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番外編
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ぎゅっと彼に包まれた。
「燈子さんは俺のお母さんになりたいんですか?」
「……なりたいかなりたくないかだと、なりたいけど……それは例えみたいなもので、本気でお母さんになりたいわけじゃないですよ?」
「燈子さんみたいな人が母親だったらこんな風に育ってなかっただろうなぁ」
「いやいや、そんなに干渉もされずそこまで自立してしっかりした人になってる高宮さんが私みたいな人間に育てられてプラスになったとは思えませんけど」
「俺は中身が空っぽですよ、それを今燈子さんが満たしてくれてる」
(え――)
「自分で詰め込めるものは吸収してこれたけど、与えてもらえるものには飢えてるっていうか……それこそ母親からの愛情とかそういうのに疎いから根本的に足りてないんでしょうねぇ、満たされてこなかったのはそこが原因だったのかも、って今気づきました」
そう言ってニコッと微笑んで頬に手が触れてくる。
「なんで燈子さんに本能的に惹かれて離したくなかったのかやっと理解できましたよ。この甘い匂いは母親みたいな愛情が俺にあったからなんですね」
頬に触れた手が首筋に回って彼がまた耳の裏あたりに鼻を寄せてスンッと匂いを嗅いでくる。この行為も最初は本気で恥ずかしくて何度もやめてほしいとお願いしたけど聞いてくれることはなく、慣れたらもう抵抗もなくなった。息をするくらい自然に私から感じるらしい甘い匂いをいつも心地よさそうに嗅いでいるからもう咎めることもしなくなった。
「でも俺は燈子さんに母親にはなってほしくないな」
「え?」
「そりゃそうでしょ。その気持ちは嬉しいですけど、俺はあなたに母親を求めたことはないですから」
「――ですよね」
(そりゃそうだよね……ショックを受けるべきではないけれど内心はショック)
その気持ちを読んだのか耳元でくすくす笑うから恥ずかしくなる。
「ごめんなさい」
「謝るところじゃないですよ、そういう意味じゃなくって……」
抱きしめられていた体が引きはがされて、まっすぐに見つめられてそれを見つめ返した。
「一番そばにいれる人になれるでしょ?燈子さんなら」
「……え?」
「今は仕事のこともあるからそんなことは考えられないのかもしれないけど、落ち着いたら考えてくださいね」
(それって――)
「燈子さんは俺のお母さんになりたいんですか?」
「……なりたいかなりたくないかだと、なりたいけど……それは例えみたいなもので、本気でお母さんになりたいわけじゃないですよ?」
「燈子さんみたいな人が母親だったらこんな風に育ってなかっただろうなぁ」
「いやいや、そんなに干渉もされずそこまで自立してしっかりした人になってる高宮さんが私みたいな人間に育てられてプラスになったとは思えませんけど」
「俺は中身が空っぽですよ、それを今燈子さんが満たしてくれてる」
(え――)
「自分で詰め込めるものは吸収してこれたけど、与えてもらえるものには飢えてるっていうか……それこそ母親からの愛情とかそういうのに疎いから根本的に足りてないんでしょうねぇ、満たされてこなかったのはそこが原因だったのかも、って今気づきました」
そう言ってニコッと微笑んで頬に手が触れてくる。
「なんで燈子さんに本能的に惹かれて離したくなかったのかやっと理解できましたよ。この甘い匂いは母親みたいな愛情が俺にあったからなんですね」
頬に触れた手が首筋に回って彼がまた耳の裏あたりに鼻を寄せてスンッと匂いを嗅いでくる。この行為も最初は本気で恥ずかしくて何度もやめてほしいとお願いしたけど聞いてくれることはなく、慣れたらもう抵抗もなくなった。息をするくらい自然に私から感じるらしい甘い匂いをいつも心地よさそうに嗅いでいるからもう咎めることもしなくなった。
「でも俺は燈子さんに母親にはなってほしくないな」
「え?」
「そりゃそうでしょ。その気持ちは嬉しいですけど、俺はあなたに母親を求めたことはないですから」
「――ですよね」
(そりゃそうだよね……ショックを受けるべきではないけれど内心はショック)
その気持ちを読んだのか耳元でくすくす笑うから恥ずかしくなる。
「ごめんなさい」
「謝るところじゃないですよ、そういう意味じゃなくって……」
抱きしめられていた体が引きはがされて、まっすぐに見つめられてそれを見つめ返した。
「一番そばにいれる人になれるでしょ?燈子さんなら」
「……え?」
「今は仕事のこともあるからそんなことは考えられないのかもしれないけど、落ち着いたら考えてくださいね」
(それって――)
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