいいのかわからなかった。だが、まあ、それでいいとも思う。
今はゆっくりと休んで、考えていけばいいそう思っていた。王国を追い出され、一人ぶらぶらとさすらう旅人のように彷徨っていた時の事だった。
「……先生」
「ん?」
一回りほど年の離れた三人の少女達だった。年齢は15歳といったところか。皆、可憐な美少女達ではあったが、一人はライトアーマーに腰に剣を携えており、そしてもう一人はスタッフやローブを着ている。その事から彼女達はただの村娘などではなく冒険者である事が推察できた。
「やっぱり先生だ!」
一人の少女が感極まった様子でエルクに抱きついてくる。剣士風の少女である。
「なっ、なんだ、いきなり」
いくら美少女からとはいえ、いきなり抱きつかれたらびっくりする。ライトアーマーを着ている為、胸板は硬くて冷たいが、髪から女の子特有の良い匂いがしてきた。
「す、すみません、いきなり」
剣士風の少女は離れる。
「んー? 君は」
エルクは思い出す。エルクは宮廷錬金術師として錬金術の研究に勤しむ最中、冒険者学校に講師として招かれ、臨時講師をしていた事を思い出す。あれは1年~2年前だったか。
その時の生徒のうちの一人に彼女の顔があった事を思い出す。あれから1、2年が経過しているのだから、今頃冒険者学校を卒業していて冒険者になっていても不思議ではなかった。
「そうだ。君はあの王国の冒険者学校にいた」
「はい。リーネ・トロイメライと言います。お久しぶりです。先生」
剣士風の少女ーーリーネはそう言って頭を下げた。その時の彼女の目には涙すら滲んでいるように見えた。
この突然の再会がエルクの第二の人生に大きく影響を与えていく事になる。
「ええ~~!! なんでですか!!」
宮廷錬金術師エルクは王国アーガスに仕えていた。しかし、ある日突然、国王陛下にクビを言い渡されたのだ。
「理由は明白だ! 貴様には宮廷錬金術師として高い給金を払っておる! しかし貴様は自室に引きこもっているただの穀潰しではないか! 貴様の給金は国民の血税から払われているのだぞ! そんな無駄金、国王として看過できるものか!」
国王は鼻の息を荒くする。かねてより国王はエルクの事をろくに働きもせずに引きこっている甲斐性無しだと思い不満を溜めていた。その不満を我慢しきれずに今になって爆発させたというわけだった。
「そ、そんないきなり、あまりに理不尽です! それに私はただ引き籠もっているというわけではありません! 錬金術の研究をしていただけです!」
「うるさい! そんな研究何の役にも立たんだろう! わしはそんな錬金術のようなまじないが大嫌いなのだ!」
エルクは反論をするがもはや国王は聞く耳を持っていなかった。
「いいからさっさとこの王国を出て行け! 貴様の顔などもう見たくもないわ!」
国王とは国の最高権力者である。その国王が黒だといえば白も黒になるのだ。いくら宮廷錬金術師の社会的な地位は高いとはいえ、それでも国王の権力には敵わない。横暴だったとしても国王の判断に抵抗できる者はこの国には存在していないのである。
エルクは自室から最低限の荷物を引き上げ、強制的に王国アーガスから追放される事となった。
錬金術師学院を主席で卒業したエルクは宮廷錬金術師になる事を夢見ていた。それは実際になっていないからこそ描く憧れでもあった。
宮廷に入れば、好きなだけ錬金術の研究が出来る、しかも高い給料を貰ってそう思っていたのだ。
だが実際に宮廷錬金術師になると想像とは異なる現実を突きつけられる。宮仕え故の息苦しさもあった。宮廷錬金術師は前述したように国王には敵わないのだ。
だから先ほどのような横暴も甘んじて受け入れるよりなかった。また閉じた世界にずっといるのだ。引きこもりのような生活をしていると段々と陰鬱とした気分になってくる。自分はこのままでいいのか。疑問を抱くようにもなってきた。
だからこのクビは良い機会なのかもしれない。新しい人生を歩むため為のスタートだ。
当初は宮廷錬金術師の座を追われた事に落ち込み、途方に暮れていたエルクではあったが、次第にその気持ちは前向きなものへと変化していった。
しかし、エルクは相変わらず途方にくれていた。今まで宮廷錬金術師になり、錬金術を極める事を目標生きていたのだ。
だからこれからエルクは何を目標に生きてばいいのかわからなかった。だが、まあ、それでいいとも思う。
今はゆっくりと休んで、考えていけばいいそう思っていた。王国を追い出され、一人ぶらぶらとさすらう旅人のように彷徨っていた時の事だった。
「……先生」
「ん?」
一回りほど年の離れた三人の少女達だった。年齢は15歳といったところか。皆、可憐な美少女達ではあったが、一人はライトアーマーに腰に剣を携えており、そしてもう一人はスタッフやローブを着ている。その事から彼女達はただの村娘などではなく冒険者である事が推察できた。
「やっぱり先生だ!」
一人の少女が感極まった様子でエルクに抱きついてくる。剣士風の少女である。
「なっ、なんだ、いきなり」
いくら美少女からとはいえ、いきなり抱きつかれたらびっくりする。ライトアーマーを着ている為、胸板は硬くて冷たいが、髪から女の子特有の良い匂いがしてきた。
「す、すみません、いきなり」
剣士風の少女は離れる。
「んー? 君は」
エルクは思い出す。エルクは宮廷錬金術師として錬金術の研究に勤しむ最中、冒険者学校に講師として招かれ、臨時講師をしていた事を思い出す。あれは1年~2年前だったか。
その時の生徒のうちの一人に彼女の顔があった事を思い出す。あれから1、2年が経過しているのだから、今頃冒険者学校を卒業していて冒険者になっていても不思議ではなかった。
「そうだ。君はあの王国の冒険者学校にいた」
「はい。リーネ・トロイメライと言います。お久しぶりです。先生」
剣士風の少女ーーリーネはそう言って頭を下げた。その時の彼女の目には涙すら滲んでいるように見えた。
この突然の再会がエルクの第二の人生に大きく影響を与えていく事になる。
83
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる