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本編
第2話_それぞれの転機の時-3
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一行は鳥類センターから葉月のミニバンにて帰路に着き、ルート一番手前の陽の自宅マンション前で彼を降ろしてから、葉月が宮司を務める楠神社へ向かう。
敷地内の葉月の自宅で一泊する予定の影斗は残り、烈と蒼矢は徒歩にて神社から離れていく。
ふたりの後ろ姿を見えなくなるまで見送ってから、葉月が玄関へ戻っていくと、引き戸に背をもたれながら影斗が待っていた。
「…スパルタ過ぎっかな、俺」
小さく投げられた問いかけに、葉月は足を止め、ひとつ息をつく。
「…確かに、『索敵』してからメイン攻撃もするとなると、かなり負担が大きいね。あと、こっちが君や烈の動きとどうしても比べてしまうから…期待が伝わってしまってるかも」
「まぁ…いきなり重いプレッシャー掛けちまってるとは思う」
「それでも…攻撃手として立ち回れる幅を考えたら、"君の代わり"として『エピドート』より『アズライト』の方が適任なのは間違いないよ」
「…んー」
「君のことがなくても、『後発属性』が発現した時点で、いずれはこうなるって方向性は決まっていたしね。それが解ってるから…彼も悩んで、気負ってしまってるんだろう」
「…まぁな」
相槌を返しながらも険しい面差しで地面を見つめる影斗へ、葉月は見守るように佇み、柔らかな笑みを浮かべていた。
セイバーズとして、[異界のもの]から『現実世界』を守る使命を帯びる彼らは、物理的に不可能な場合や"特例"を除き、戦闘への不参加は原則許されない。
そんなセオリーがある中で、大学4年の後期に入っている影斗のセイバーとしての活動は、今日先ほどの戦闘を区切りとして一旦休止となる。
「人生の大事な転機だからね。みんな乗り越えてきたことだから」
「…お前から言われなきゃあ、適当にやり過ごすつもりだったんだぞ」
「それは駄目。僕らの人生は、セイバーの活動期間が終わった後もずっと続いてくんだから。大事な時期をおそろかにして、棒に振ったらいけないよ」
「…ひとの将来プランに首突っ込んでくるなよなー」
「お節介なのは性分ですから」
ため息混じりの文句に、葉月はくすりと笑った。
敷地内の葉月の自宅で一泊する予定の影斗は残り、烈と蒼矢は徒歩にて神社から離れていく。
ふたりの後ろ姿を見えなくなるまで見送ってから、葉月が玄関へ戻っていくと、引き戸に背をもたれながら影斗が待っていた。
「…スパルタ過ぎっかな、俺」
小さく投げられた問いかけに、葉月は足を止め、ひとつ息をつく。
「…確かに、『索敵』してからメイン攻撃もするとなると、かなり負担が大きいね。あと、こっちが君や烈の動きとどうしても比べてしまうから…期待が伝わってしまってるかも」
「まぁ…いきなり重いプレッシャー掛けちまってるとは思う」
「それでも…攻撃手として立ち回れる幅を考えたら、"君の代わり"として『エピドート』より『アズライト』の方が適任なのは間違いないよ」
「…んー」
「君のことがなくても、『後発属性』が発現した時点で、いずれはこうなるって方向性は決まっていたしね。それが解ってるから…彼も悩んで、気負ってしまってるんだろう」
「…まぁな」
相槌を返しながらも険しい面差しで地面を見つめる影斗へ、葉月は見守るように佇み、柔らかな笑みを浮かべていた。
セイバーズとして、[異界のもの]から『現実世界』を守る使命を帯びる彼らは、物理的に不可能な場合や"特例"を除き、戦闘への不参加は原則許されない。
そんなセオリーがある中で、大学4年の後期に入っている影斗のセイバーとしての活動は、今日先ほどの戦闘を区切りとして一旦休止となる。
「人生の大事な転機だからね。みんな乗り越えてきたことだから」
「…お前から言われなきゃあ、適当にやり過ごすつもりだったんだぞ」
「それは駄目。僕らの人生は、セイバーの活動期間が終わった後もずっと続いてくんだから。大事な時期をおそろかにして、棒に振ったらいけないよ」
「…ひとの将来プランに首突っ込んでくるなよなー」
「お節介なのは性分ですから」
ため息混じりの文句に、葉月はくすりと笑った。
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