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第47話 計画
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阿多は埼玉県内の、あるカフェに向かっていた。亡くなった穂刈と以前会った都内のとは、別の店だ。
穂刈がスパイだと判明したので、都内にあったカフェのマスターは夜逃げした。
マスターは独身で妻子もいないし、両親はすでに亡くなっていた。
現在は別の場所にショードファ人によって匿われているはずだが、阿多もどこにいるかは知らない。
彼はカフェに到着すると店を切り盛りしているマスターに声をかけ、奥のバックルームに向かって歩いた。
バックルームの中にある部屋の1つに入る。中には通信装置がある。防音なので、中の音が漏れる事は絶対にない。
チャマンカ人が地球上のあちらこちらに飛ばしているドローンについた各種カメラやセンサーにも通信装置の存在が知られぬよう、ジャミング装置が設置してある。
無論ショードファ製だった。阿多は銀河系内にあるショードファ軍の秘密基地に連絡を取る。
正確な位置は、阿多も知らない。仮に聞いても、天文学の知識がない彼にはちんぷんかんぷんだろう。
万が一阿多が逮捕された時のリスクを考慮に入れて、どのみち教えてはくれないが。
脳をスキャンされてしまえば、彼の思考なぞチャマンカ人の警官には丸わかりだ。
スパイとして逮捕されれば、薬物注射による死刑が待ってる。
注射といっても薬剤を血管内にマイクロワープさせるので注射針は使わぬそうだ。
阿多が通信を開始してしばらくすると、ショードファ軍のザースコ少佐のホログラムが、眼前に浮かびあがる。
彼は1度祖国を裏切ったがチャマンカにつくのをやめて、捕虜になっていたショードファ人と地球人を解放したため正式に祖国の軍隊に復帰した。
もしかしたら最初からダブルスパイだったのかもしれない。
チャマンカに寝返ったと見せかけて、ショードファ軍に情報を流していたのかもしれない。
阿多には、どうでも良い話だ。
「一体なんだ?」
ザースコが、不機嫌そうに質問した。
無論ショードファ語で話しているが、通信装置が日本語に変換するので、会話には問題ない。
「チャマンカ軍の地球人艦隊の件です。すでに報告しましたが、艦隊に加わる全ての国の乗員のトップすなわち艦長が、時至ればチャマンカ軍に対して反乱を起こす事で同意しました」
「ああ、聴いてるとも。だから各艦にセットされた自爆装置を何とかしてくれと言うのだろう」
「おっしゃる通りです。相田一佐も、その上にいる方も、お返事を心待ちにしてまして」
「ちょうどそろそろ報告しようとしていたが、その件何とかなりそうだ。作戦プランを暗号通信で送るので、相田一佐に伝えてくれ。彼は、ニホン人部隊の艦長だったな」
「それは、朗報です」
喜びのあまり、阿多は思わず大声を出した。
穂刈がスパイだと判明したので、都内にあったカフェのマスターは夜逃げした。
マスターは独身で妻子もいないし、両親はすでに亡くなっていた。
現在は別の場所にショードファ人によって匿われているはずだが、阿多もどこにいるかは知らない。
彼はカフェに到着すると店を切り盛りしているマスターに声をかけ、奥のバックルームに向かって歩いた。
バックルームの中にある部屋の1つに入る。中には通信装置がある。防音なので、中の音が漏れる事は絶対にない。
チャマンカ人が地球上のあちらこちらに飛ばしているドローンについた各種カメラやセンサーにも通信装置の存在が知られぬよう、ジャミング装置が設置してある。
無論ショードファ製だった。阿多は銀河系内にあるショードファ軍の秘密基地に連絡を取る。
正確な位置は、阿多も知らない。仮に聞いても、天文学の知識がない彼にはちんぷんかんぷんだろう。
万が一阿多が逮捕された時のリスクを考慮に入れて、どのみち教えてはくれないが。
脳をスキャンされてしまえば、彼の思考なぞチャマンカ人の警官には丸わかりだ。
スパイとして逮捕されれば、薬物注射による死刑が待ってる。
注射といっても薬剤を血管内にマイクロワープさせるので注射針は使わぬそうだ。
阿多が通信を開始してしばらくすると、ショードファ軍のザースコ少佐のホログラムが、眼前に浮かびあがる。
彼は1度祖国を裏切ったがチャマンカにつくのをやめて、捕虜になっていたショードファ人と地球人を解放したため正式に祖国の軍隊に復帰した。
もしかしたら最初からダブルスパイだったのかもしれない。
チャマンカに寝返ったと見せかけて、ショードファ軍に情報を流していたのかもしれない。
阿多には、どうでも良い話だ。
「一体なんだ?」
ザースコが、不機嫌そうに質問した。
無論ショードファ語で話しているが、通信装置が日本語に変換するので、会話には問題ない。
「チャマンカ軍の地球人艦隊の件です。すでに報告しましたが、艦隊に加わる全ての国の乗員のトップすなわち艦長が、時至ればチャマンカ軍に対して反乱を起こす事で同意しました」
「ああ、聴いてるとも。だから各艦にセットされた自爆装置を何とかしてくれと言うのだろう」
「おっしゃる通りです。相田一佐も、その上にいる方も、お返事を心待ちにしてまして」
「ちょうどそろそろ報告しようとしていたが、その件何とかなりそうだ。作戦プランを暗号通信で送るので、相田一佐に伝えてくれ。彼は、ニホン人部隊の艦長だったな」
「それは、朗報です」
喜びのあまり、阿多は思わず大声を出した。
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