46 / 66
第46話 相田一佐
しおりを挟む
チャマンカ人が襲来するまで日本の総理大臣だった笠岡は、都内にある自分の邸宅にいた。
彼の前にはやはりチャマンカ人がやってくるまで陸上自衛隊にいた相田一佐が向かい合ったソファーに腰かけている。
「日本初の宇宙巡洋艦の乗り心地は、どうかね」
笠岡は、相田に聞いた。
「まだ、慣れません。地球人用に開発されたと言いましても、製造したのはチャマンカのクマ共ですから。宇宙空間自体にも慣れません。陸上自衛隊からチャマンカ帝国宇宙軍の地球人部隊に配属されると思いませんでしたし」
「階級は、そのまま自衛隊同様一佐だそうだな」
「その通りです。自衛隊の階級を、そのまま引き継いでます。チャマンカ帝国政府の指示です」
現在地球にある人口1億人以上の国から徴兵されて、チャマンカ宇宙軍の地球人部隊に配属されていた。
人口1億人以上の国は1隻の宇宙巡洋艦に30人の乗員を派遣する形になっていた。
なので日本人が乗る宇宙巡洋艦が1隻地球人部隊に加わっている。
そのため現在中国人部隊とインド人部隊が14隻ずつ、アメリカ3隻、インドネシア、パキスタン、ナイジェリア、ブラジルが2隻ずつ、バングラデシュ、ロシア、メキシコ、エチオピア、フィリピン、エジプトが日本同様1隻ずつの巡洋艦に派遣した軍人を乗せていた。
なので現在地球人部隊は合計46隻の巡洋艦から成り立っている。
46隻の宇宙艦隊はチャマンカ人が乗る宇宙戦艦を旗艦とし、旗艦の指令で動く手筈になっていた。
ゆえに合計47隻から構成されている。
チャマンカ政府の話を信じるなら、地球人の乗る46隻の巡洋艦には自爆装置が搭載されていた。
この装置の起動をできるのは旗艦のチャマンカ人の艦長のみで、そのため地球人の乗る艦は、反乱が起こせないようになっている。
チャマンカ政府はショードファ星人の残党狩りや、帝国内の反乱を鎮圧するため地球人を利用しようとしていたのだ。
「ところで総理、例の件ですが」
相田は笠岡に話を向けた。正確に言えば笠岡は今総理大臣ではない。
日本の政治は東京にあるチャマンカ総督府によってコントロールされていたが、相田は普通に総理と呼んでいた。
「わかっておる。現在宇宙艦隊に人員を派遣している各国の、心ある実力者達と秘かに連携をとっている。皆、志は我らと同じだ。自爆装置がある以上面従腹背できゃつらに従わねばならんが、隙あらば反乱を起こし、地球の独立を回復しようと考えておる。その日のためにも君達には日々の訓練に邁進し、時来れば地球人からなる宇宙艦隊で、チャマンカ人の艦隊と、戦うケースも覚悟せねばな」
笠岡は眉をひそめると、決然とそう表明する。
彼の前にはやはりチャマンカ人がやってくるまで陸上自衛隊にいた相田一佐が向かい合ったソファーに腰かけている。
「日本初の宇宙巡洋艦の乗り心地は、どうかね」
笠岡は、相田に聞いた。
「まだ、慣れません。地球人用に開発されたと言いましても、製造したのはチャマンカのクマ共ですから。宇宙空間自体にも慣れません。陸上自衛隊からチャマンカ帝国宇宙軍の地球人部隊に配属されると思いませんでしたし」
「階級は、そのまま自衛隊同様一佐だそうだな」
「その通りです。自衛隊の階級を、そのまま引き継いでます。チャマンカ帝国政府の指示です」
現在地球にある人口1億人以上の国から徴兵されて、チャマンカ宇宙軍の地球人部隊に配属されていた。
人口1億人以上の国は1隻の宇宙巡洋艦に30人の乗員を派遣する形になっていた。
なので日本人が乗る宇宙巡洋艦が1隻地球人部隊に加わっている。
そのため現在中国人部隊とインド人部隊が14隻ずつ、アメリカ3隻、インドネシア、パキスタン、ナイジェリア、ブラジルが2隻ずつ、バングラデシュ、ロシア、メキシコ、エチオピア、フィリピン、エジプトが日本同様1隻ずつの巡洋艦に派遣した軍人を乗せていた。
なので現在地球人部隊は合計46隻の巡洋艦から成り立っている。
46隻の宇宙艦隊はチャマンカ人が乗る宇宙戦艦を旗艦とし、旗艦の指令で動く手筈になっていた。
ゆえに合計47隻から構成されている。
チャマンカ政府の話を信じるなら、地球人の乗る46隻の巡洋艦には自爆装置が搭載されていた。
この装置の起動をできるのは旗艦のチャマンカ人の艦長のみで、そのため地球人の乗る艦は、反乱が起こせないようになっている。
チャマンカ政府はショードファ星人の残党狩りや、帝国内の反乱を鎮圧するため地球人を利用しようとしていたのだ。
「ところで総理、例の件ですが」
相田は笠岡に話を向けた。正確に言えば笠岡は今総理大臣ではない。
日本の政治は東京にあるチャマンカ総督府によってコントロールされていたが、相田は普通に総理と呼んでいた。
