あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

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続編/高宮過去編

颯side―1

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「結婚?」
「そう、駿から連絡がきて……颯も都合つけてくれない?急なんだけど来週末。難しい?」
「いや、全然いいけど……え、本当に帰ってくるの?」
 俺が聞いたら母さんが半泣きの顔で頷いた。


(マジか――)


 兄が家を出てから十三年、出て行ってしばらくは両親もわかりやすく気落ちして俺も罪悪感でいっぱいだった。もともとの関係性が不安定だったところに最後に喧嘩、後味の悪さしか残らない別れ方で、言いたい事の半分も言えず、そもそも言いたい事なんか言えていない。言わなければよかったと思うことしか言っていない、その後悔がずっとある。


(結婚?兄さんが結婚?一人で帰ってくるってことじゃないのか?なら謝るタイミングってあるんだろうか)


「美山さん……あ、駿の相手の方ね、とっても素敵なお嬢さんだったわよ、優しくて落ち着いていて……」
「そっか、母さんは会ってるんだよね。その時兄さんはいなかったの?」
 聞くと頷く。
 両親は兄とはずっと会っていない、父さんだけが連絡の窓口にはなっていたけれど会う機会は作られていなかった。


「颯の連絡先、美山さんに伝えてあるの。あなたの方に駿から連絡が来るかもしれないわ」
「え!」
「あ、ごめんね、勝手なことして。ダメだった?」
「いや、いい、全然いいけど……」


(連絡……くるのかな)


 そんな気持ちでドキドキしながら過ごす日々が始まった。その日以来携帯が気になって、数時間おきには携帯をチェックして、考えないようにしようと自分を説得しながら考えていた。


 母さんから聞かされて一週間。一度も兄からの連絡で携帯は震えない。


(こねーじゃぁぁぁん!!)


 待っている自分がバカみたいだけど待っている。待つなよ、と何度も言い聞かせているのに待つのを止められない。


 俺は――この年になっても重度のブラコン、兄を慕い続けていたりする。



 ――――


「高宮くんって、もしかして高宮先輩の弟なの?」


 中学に入学して最初に声をかけてきたのは中三の華やかな先輩たちだった。学園の中の狭いカースト制度の中で確実に上位にいるであろう人たち、その人たちに囲まれた。


「――はい、高宮駿なら僕の兄です」
 きゃーー!とそれだけで悲鳴をあげられて正直ビビった。

「でもなんとなく似てるよね?やっぱり兄弟!弟君は可愛いって感じ?ええ、本当に兄弟なんだ、高宮先輩って今彼女とかいるの?○○高校でもすっごいモテてるって聞いたけど何か知ってる?先輩に良かったら連絡先伝えてほしんだけど無理かなぁ?」
 きゃんきゃん犬が鳴くみたいに聞かれて耳が痛かった。


「もうね、中三のときでもすっごいすっっごいカッコよくて……ねぇー!一日見かけられたらラッキーってジンクスまであったんだよぉ!目があったら願い事が叶うとかね!今も絶対かっこいいんだろうなぁ!ブレザーの先輩みたぁぁい!!!!」


(う、うるさすぎる……)


 とにかく兄の評判はすごかった。教師からは絶賛され、男子たちにも憧れられ、女子たちにはモテはやされている。少し素行が悪そうで歩いていたら道をよけてしまいそうな怖そうな人に入学してすぐ体育館裏に引っ張られて青ざめていたら兄への熱烈な心酔の気持ちを告げられた。


(どういう関係だ、この人たちと……)


 成績優秀、素行も良く、内申満点。

 スポーツもどれもそつなくこなして、バスケ部エースの主将、聞くほど欠点なんかないし、聞くほどに憧ればかりが募っていった。

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