あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

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続編/燈子過去編

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 ”ごめんなさい”そんな言葉しか言えない私に彼もまた謝ってくるから――。

「いや、気を使わせてたのかなって……俺もごめんね」
 彼が謝ることなんかなんにもない。

「黙ってたのは……言いたくなかったから」
「うん」
 頭の上で響く優しい声が胸を震わせていく。抱きしめてくれる腕の中があったかくてそれだけでホッとしてきてまた涙が溢れる。


「ごめんね……」


(言えなくて。内緒にしてて……知られたくなかった)


「聞いてもいい?織田さんとのこと。言いたくないなら無理には聞かないけど」


 ――気になっていました。


 そう言われてなんと答えていいかわからなくて困ったというのが本音だった。たった一回しかも雨の中ピアスを探させた女の泣き顔を気にかける意味。愛想にしても理解できなくて、単純に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「……すみません、不快な思いをさせて」
「そうじゃないです、そうじゃない。なんて言えばいいのか……ただ、本当に気になってたとしか言えなくて。心配……心配という気持ちが大きいかな。溜め込んでいたなにかを吐き出すみたいに泣いていたあなたが心配でした」
「初めて会う方の前であんなに泣くなんて本当にどうかしてますよね。いい大人が情けないです」
「初めて会ったから泣けたんじゃないんですか?僕が知らない相手だから……そんな気がしていたけど」

「違う?」
 そう聞かれて戸惑った。


「クライアントでもたくさんいます。親しい人にしか泣けない人も多いけど、見ず知らずの人にだからこぼせることも。美山さんは後者の人なんじゃないかな」
 穏やかな声はそう言ってまた私の耳を甘くくすぐり始める。織田さんの声は耳に心地よかった。
 とても安心できた。好きだと、単純に思える声だった。


「仕事柄話を聞くのは得意なんです。良かったら聞かせてください。溜め込んでることがあるなら力になれるかもしれないし」
「そんな……私なんかの話なんか……それに、その……お金を支払ったりもできません」
 正直にそう言ったら笑われてしまった。


「ごめんなさい、仕事を盾にしたらそうなっちゃうのか。そんな重く受け止めないでください。ただの世間話くらいの気持ちで、これも何かの縁だと思って」
「……縁?」
「僕は美山さんと縁を感じたけどな。ピアスを見つけられたのもそう思いました」
「私も……」
「え?」
「感じました……縁を」


 失くしたピアスが戻るのは運命めいた再会を示す。
 ブルートパーズには、引き寄せの意味が込められた、引き寄せのパワーが強い石。


 ――縁を引き寄せるスピリチュアル効果。


 母が、私に引き合わせてくれた人かもしれない。その時私はそう思ってしまっていた。

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