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続編/燈子過去編
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過去に付き合ってきたようなどタイプな女性を視界の中に入れて感じてしまった。その視線と絡む意味を。
(同気相求……そんな匂いがめっちゃする)
そのタイミングを逃してこなかった。出会えた時がチャンスだったから、いつもその時に小さな種は蒔いてきていた。それも思い起こしてなんだか当時の自分にうんざりした。
自分から声をかけまくるようなことはしない、でも声をかけやすくするための下準備をする、そんなゲスなことをよくやっていたな、そんな自分が今ではもうバカらしい。
前ならきっとその視線にさりげなく笑顔を返していた、そうやってアクションを起こすキッカケを作っていた。でももう今そんな必要もないしする気もない。俺は見つめられる視線にフッと顔を反らしたら、その彼女の背後にいた男性に目がいった。
彼女の上司か、とても落ち着いた感じの四十前くらいに見える。艶感のあるネイビーのダブルスーツに白いシャツ、ネクタイはブラウンとセンスが良さそうで単純に目が引いた。人生の中で今のところ弁護士と絡む経験がない、もしなにか巻き込まれたらこんな雰囲気の人に頼めたら安心できそうだな、そんな好感しか持てないような男性だった。
小一時間ほど打ち合わせがあって俺の顔合わせの役目はとりあえず終えて業務に戻る、その前に一服。そのまま事務所には戻らず喫煙ルームに足を運んだら先客がいた。
「おつかれ」
「おー、おつかれ」
同期の和泉だ。
「さっきめっちゃいい女いた」
和泉の第一声に鼻で笑う。あいかわらず女にはめざとい、アンテナが常に張られてるのが和泉のすごいところだ。
「ベージュのタイトワンピースにロングヘアー?」
「あれ、なんでお前も知ってんの?」
「今さっきまで会ってたわ、外部監査絡みの弁護士だってさ」
「弁護士ー、あぁバリキャリはあんまり好きじゃない」
手あたり次第行く風だけど好みはちゃんとあるのか、確かに和泉はあまり意思の強そうな女は好みじゃない気がする。
「なんか高宮が丸くなったから面白くないんだよなぁ」
「ごめんね、卒業しちゃって」
「なにそれ、腹立つわ。同期らがどんどん丸くなる……」
年齢もあるかもしれないが身近の仲良くしている同期たちは結婚して子供が出来たりして丸くなるというか落ち着いてきている。そして俺もその一人、彼女と暮らしたらひどく落ち着いた。付き合いだしたときは彼女が離れていかないかとか漠然とした不安に襲われてなんとか繋ぎとめる方法を模索していたけれど今はそこまで思わない。
彼女が離れていかないとわかる。
そして俺がもう絶対に離さないと誓える、それくらい強い束縛心が芽生えている。
「高宮ももう結婚とかしちゃうわけ?」
結婚というフレーズにうんざりした感じの和泉に聞かれて空を仰ぐ。
「ん~、時期が来たらじゃない?向こう次第かな」
「あれ、前はしたいしたいなってたじゃん」
繋ぎとめる方法のひとつが結婚という縛りしかないと思っていたのは本音だ。でもそればかりは自分の意志だけではできない、そんな支配がしたかったわけじゃない。
もっと自然に、求められるように結ばれていたかった。
だから待つことに決めた、彼女が望んだときに必要があれば結婚したらいい、今はそれくらいの気持ちでいている。
「大人になりました」
「……悟りに入ったな」
「それ、いい表現だな」
「――なんか怖い、お前が悟り開くの。やばいストーカーより質悪そう」
和泉にそんな風に言われて笑ってスルーしたが、自分がヤンデレ化はしている気がしていた。
(幼児化からのヤンデレ化……ふり幅がひどいな、燈子さん完璧にやばい男に捕まったよなぁ、可哀想になってきた)
そう思っても離してやれるわけはないんだけど。
(同気相求……そんな匂いがめっちゃする)
そのタイミングを逃してこなかった。出会えた時がチャンスだったから、いつもその時に小さな種は蒔いてきていた。それも思い起こしてなんだか当時の自分にうんざりした。
自分から声をかけまくるようなことはしない、でも声をかけやすくするための下準備をする、そんなゲスなことをよくやっていたな、そんな自分が今ではもうバカらしい。
前ならきっとその視線にさりげなく笑顔を返していた、そうやってアクションを起こすキッカケを作っていた。でももう今そんな必要もないしする気もない。俺は見つめられる視線にフッと顔を反らしたら、その彼女の背後にいた男性に目がいった。
彼女の上司か、とても落ち着いた感じの四十前くらいに見える。艶感のあるネイビーのダブルスーツに白いシャツ、ネクタイはブラウンとセンスが良さそうで単純に目が引いた。人生の中で今のところ弁護士と絡む経験がない、もしなにか巻き込まれたらこんな雰囲気の人に頼めたら安心できそうだな、そんな好感しか持てないような男性だった。
小一時間ほど打ち合わせがあって俺の顔合わせの役目はとりあえず終えて業務に戻る、その前に一服。そのまま事務所には戻らず喫煙ルームに足を運んだら先客がいた。
「おつかれ」
「おー、おつかれ」
同期の和泉だ。
「さっきめっちゃいい女いた」
和泉の第一声に鼻で笑う。あいかわらず女にはめざとい、アンテナが常に張られてるのが和泉のすごいところだ。
「ベージュのタイトワンピースにロングヘアー?」
「あれ、なんでお前も知ってんの?」
「今さっきまで会ってたわ、外部監査絡みの弁護士だってさ」
「弁護士ー、あぁバリキャリはあんまり好きじゃない」
手あたり次第行く風だけど好みはちゃんとあるのか、確かに和泉はあまり意思の強そうな女は好みじゃない気がする。
「なんか高宮が丸くなったから面白くないんだよなぁ」
「ごめんね、卒業しちゃって」
「なにそれ、腹立つわ。同期らがどんどん丸くなる……」
年齢もあるかもしれないが身近の仲良くしている同期たちは結婚して子供が出来たりして丸くなるというか落ち着いてきている。そして俺もその一人、彼女と暮らしたらひどく落ち着いた。付き合いだしたときは彼女が離れていかないかとか漠然とした不安に襲われてなんとか繋ぎとめる方法を模索していたけれど今はそこまで思わない。
彼女が離れていかないとわかる。
そして俺がもう絶対に離さないと誓える、それくらい強い束縛心が芽生えている。
「高宮ももう結婚とかしちゃうわけ?」
結婚というフレーズにうんざりした感じの和泉に聞かれて空を仰ぐ。
「ん~、時期が来たらじゃない?向こう次第かな」
「あれ、前はしたいしたいなってたじゃん」
繋ぎとめる方法のひとつが結婚という縛りしかないと思っていたのは本音だ。でもそればかりは自分の意志だけではできない、そんな支配がしたかったわけじゃない。
もっと自然に、求められるように結ばれていたかった。
だから待つことに決めた、彼女が望んだときに必要があれば結婚したらいい、今はそれくらいの気持ちでいている。
「大人になりました」
「……悟りに入ったな」
「それ、いい表現だな」
「――なんか怖い、お前が悟り開くの。やばいストーカーより質悪そう」
和泉にそんな風に言われて笑ってスルーしたが、自分がヤンデレ化はしている気がしていた。
(幼児化からのヤンデレ化……ふり幅がひどいな、燈子さん完璧にやばい男に捕まったよなぁ、可哀想になってきた)
そう思っても離してやれるわけはないんだけど。
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