都合のいい男

美浪

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1週間

シアンに再び迫られて・・

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「腹減ったー!!」
どのくらい寝てたのか解らないが猛烈な空腹で目が覚めた。

「あと3日で1週間。」
呆れた様にシアンがそう言った。ダイニングテーブルでテレビ鑑賞中だった様だ。

えっとハーミットが来たのが1日目?2日目の明け方か。
「そんなに寝てた!?」
ハーミットも部屋には居なかった。

「寝てたよ。おかげで性欲が爆発しそう。」
うっ。。返答に困る。

「取り敢えず何かしら食べなきゃね。」
シアンはニヤっと笑って台所へ入って行った。
そういう所は優しいんだよなあ。

寝てる間も襲われた感じしないし。ちょっと意外だった気もする。

あれ?何だこれ?
「ねえ。シアン。これ?見える?」
俺の頭の上を指差す。

「見えない。いやちょっと待て。」
シアンは集中する様に俺を見詰めた。

小さい龍と鳥と亀と虎?
あっ・・・。
「四神だ。青龍、朱雀、玄武、白虎。」
本当に小さくて妖精の様な四神は俺の頭の上でフワフワと浮いていた。

「居るね。へー?本当に珍しい見た事無い能力だ。」
どう言う能力なんだろう。
四神は俺の意思で消せた。そして出せる。
まあ、そのうち解るか。取り敢えず四神は消してご飯だ!!!


「悪いがまたレンジでチンするメニューだよ。」
シアンがそう言って出してきたのは炒飯だ。
米!!そして炒飯あるんだぁ。

「ありがとう!!」
もうめちゃくちゃ腹減って仕方なかった。
美味い!良くある冷凍炒飯の味と変わらない。
この世界の食生活は良いな。変な食べ物の文化じゃないし。
あっという間に平らげた。
「まだ食べる?」
「まだ入る!けれど一先ず風呂に入りたい。」
4日も風呂に入っていないなんてちょっと失礼だろう。
「流石に臭そうだし。」

「別に臭くないよ?異世界人の匂いは少し減ったね。」
そう言いながら風呂へ案内してくれた。
シャワーしかないそうだが十分だ。
これ着替えね。
わざわざ用意してくれたんだ。
脱衣場には新しい下着と服があった。

ちょっと絆されそうな自分が居る。シアン、優しい・・。
風呂はビジネスホテルくらいの風呂で確かにシャワーしかなかった。
でも、気持ち良い。ボディーソープもシャンプーもリンスもあるし。快適じゃないか!

身体を洗いながら思う。やっぱり身体つき変わったよな?記憶は戻って居ないが腹筋や胸筋、二の腕とかこんなに筋肉ついて無かった。
細マッチョって言葉が似合う体型になっている。

風呂を堪能して用意された着替えを着た。Tシャツと動きやすいチノパン。無地で良い感じ。
部屋着でも外でも行ける。

ふと鏡に目がいく。そう言えば久しぶりに鏡を見た気がする。
うーん?モテる顔では無いよなあ?普通。
シアンの俺に対して欲情する意味が解らない。

「お風呂ありがとう。」
リビングに戻るとテレビは消されていて。
シアンがフフっと微笑んで立ち上がって此方に来た。

「おいで。」
スっと引き寄せられて抱き締められる。
クンクンと俺の匂いを嗅ぎ始めた。くすぐったい。
「本当に微かになってきた。もう少しだね?」
「うん。あと3日だ。シアン。くすぐったいって。」

抱き締めたままサラサラと俺の髪を撫でてまた匂いを嗅ぐ。
「もう、離して。言っただろ?」

「好きと言う感情か?」
そうそうと頷いた。

シアンは難しそうな顔をする。
「でも。俺は君を襲いたい。」
また抱き締められた。

さっき風呂で考えて居た事がある。

これは仕方ないと言うか俺が生きる為。
それで体を売るようでちょっと嫌なんだけれど。
決して俺はビッチじゃない!!それだけは誓える。
言い訳の様だな。抱かれたい?嫌、仕方なく?
本当はまだ自分の芽生えた感情が解らない。

何か大事な事忘れている気がするんだけど。
それが何か・・・。1週間目に思い出せるのかなあ。

「シアン。条件がある。飲める?」
「何?」
抱き締めたまま俺を撫でて聞いてくる。

「ハーミットさんに聞いた。俺は誰か一緒に居ないと自分の身も護れない。だから・・・。」

「あぁ。なるほど。」
そう。仲間が常に側にいてくれないと俺は多分死ぬ。1人では行動する事も危険だろう。

「護るよ。君が俺を護る。そして俺も君を護る。」

此奴は殺人鬼だ。殺人鬼なんだ。もしかしたら俺を殺そうとする日が来るかもしれない。

でも・・・・。

俺はそっと抱き締め返した。

「キスするよ?」
静かに頷く。

待っていたと言わんばかりの激しいキスだった。
静かかな部屋にチュっと唇を重ねる音だけがする。

キス・・・。気持ち良い。
シアンが欲情するって言うのも解る。

身を委ねると決めると身体はより正直になった。

唇が離れシアンに熱く見詰められる。
「続きしたい?」
意地悪そうに確認された。

「するならベッドで。」
恥ずかしさで目を逸らす。

シアンはニヤリとエロそうな微笑みを浮かべて俺をお姫様抱っこした。
ぐっ・・・・。この力の差・・。ちょっと悔しい。

ベッドにそっと置かれシアンは上着を脱いだ。
良い身体している。

ドキドキする様な筋肉の綺麗についた身体。

仕方なくじゃなくて俺は本気で・・・。今、抱かれたいと思っている。

ダメだ。絆されるな。殺人鬼だ。そう言い聞かせる。

「早く君の本当の名前を呼びたいよ。」
「うん。」
俺の頬を優しく撫でまた熱いキスをしてきた。

舌が絡む。

「脱がすよ?」
俺が恥ずかしがるのを楽しむかのようにシアンは1つ1つ聞いてくる。

「君も欲しがってくれて嬉しいよ。」
首筋にチュっとキスされそのまま舐められる。

「乳首も感じる?」

「んぁ・・。もういちいち聞くな。」
気持ち良い。身体がビクビクと震えて声が出る。
ペロっと舐められ声が我慢出来ない。

「可愛い。本当に可愛いよ。」
そう言われて。それはシアンなりの好きって事な気がして。

「キスしたい。」
そう、自ら求める俺が居た。
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