39 / 145
本編
39話・熱い手に抱きしめられて(燈子)
しおりを挟む
真剣な言葉に絶句した。
彼の口から溢される気持ちの数々にも驚きはあったけれど最後の言葉はすべてを吹っ飛ばすほど驚いた。
「……え?」
「――やっぱり誤解してますよね?」
「え、だって……」
「ちゃんと頭は覚醒してたんで。吐いたあとはわりかしクリアになってましたし、酔ってましたがボケてはないです」
そうだったのか――と、間抜けにも思った。
(もう半分以上寝ているものだと思っていたんだけど……そうなんだ)
「も、もう感覚でされてるのかなって……」
「誰にでもガッツいていたと?」
「……えっと」
聞かれて言葉を選ぶもののうまい言葉が見つからない。つまり図星である。
「ひどくないですか?」
「え?!ご、ごめんなさい」
「いや……俺、クズみたいな付き合い方してきましたけど、ワンナイトとかはしたことないんで。誰でもいいとか一番したことないです」
「あ、そ、そう、なんですか」
そんな告白を聞かされてより困惑。えっと、それはつまり、どういうことだ?
(ワンナイトでは、ない?女の子とは遊ばない?え?じゃあなに?私とは、なんだったの?)
頭がこんがらがってきた。
「背中をさすられて、かけてくれる声がめちゃくちゃ優しくて、あー、すごい心配してくれてるんだなぁってわかって気が緩んで……帰るって言われたらもう手を取ってました。帰したくないなって本気で思ったからです」
あの日と同じような熱い手に手を触れられた。
「抱きたいって衝動的に思いました。細胞が言う感じ?ぶっちゃけ彼女もしばらくいないし、仕事のストレスもあったしで溜まってたってのは事実ですけど――においが……」
そう指先をいじりながら困惑したように言う。
「なんかめっちゃ甘い匂いするんですよ、美山さんって。なんなんですか?なにかつけてます?」
「な、なにも……香水とか苦手なので。あ、柔軟剤?」
「そんなもんにいちいち興奮しませんよ」
「でも本当になにも……ひゃ!」
耳の裏あたりに彼がいきなり鼻を摺り寄せてきて身が縮んだ。
(い、いきなり急接近はやめてほしい!!)
「なんだろう……甘い……美山さんにしかない俺にしか感じない匂いがする」
(―――そ、そのセリフ……なんかダメ、めちゃくちゃ恥ずかしい!!)
「本能的に感じるのかなぁ、ずっと嗅いでられますよ俺。このまま、ずっと」
そう言って腰に腕が巻き付いてきて彼にそっと身体を引き寄せられた。
彼の口から溢される気持ちの数々にも驚きはあったけれど最後の言葉はすべてを吹っ飛ばすほど驚いた。
「……え?」
「――やっぱり誤解してますよね?」
「え、だって……」
「ちゃんと頭は覚醒してたんで。吐いたあとはわりかしクリアになってましたし、酔ってましたがボケてはないです」
そうだったのか――と、間抜けにも思った。
(もう半分以上寝ているものだと思っていたんだけど……そうなんだ)
「も、もう感覚でされてるのかなって……」
「誰にでもガッツいていたと?」
「……えっと」
聞かれて言葉を選ぶもののうまい言葉が見つからない。つまり図星である。
「ひどくないですか?」
「え?!ご、ごめんなさい」
「いや……俺、クズみたいな付き合い方してきましたけど、ワンナイトとかはしたことないんで。誰でもいいとか一番したことないです」
「あ、そ、そう、なんですか」
そんな告白を聞かされてより困惑。えっと、それはつまり、どういうことだ?
(ワンナイトでは、ない?女の子とは遊ばない?え?じゃあなに?私とは、なんだったの?)
頭がこんがらがってきた。
「背中をさすられて、かけてくれる声がめちゃくちゃ優しくて、あー、すごい心配してくれてるんだなぁってわかって気が緩んで……帰るって言われたらもう手を取ってました。帰したくないなって本気で思ったからです」
あの日と同じような熱い手に手を触れられた。
「抱きたいって衝動的に思いました。細胞が言う感じ?ぶっちゃけ彼女もしばらくいないし、仕事のストレスもあったしで溜まってたってのは事実ですけど――においが……」
そう指先をいじりながら困惑したように言う。
「なんかめっちゃ甘い匂いするんですよ、美山さんって。なんなんですか?なにかつけてます?」
「な、なにも……香水とか苦手なので。あ、柔軟剤?」
「そんなもんにいちいち興奮しませんよ」
「でも本当になにも……ひゃ!」
耳の裏あたりに彼がいきなり鼻を摺り寄せてきて身が縮んだ。
(い、いきなり急接近はやめてほしい!!)
「なんだろう……甘い……美山さんにしかない俺にしか感じない匂いがする」
(―――そ、そのセリフ……なんかダメ、めちゃくちゃ恥ずかしい!!)
「本能的に感じるのかなぁ、ずっと嗅いでられますよ俺。このまま、ずっと」
そう言って腰に腕が巻き付いてきて彼にそっと身体を引き寄せられた。
22
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!


【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。


【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる