あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

sae

文字の大きさ
39 / 145
本編

39話・熱い手に抱きしめられて(燈子)

しおりを挟む
 真剣な言葉に絶句した。
 彼の口から溢される気持ちの数々にも驚きはあったけれど最後の言葉はすべてを吹っ飛ばすほど驚いた。

「……え?」
「――やっぱり誤解してますよね?」
「え、だって……」
「ちゃんと頭は覚醒してたんで。吐いたあとはわりかしクリアになってましたし、酔ってましたがボケてはないです」
 そうだったのか――と、間抜けにも思った。


(もう半分以上寝ているものだと思っていたんだけど……そうなんだ)


「も、もう感覚でされてるのかなって……」
「誰にでもガッツいていたと?」
「……えっと」
 聞かれて言葉を選ぶもののうまい言葉が見つからない。つまり図星である。

「ひどくないですか?」
「え?!ご、ごめんなさい」
「いや……俺、クズみたいな付き合い方してきましたけど、ワンナイトとかはしたことないんで。誰でもいいとか一番したことないです」
「あ、そ、そう、なんですか」
 そんな告白を聞かされてより困惑。えっと、それはつまり、どういうことだ?

(ワンナイトでは、ない?女の子とは遊ばない?え?じゃあなに?私とは、なんだったの?)

 頭がこんがらがってきた。

「背中をさすられて、かけてくれる声がめちゃくちゃ優しくて、あー、すごい心配してくれてるんだなぁってわかって気が緩んで……帰るって言われたらもう手を取ってました。帰したくないなって本気で思ったからです」
 あの日と同じような熱い手に手を触れられた。

「抱きたいって衝動的に思いました。細胞が言う感じ?ぶっちゃけ彼女もしばらくいないし、仕事のストレスもあったしで溜まってたってのは事実ですけど――においが……」
 そう指先をいじりながら困惑したように言う。

「なんかめっちゃ甘い匂いするんですよ、美山さんって。なんなんですか?なにかつけてます?」
「な、なにも……香水とか苦手なので。あ、柔軟剤?」
「そんなもんにいちいち興奮しませんよ」
「でも本当になにも……ひゃ!」
 耳の裏あたりに彼がいきなり鼻を摺り寄せてきて身が縮んだ。


(い、いきなり急接近はやめてほしい!!)


「なんだろう……甘い……美山さんにしかない俺にしか感じない匂いがする」


(―――そ、そのセリフ……なんかダメ、めちゃくちゃ恥ずかしい!!)


「本能的に感じるのかなぁ、ずっと嗅いでられますよ俺。このまま、ずっと」
 そう言って腰に腕が巻き付いてきて彼にそっと身体を引き寄せられた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

鬼上官と、深夜のオフィス

99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」 間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。 けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……? 「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」 鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。 ※性的な事柄をモチーフとしていますが その描写は薄いです。

処理中です...