あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

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続編/高宮過去編

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 あっという間の週末。
 父親からも電話が来て、颯も都合をつけてくれたらしい。結局颯とは一度も連絡をとらないまま会うことになる。それでも不思議と不安がなかった。不安がなくなるほど、彼女が不安感を抱きだしたからだ。

 母親といきなり電話までして会ってきたほど肝が据わっていた彼女がなぜ今さらそんなに慌てだすのか、そもそも家族と会いたいと言い出したのは自分ではないか、なにをいいだしてるんだろうと半ば呆れだした俺にも不安を告げてくる。


「もう言っちゃってるの?なんでもう言っちゃったの?ちょっと待ってなんか急に不安になってきて……」
「今さらだね」
「どうしようもない理由ばっかりなんだけど、駿くんよりも年上で今年三十六だし、身内もいないし……」
「言っても意味ない理由ばっかりだね」
「また意味を問いただす……まずは家族の再会がメインだと思ってたから……私との結婚の話はまたその次とかそんなのでいいのに……」
「会いに行くもともとの理由って結婚の挨拶だったよね?言い出したの燈子さんだよ」
 そうだけど――と胃を痛めて半泣きになっている。


「なにがそんなに不安なのか理解できない」
 全く理解できずにいる俺に今度は彼女が呆れだした。

「私で……その、大丈夫かなって話でしょお!」


(むしろ燈子さん以外誰ならいけるんだ、燈子さん以外ありえないだろうが)


 十三年離れた家族と引き合わすキッカケを作った自分を何者だと思っているのか。


「三十五だよ……私」
「そこ?それそんなに大事?」
「大事でしょ……若さ大事よ……」
 項垂れる彼女を見て心底どうでもいいなと思っていた。別に彼女が四十でもどうでもいいと思っているだろう。


「燈子さん」
「――はい」
 目の前で肩を落としている彼女を抱き上げて膝の上にのせて見上げるとまだ少し暗い表情で俺を見つめてくる。


「俺が好きな人は美山燈子っていう人なんだよ、年齢や背景や過去も全部ひっくるめて燈子さんって人が好きなわけ。俺にとっては燈子さんがすべてなの、わかる?」
「……はい」
「燈子さんはさぁ、意味のないことなんかないって言うけどさぁ、その話は本気で意味を見出せないわ、俺には」
「そう、だけど……」
「こんな好きになった人いないよ、悪いけど」
 そう言ったら真っ赤になる。


「駿くんって……好きって結構言うことない?」
「そぉ?なんか今まで好きとか言わずに来たから溜まってんじゃない?浴びるようにいうよ、これからは」
「そんな……」
 ますます赤くなるから可愛くて。


「――好きだよ、好きじゃ足りない……」
 そのまま身体を自分に引き寄せる様に抱きしめて見つめながら言う。


「――愛してる」

 これから先ずっと、俺は彼女を愛し続ける。



 ~Fin~


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長々とお付き合いくださった読者様、ここまでお読みくださりありがとうございます!!
最後に颯sideと、高宮sideをもう少々お付き合いくださると嬉しいです^^

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