あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

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続編/燈子過去編

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 すぐに追えなかったから周辺に姿はない。彼女が立ち寄りそうなところ、彼女がいそうな場所を走り回った。どれくらい探したか、久しぶりに走って汗をかく、疲労より不安が含まれる汗、焦りが余計汗を滲ませた。あんなに青ざめた彼女をすぐに追いかけなかった、追いかけられなかった自分に腹を立てている。時間が経つほどに彼女の顔が胸を締め付けて今なにを思って一人でいるのかと考えたら余計に後悔が襲った。

 彼女はずっと織田さんの存在に気付いていた。名刺を見た時、城内さんの携帯番号に反応したんじゃない、織田さんの名前に反応したのか。
 俺と織田さんが接触していることに多分ずっと不安を持っていた、でもそれを言えずにいた。言えなかったのか言いたくなかったのか、多分後者だろう。


(燈子さんが……織田さんと付き合ってたなんて)


 数をもう覚えていないほど過去に関係を作っていた俺が何様なんだと思う。
 でもそんな打算と自己中な思いで作られた関係を山ほどしている俺と違って一人と向き合い結婚まで考えて真剣に付き合っていた彼女の方が罪が重い気がした。
 数なんかどうでもいい、たった一人に負ける方が悔しい。その相手に勝てないと意味がないじゃないか。



 彼女はまだ織田さんに未練があるのか?

 だから俺には言えなかった?

 織田さんの話したいことはなんだ?

 今日会うまでに連絡は取っていた?

 二人は、まだ想いあっている?



(ヤバい、頭の中が見苦しいことばっかり考えだしてて止まらない……)



 手に入れたものを奪われる経験がない。手放すのを恐れた経験がない。それだけ大事なものなんかなかった、ないから焦る、怖くて不安で堪らない。


 彼女が離れるかもしれない――。
 またその恐怖が襲ってくる。


(ダメだ、いない……見つけられない)


 携帯を取り出して電話をかける。数回コールが鳴って彼女は出た。


「もしもし?燈子さん?どこにいる?」
 息切れの俺の声に探していることを察知してくれたのか、小さな声はかすかに鼻声に聞こえた。


『ごめんなさ……』
「謝らなくていい、とにかくどこ?行くから言って」
『……もう少しで家……』
 彼女は家に帰ろうとしていた、それだけで安堵のため息がこぼれた。


「俺もすぐ戻る、帰ったら出ないで、どこにも行かないで待ってて、いい?」
『……はい』
 どこにも行かないで――、その言葉の意味はもっと重くて深い。その気持ちに彼女に気付いてほしい、それだけを思って俺は家までの道を走って戻ったのだ。

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