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本編
第3話_誘われる気配-4
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蒼矢は先般の伊豆の海でのことを思い出し、慌ててフォローする。
「葉月さん、地上で待機する役目も要りますから…それをお願いしようと思ってたところなんです。落ち着いて下さい」
「いや待てよ。こないだのイカタコ野郎の時みたいに空気吸えるかもしれねぇじゃん? 待ってろ月兄、俺が確かめてやる!」
そう言い、アズライトがエピドートの背中をさする中、陽は地にへばりつくようにしゃがみ、勢い勇んで水に後頭部まで突っ込む。
そしてすぐに盛大な水飛沫をあげながら地上へ返り咲く。
「げっはー!! 無理っ、めっちゃ水入る!! 息できない!!!」
口と鼻から水を飲んでしまい悶絶するサルファーと、その様を受けて顔面をみるみる蒼白にし、薄地の戦闘スーツに浮き出る逞しい肩を小刻みに震えさせ始めたエピドートを見、アズライトは小さくため息をついた。
「…俺は水属性だから行ける。お前はエピドートとここで待っててくれ」
「っ待て…、君ひとりじゃ…危険過ぎる…っ!」
過呼吸で息を絶えだえにしながら、必死の形相でエピドートは彼を制止する。
『アズライト』は『索敵』能力を使える一方で、他セイバーが通常能力として持つ攻撃技や防御技をほとんど備えておらず、基本連携攻撃を主とするセイバーたちの中でもとりわけ[異界のもの]との直接戦闘を苦手とする、特殊な立場に置かれたセイバーでもあった。
この場に居る中にそれを理解していない者はいなかったが、それでもアズライトは首を振った。
「『現実世界』に居た段階から、誘われているような気配を感じていたんです。おそらくここで待っていても姿を現さないでしょう。…でも接触しなければ、俺たちは『転異空間』から出られない」
「…っ…」
「逐一応答しますし、何かあったらすぐ引き返します。さっきも言った通り、ここへ入っている隙に地上から来る可能性もありますから、ふたりは周囲を警戒しておいて下さい」
そう二人を交互に見ながら告げると、アズライトは池の縁へ腰を落とし、脚から入水していく。
「サルファー、エピドートを頼む」
「蒼兄こそっ…、絶っっ対戻って来いよ!! かけらでも無理したら…ぶっとばすからな!!」
泣きそうになる感情をごまかすようにがなるサルファーへ目元を緩ませると、アズライトは池の中へ消えた。
「葉月さん、地上で待機する役目も要りますから…それをお願いしようと思ってたところなんです。落ち着いて下さい」
「いや待てよ。こないだのイカタコ野郎の時みたいに空気吸えるかもしれねぇじゃん? 待ってろ月兄、俺が確かめてやる!」
そう言い、アズライトがエピドートの背中をさする中、陽は地にへばりつくようにしゃがみ、勢い勇んで水に後頭部まで突っ込む。
そしてすぐに盛大な水飛沫をあげながら地上へ返り咲く。
「げっはー!! 無理っ、めっちゃ水入る!! 息できない!!!」
口と鼻から水を飲んでしまい悶絶するサルファーと、その様を受けて顔面をみるみる蒼白にし、薄地の戦闘スーツに浮き出る逞しい肩を小刻みに震えさせ始めたエピドートを見、アズライトは小さくため息をついた。
「…俺は水属性だから行ける。お前はエピドートとここで待っててくれ」
「っ待て…、君ひとりじゃ…危険過ぎる…っ!」
過呼吸で息を絶えだえにしながら、必死の形相でエピドートは彼を制止する。
『アズライト』は『索敵』能力を使える一方で、他セイバーが通常能力として持つ攻撃技や防御技をほとんど備えておらず、基本連携攻撃を主とするセイバーたちの中でもとりわけ[異界のもの]との直接戦闘を苦手とする、特殊な立場に置かれたセイバーでもあった。
この場に居る中にそれを理解していない者はいなかったが、それでもアズライトは首を振った。
「『現実世界』に居た段階から、誘われているような気配を感じていたんです。おそらくここで待っていても姿を現さないでしょう。…でも接触しなければ、俺たちは『転異空間』から出られない」
「…っ…」
「逐一応答しますし、何かあったらすぐ引き返します。さっきも言った通り、ここへ入っている隙に地上から来る可能性もありますから、ふたりは周囲を警戒しておいて下さい」
そう二人を交互に見ながら告げると、アズライトは池の縁へ腰を落とし、脚から入水していく。
「サルファー、エピドートを頼む」
「蒼兄こそっ…、絶っっ対戻って来いよ!! かけらでも無理したら…ぶっとばすからな!!」
泣きそうになる感情をごまかすようにがなるサルファーへ目元を緩ませると、アズライトは池の中へ消えた。
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