龍王の姫 世紀末の世界で救世の姫と呼ばれ

須賀和弥

文字の大きさ
6 / 16
第一章 龍王の姫

目覚め

しおりを挟む
 ……呪われた子供……
 ……お前のせいで家族が……
 ……この村はもうお終いだ……
 ……世界の敵……
 ……お前なんか……
 ……お前なんか……
 ……お前なんか……
 ……お前なんか……呪われて死んでしまえ!
 
 ネクロシスはゆっくりを目を開けた。
 黒い前髪が視界の端に揺れる。

(ここは……どこだ?)

 記憶があいまいだった。
 でも、ひどく悲しい夢を見ていた気がする。
 体が動かない。
 筋力が衰えてしまっている。体を動かすとかさりと音がした。
 ベッドかと思われたが、どうやら木の葉のベッドで眠っているらしい。

「ここは……?」
「ひめしゃま! おとこのこがめざめましたぞ!」
「あっ! ほんとだ!」
「まったく、おねぼうさんですな!」

 周囲で声がする。まだ身を起こせない。全力で頭を回すと彼の目に真っ白な髪が揺れた。

(…………!!!)

 まるで雪のような――ネクロシスは見惚れてしまった。そのあまりにも綺麗な白い髪と白銀に輝く角――次に目に飛び込んできたのは紅の瞳。赤き宝玉。

(なんて……綺麗な……)

 ネクロシスは頬が赤くなっている自分に気づいた。同時に涙を流していることにも今更ながらに気づく。

「こやつ、ひめさしゃまのうつくしさにないておりますぞ」

 そうではないと言いたかったが言葉が出なかった。ひゅーひゅーと力ない息だけが口から洩れる。

「むりをしないで……」

 ネクロシスの頭にそっと手が添えられる。
 久しく感じたことのない感覚。その手のぬくもりにネクロシスは泣きそうになった。

「少年が目覚めたというのは本当か?」
「ととさま! しずかにしてください!」
「王よ! 静かにお願いします」
「…………すまぬ…………」

 アメリアとリーフリンダに注意されしゅんとうなだれるイグニス。

「容体は安定していますが、今は体力の回復が最優先です」

 リーフリンダはネクロシスとイグニスの間に立つように立ちふさがった。
 ネクロシスは状況を把握することができなかった。目の前の少女が誰なのか、今自分がどういった状況なのか半濁とした意識で考えてみるがぼんやりとしたまま答えは出ない。

「休みなさい」

 リーフリンダの言葉が静かに響く。

「ゆっくりとでいい。まずは体力の回復が先です」

 ネクロシスは言われるがままに目を閉じた。その途端、強烈な眠気が襲ってくる。

(……伝えなければ……)

 ぼんやりとした意識の中で静かに思う。

(この宮殿は……崩壊する……)

 ネクロシスの意識は闇に包まれていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

処理中です...