最強辺境伯令嬢

幼少期

3

魔物狩りの前に私は自分の部屋であることを確認することにした。

「血の契約の元に我の声に応えよ 天狐」

そう私が唱えると私の前に召喚陣が現れ巫女装束を纏った狐耳のスタイルのいい美女が現れるその女性には9本の尾が生えていた。

「主の声に応え菊花ここに参上致しました」

どうやら成功したようだ。
私の前世はこのように異形のもの達を従えて行う妖怪退治を生業としていた。血の契約は従うと誓った主に永遠の忠誠を誓うものでお互いの同意がなければ行えない。
転生してからも無事召喚できたので一安心だ。
普段はあんな呪文唱えなくてもいいのだが一応唱えてみた。ほんとに恥ずかしいあんな厨二感満載の呪文

「あ」
「あ?」
「主様ああああああああぁぁぁ!!!!」

狐耳の美女もとい菊花は私を抱きしめる。
彼女は私よりも背が高くあたしの顔は抱き締められるとちょうど胸に埋まるようになった。

「菊花苦しい……」
「あ!申し訳ありません!つい久しぶりにお会い出来ましたので」
「大丈夫。元気だった?」
「はい、長い間主様からのお呼びがかからず心配しておりました。皆寂しがっております。」
「ごめんね、どれくらいの魔力を使うかもわかんなかったからしっかり準備してからと思って。今度他の皆もよばなくちゃね」
「いいえ、良いのです。また主様にお会い出来嬉しいです! それにしても主様今のお姿も大変可愛らしいですね!」
「まあ美男美女の親がいるからね」

今世での私の容姿は親の遺伝子をしっかり受け継いだ美少女である。母譲りの黒髪に父譲りの赤い瞳兄達はどちらか一方の色しか受け継いでおらず2人の色を受け継いだのは私だけだった。
アイリスは知らないが領民や騎士たちは 黒薔薇姫と敬っていた。その名は黒髪赤眼の容姿はもちろん。美しい佇まいや誰にでも分け隔てなく接する美しい心を表したものでありいかに慕われるかが分かる。

「主様、なぜ転生なされたのか教えて頂いてもよろしいですか?」
「ああそれは…」

私が死んでしまった経緯やこれまでのことを話すと菊花はわなわなと震えだし殺気を帯びていた。私はそっと菊花の頭を撫でてやる。

「なんと愚かな! 主様今すぐ私があの男消してまいります！」
「そんなことしなくてよろしい。」
「ですが!」
「よしよし、ありがとうでもあんなどうしようもない男のためにお前が手間をかける必要ないよ。そんなことより私のそばにいてね?」
「っ!はい!主様!!!しかし良かったですね今世では優しい親御様ができて」
「うん!」

幼少の頃より私と一緒にいた菊花は私の親代わりでもある前世私が楽しそうに手を繋ぐ親子を羨ましそうに見ているのを知っているからこその言葉だった。
よしよしと撫でていると菊花はいつの間にか人から獣の姿になり私の手を受け入れているもふもふだ可愛い。
そうしているうちに菊花の毛皮に寄り添って私は眠ってしまったのだった。

「主様おはようございます」
「んぅ…おはよう菊花」
「昨夜主様が今日は魔物狩りに行くと言っておられましたのでお休みのところ声をかけさせて頂きました」
「ありがとう菊花。申し訳ないけど1度戻ってくれる?父様達に紹介する時また呼ぶから」
「承知しました。では」

菊花はスっと消えてしまう。流石に突然狐耳の美女を侍らせると父達に魔物と言われてしまうかもしれないので一旦戻ってもらった。いつか父達にも事情を話して皆を紹介したいと思っている。
だが今は魔物狩りだ!
いよいよ実践楽しみだ!!