「わかっておる。現在宇宙艦隊に人員を派遣している各国の、心ある実力者達と秘かに連携をとっている。皆、志は我らと同じだ。自爆装置がある以上面従腹背できゃつらに従わねばならんが、隙あらば反乱を起こし、地球の独立を回復しようと考えておる。その日のためにも君達には日々の訓練に邁進し、時来れば地球人からなる宇宙艦隊で、チャマンカ人の艦隊と、戦うケースも覚悟せねばな」
笠岡は眉をひそめると、決然とそう表明する。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ヒナの国造り
市川 雄一郎
SF
不遇な生い立ちを持つ少女・ヒナこと猫屋敷日奈凛(ねこやしき・ひなりん)はある日突然、異世界へと飛ばされたのである。
飛ばされた先にはたくさんの国がある大陸だったが、ある人物から国を造れるチャンスがあると教えられ自分の国を作ろうとヒナは決意した。
Miss.エッグの事情(9/3更新)
狂言巡
SF
市民に迷惑をかける怪人とそれから守る正義の味方が存在する世界。平凡なOLである主人公はひょんな事から強靭なパワーが宿るパワースーツを手にいれて自身の都合がつく限り怪人から市民を守っていた。全身白くて丸い容貌から通称は「キラーエッグ」。主人公は大企業と契約してるヒーローに正体がバレ、それを知った大企業の社長が主人公の勤め先を買収。大企業が作ったヒーロー課の事務に転職するのだった……。
ヤンデレ要素のある、なんちゃってSFを目指します。
正しい歴史への直し方 =吾まだ死せず・改= ※現在、10万文字目指し増補改訂作業中!
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
二度の世界大戦を無事戦勝国として過ごすことに成功した大日本帝国。同盟国であるはずのドイツ第三帝国が敗北していることを考えたらそのさじ加減は奇跡的といえた。後に行われた国際裁判において白人種が今でも「復讐裁判」となじるそれは、その実白人種のみが断罪されたわけではないのだが、白人種に下った有罪判決が大多数に上ったことからそうなじる者が多いのだろう。だが、それはクリストバル・コロンからの歴史的経緯を考えれば自業自得といえた。
昭和十九年四月二日。ある人物が連合艦隊司令長官に着任した。その人物は、時の皇帝の弟であり、階級だけを見れば抜擢人事であったのだが誰も異を唱えることはなく、むしろその采配に感嘆の声をもらした。
その人物の名は宣仁、高松宮という雅号で知られる彼は皇室が最終兵器としてとっておいたといっても過言ではない秘蔵の人物であった。着任前の階級こそ大佐であったが、事実上の日本のトップ2である。誰が反対できようものか。
そして、まもなく史実は回天する。悪のはびこり今なお不正が当たり前のようにまかり通る一人種や少数の金持ちによる腐敗の世ではなく、神聖不可侵である善君達が差配しながらも、なお公平公正である、善が悪と罵られない、誰もに報いがある清く正しく美しい理想郷へと。
そう、すなわちアメリカ合衆国という傲慢不遜にして善を僭称する古今未曾有の悪徳企業ではなく、神聖不可侵な皇室を主軸に回る、正義そのものを体現しつつも奥ゆかしくそれを主張しない大日本帝国という国家が勝った世界へと。
……少々前説が過ぎたが、本作品ではそこに至るまでの、すなわち大日本帝国がいかにして勝利したかを記したいと思う。
それでは。
とざいとーざい、語り手はそれがし、神前成潔、底本は大東亜戦記。
どなた様も何卒、ご堪能あれー……
ああ、草々。累計ポイントがそろそろ10万を突破するので、それを記念して一度大規模な増補改訂を予定しております。やっぱり、今のままでは文字数が余り多くはありませんし、第一書籍化する際には華の十万文字は越える必要があるようですからね。その際、此方にかぶせる形で公開するか別個枠を作って「改二」として公開するか、それとも同人誌などの自費出版という形で発表するかは、まだ未定では御座いますが。
なお、その際に「完結」を外すかどうかも、まだ未定で御座います。未定だらけながら、「このままでは突破は難しいか」と思っていた数字が見えてきたので、一度きちんと構えを作り直す必要があると思い、記載致しました。
→ひとまず、「改二」としてカクヨムに公開。向こうで試し刷りをしつつ、此方も近いうちに改訂を考えておきます。
ツーリスト・アドベンチャー
飛鳥弥生
SF
――ワープを繰り返し、亜空間ラムジェット旅客機に揺られること数時間。
遂にやってきました、ザッツ・リアルワールド。
ヴァーチャルワールドからの3泊5日の小旅行。
Tactical name: Living dead. “ Fairies never die――. ”
されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
遠い昔の記憶なのでやや曖昧だが、その中でも鮮明に残っている光景がある。
企業が作った最先端のロボット達が織りなす、イベントショーのことだった。
