細胞がはじけた時が噛み頃です。

三角

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新しい事

※嫌いにならない

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あ、倒れる。
アスファルトに尻餅ついたらお尻痛そうだな。
そこまで考えは至るが、弛緩しきった身体は思い通りには動かない。
もう倒れるという時に朝日さんが身体を支えてくれた。
しっかりと身体全体を抱きとめられる。


「泣き虫。」


俺の涙を指で拭いながら笑った朝日さんは、とても優しい目をしていた。


身体が冷えたらいけないと力の入らない俺を立たせて服を着せてくれる。
子どもになったみたいで気恥かしい。
留めていた車に乗り込んだ頃には、だんだん正気に戻っていた。
朝日さんがハンドルにもたれ掛かりながら俺を見ている。
そのまま伸ばした手で右頬をフニフニと触られる。
何だよ、凄い格好良いじゃないか。
悔しい。


「…もう朝日さんの前でトイレ行きたいって言わない。」
「俺だって所構わず今みたいな事要求しないけどな。時と場所はちゃんと選ぶ。」
「だって、さっき…っ」


急に要求してきたじゃないかと言いそうになって、ふと気付く。
時と場所は選ぶ?
まさか。
ここに来たのは、ただ夜景を見にきたわけじゃなかったのか。
言葉を決めに来ただけではなかったのか。


「まさか…最初から、」
「ジョキング中に此処見つけた時から、陽太に恥ずかしい事させるのにぴったりだなと思ってた。」


ジョギングしながら、なんて事を考えているんだこの人は。
計画的犯行だった。
だからだったのか。
テイクアウトで買ってくれたコーヒーが、そこそこ大きいサイズだったのは。
今、俺が酷く驚いている間もフニフニと痛くない程度に頬を摘んでいる。
驚いているのが自分だけなのが悔しい。
思わず、ううっと犬のように唸る。


「嫌だった?」
「…みっともない所見られて嫌われるかと思った…。」


あんな姿。
普通、見たらドン引くだろう。


「陽太、一つ知っておいて欲しい。よく覚えておいて。」
「うん。」
「俺は、陽太がとても好きだよ。何があっても嫌いにならない。」


そう言って少しだけ触れるキスをした。
痛みなんて一ミリもない、そんなキスだったが、その言葉だけでも満たされる。


「今日は物足りない顔しないんだな。」
「朝日さん、今日はしないって言ったから。」
「ふーん…」
「ぇ、何…うわっ!あぶなっ、っちょ、…んんっ!?」


ショッピングモールで言った。
今日はしないよって。
言ったのに。
なのに。
ほんの少し不服そうな顔をした朝日さんが運転席から助手席に乗り込んできて、シートをガコンと倒すと同時に押し倒され物凄く深いキスをされた。


「ふっ…んんッ…ぅ、…ッん…っ」


驚いて思わず朝日さんの身体を押しかえそうとした手を、グッと頭の上に纏めて押さえつけられる。
強引に覆い被さってくる。
狭い車内では、ろくに動けもしない。
容赦の無い口づけに頭と身体は麻痺した。
この前と違い、ほんの少しだけ乱暴な気がする。
気持ちが良い。
もう下半身がまずい事になっている。
気づかれないようにモゾモゾ動いたのがいけなかった。
キスしたまま、おもむろに朝日さんが俺のベルトを外し前を綻ぶ。



「んっ!?…ッ…っんぅぅ、ふっ…んんぅッ」


抗議しようとしたけれど、より口が塞がれるだけだった。
カリカリとパンツの上から爪で刺激を与えられたり、ぎゅうっと握り込まれる。
ヌルりとした液体が染みているのが自分でも分かり、もどかしさと恥ずかしさで涙ぐむ。
涙に気づいたのか、朝日さんが、ようやく口を離してくれた。
はぁはぁと酸素を取り込んでいたら顎をガッツリと捕まれる。
顎クイ所ではない。
文字通り、ガッツリと鷲掴みされた。
きっと顔が歪んでいるだろう。


「発情した顔になったな。」


逆に貴方はとても悪い顔になりましたねと軽口を叩けたらどれだけいいか。
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