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連載
下降気流
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「クラノさん?」
表情のことは指摘せずに彼の名前を呼ぶリオネ。
すると倉野はその真意に気付けず首を傾げた。
「どうしたんですか、リオネさん」
「いえ、何でもないです」
倉野の返答から口角を上げている自覚がない、と判断したリオネは言葉を濁す。
次の瞬間、倉野が待っていたと言わんばかりに目を輝かせた。
「来ましたよ! 今、ミミーたちはそれぞれ弓を構えています。リオネさん、攻撃の準備を」
「防御や回避ではなく、ですか?」
「ミミーは僕たちを取り囲み、総攻撃を仕掛けようとしています。全てを出し切る攻撃の際、人は最も大きな隙を作るものですよ。そこで、ミミーたちを気絶させるような攻撃魔法はありますか?」
倉野に問いかけられたリオネは即座に答える。
「はい、雷属性のようなショックを与える魔法は苦手ですが、風属性ならではの戦い方があります」
その言葉から自信を感じ取った倉野は頷いてからリオネの後方を指さした。
「それじゃあ、まずは『感覚共有』を持っている偽ミミーからいきましょう。ヤツさえ叩けばミミーたちの連携は大きく崩れます。ちょうどリオネさんの背後・・・・・・歩数でいえば五十歩程度の場所に魔法の範囲指定をしてください」
「魔法の範囲指定?」
「簡単に言えば、その場所に魔法を放とう、と考えてみてください」
そう言われたリオネは言葉通りに考えてみる。
考えるだけで何が起こるのか。
当然ながら倉野は、スキル『説明』によってリオネが魔法を放つ箇所を修正するつもりである。
一つ目の説明画面で偽ミミーの場所を確認しつつ、二つ目の画面で『リオネが魔法を放とうとしている場所』を知る。その二つを重ねれば必然的にリオネの魔法が外れることはない。
「リオネさん、もう少し東です」
頭の中を覗かれているような不思議な違和感を覚えながらも、リオネは言われた通り意識を修正する。
「こうですか?」
「もう少しだけ南です」
「南・・・・・・」
「あと半歩分東です」
「半歩・・・・・・こうですね?」
「そう、そこです! リオネさん、今です!」
指示を受けたリオネは魔力を練り上げ、それを放った。
「はい! 風よ・・・・・・ダウン・バースト!」
リオネが放ったのは、局所的に強烈な下降気流を発生させる風魔法である。広範囲に及ぶような魔法ではない。しかし、その範囲内では突然地面に叩きつけられるという強力な魔法だ。
偽ミミーからすると、自分たちが有利だと油断していた瞬間に降り注ぐ魔法である。
もちろん、衝撃に備えているはずもなくそのまま頭を地面に打ちつけ気を失ってしまった。
表情のことは指摘せずに彼の名前を呼ぶリオネ。
すると倉野はその真意に気付けず首を傾げた。
「どうしたんですか、リオネさん」
「いえ、何でもないです」
倉野の返答から口角を上げている自覚がない、と判断したリオネは言葉を濁す。
次の瞬間、倉野が待っていたと言わんばかりに目を輝かせた。
「来ましたよ! 今、ミミーたちはそれぞれ弓を構えています。リオネさん、攻撃の準備を」
「防御や回避ではなく、ですか?」
「ミミーは僕たちを取り囲み、総攻撃を仕掛けようとしています。全てを出し切る攻撃の際、人は最も大きな隙を作るものですよ。そこで、ミミーたちを気絶させるような攻撃魔法はありますか?」
倉野に問いかけられたリオネは即座に答える。
「はい、雷属性のようなショックを与える魔法は苦手ですが、風属性ならではの戦い方があります」
その言葉から自信を感じ取った倉野は頷いてからリオネの後方を指さした。
「それじゃあ、まずは『感覚共有』を持っている偽ミミーからいきましょう。ヤツさえ叩けばミミーたちの連携は大きく崩れます。ちょうどリオネさんの背後・・・・・・歩数でいえば五十歩程度の場所に魔法の範囲指定をしてください」
「魔法の範囲指定?」
「簡単に言えば、その場所に魔法を放とう、と考えてみてください」
そう言われたリオネは言葉通りに考えてみる。
考えるだけで何が起こるのか。
当然ながら倉野は、スキル『説明』によってリオネが魔法を放つ箇所を修正するつもりである。
一つ目の説明画面で偽ミミーの場所を確認しつつ、二つ目の画面で『リオネが魔法を放とうとしている場所』を知る。その二つを重ねれば必然的にリオネの魔法が外れることはない。
「リオネさん、もう少し東です」
頭の中を覗かれているような不思議な違和感を覚えながらも、リオネは言われた通り意識を修正する。
「こうですか?」
「もう少しだけ南です」
「南・・・・・・」
「あと半歩分東です」
「半歩・・・・・・こうですね?」
「そう、そこです! リオネさん、今です!」
指示を受けたリオネは魔力を練り上げ、それを放った。
「はい! 風よ・・・・・・ダウン・バースト!」
リオネが放ったのは、局所的に強烈な下降気流を発生させる風魔法である。広範囲に及ぶような魔法ではない。しかし、その範囲内では突然地面に叩きつけられるという強力な魔法だ。
偽ミミーからすると、自分たちが有利だと油断していた瞬間に降り注ぐ魔法である。
もちろん、衝撃に備えているはずもなくそのまま頭を地面に打ちつけ気を失ってしまった。
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