まだ小学生だった頃の俺は両親に連れられて、とある博物館へと遊びに来ていた。
そこには色々な目的で作られた、当時の様々な工業機械や実験機などが、解説と一緒に展示されていた。
ラジコンや機械弄りが大好きだった俺は、見たこともない機械の物珍しさに、凄く喜んでいたのを朧げに覚えている。
その中でも人間のように二足歩行し、指や関節の各部を滑らかに動かして、コミカルなショーを演じていたロボットに、一際、興味を惹かれた。
それは目や鼻と言った特徴はない無機質さで、まるで宇宙服を着込んだ小さな人? そんな感じだった。
司会の女性が質問を投げ掛けると、人の仕草を真似て答える。
首を傾げて悩む仕草や、大袈裟に身振り手振りを加えたりと、仰々しくも滑稽に答えていた。
またノリの良い音楽に合わせて、ロボットだけにロボットダンスを披露したりもして、観客らを大いに楽しませていた。
声は声優さんがアテレコしていたのをあとから知るが、当時の俺は中に人が入ってるんじゃね? とか、本気で思っていたりもしていたくらいだ。
結局は人が別室で操作して動かす、正しくロボットに違いはなかった。
だがしかし、今現在は違う。
この僅か数十年でテクノロジーが飛躍的に進歩した現代科学。
それが生み出したロボットに変わるアンドロイドが、一般家庭や職場にも普及し、人と共に生活している時代だからだ。
外皮を覆う素材も数十年の間に切磋琢磨され、今では人間の肌の質感に近くなり、何がどうと言うわけではないが、僅かばかりの作り物臭さが残る程度。
またA.I.の発達により、より本物の人間らしい動き、表情の動きや感情表現までもを見事に再現している。
パッと見ただけでは、直ぐに人間と見分けがつかないくらい、精巧な仕上がりだ。
そんな昔のことを思い出している俺は、なんの因果か今現在、そのアンドロイドらと絶賛交戦中ってわけで――。
蒼海の碧血録
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。
そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。
熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。
戦艦大和。
日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。
だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。
ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。
(本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。)
※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。
待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…
はにゃ
SF
20XX年。
夢にまでみたVRMMOゲーム機『ダイブオン』と剣と魔法を駆使してダンジョンを踏破していくVRMMORPG『アトランティス』が発売された。
五感全てで没入できるタイプのゲームに、心奪われ、血湧き肉躍る僕の名は、佐藤健一(高校2年生)。
学校でぼっちでいじめられっ子な僕は、学校を休んでバイトに明け暮れ、バカ高いゲーム(本体二十九万八千円+ソフト九万八千円也)と面倒くさい手続きと倍率の高い購入予約券を運良く手に入れることができた。
普通のオンラインRPGでギルドのタンク(壁役)を務めていた僕は、同じく購入できたギルメンのフレとまた一緒にプレイするこのを約束した。
そして『アトランティス』発売初日、学校を休んだ僕は、開始時間と同時にダイブした。
…はいいんだけど、キャラがリアル過ぎてテンパってしまう!
みんなキャラメイキングでイケメンや美少女、美女ばかりだし(僕もイケメンキャラだけど)、コミュ障な僕はテンパりすぎてまともに会話ができない!
目を合わせられないし、身体も壊れたロボットのようにギクシャクしてしまう。
こんなはずじゃなかったのに!と嘆く僕を陰で嘲笑うプレイヤーとフレ達…。
ブルータスよ、お前もか………。
ゲームの中でもイジメられ、ある出来事をキッカケにソロでやっていくことを決意する。
これは、NPCを仲間にギルドを立ち上げ、プレイヤーと対峙し、ダンジョンに挑む僕の独りよがりだけどそうでもないぼっちな話。
ただいま不定期更新中m(_ _)m
モチベーションが上がらないので半ば打ち切り状態です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる