あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

sae

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本編

33話・理不尽な罵声(高宮)

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 昼を食べて喫煙ルームで一服していたらその部屋には似つかわしくない菱田ちゃんが勢いよく扉を開けて入ってきた。中にいた数人が一瞬固まってその姿に息を呑んでいる。こんな若い可愛い子が何事だ?多分全員が思っていただろう。その可愛い子が室内をぐるっと見渡して――目が合った。


「高宮さん!ちょっと来て!」
「え?俺?」
「はやく!タバコ捨てて!はやく!」
「え、なに、こわ」


(なになになに、怖い、なに)


 そんなに遅い行動をしているとも思わないのに苛ついたのか「もう!」と中まで入ってきて俺の腕を強引に引く。


「なに?待って待って、何事?てか服に匂いつくよ?」
「はぁ?どうでもいいです!てか、いいから!来るの!ごちゃごちゃ言わず早くしてください!」
 未だかつて見たことのない菱田ちゃんがそこにいた。”あいつ噛みつくからな”いつだったか久世がそんなことも言っていたなと記憶の底から蘇るのだが。


(えー、菱田ちゃんってこんな感じなの?めっちゃ俺の前で猫かぶってんじゃんー)


 そのまま腕を引っ張られて階段を駆け上りながら先を急ぐ菱田ちゃんに問いかける。


「本当になに?どうした?なんかあったの?」
「口で説明できません!とにかく早く来てくださいってば!これは高宮さんが受け止めなきゃダメなの!絶対に!」
 上の方でなんだかザワザワしていて甲高い声が響いた。


「はぁ?いい加減にしてよ」
 叫び声の主が真鍋弥生だと思って何事だと思ったのも束の間だった。相手にしているのが美山さんで衝撃を受ける。


(――おいおい、なんだこれ)


「浅ましー、そうやって自分のことわかった女みたいにして売り込みでもしたいんですか?必死すぎてキモいんですけど。身の程わきまえた方がいいですよ。あなたなんかが相手にされるわけないでしょ」


(まさに自分のことだろ、と聞いてて呆れてくる。よくそんなセリフを人に当てつけられるな)


 理不尽な言い分を彼女がぶつけられる必要はない、止めに入ろうとしたら彼女が言った。


「私を馬鹿にするのは構いません、でも……彼のことを馬鹿にしないで。それだけは聞き逃せない。あなたこそ恥ずかしくないんですか?人を蔑むことで自分のこと正当化しようとして情けなくないですか?好きなら適当な言葉で傷つけたりなんかしないで!」


(……っ!)

 
 
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