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ぷんぷん。
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かぽーん。
僕は今、物凄く広いお風呂に入っています。
そして同時に物凄く怒っています。
厳密に言うと、もう、あんまり怒ってないけど、物凄く怒っているふりをしています。
だから黙っています。
かぽーん。
沢山の桶の音が反響する。
僕の他にもお風呂に入っている人が沢山いる。
広い湯船だから密集することはないけど、沢山の人が湯に浸かっている。
家のお風呂より、ずっとずっと広くて、足が伸ばせて気持ちがいいなあ。
「悪かったって。機嫌直せよ。」
隣で何か言ってる人が居るけど知らない!
プイッと顔を反らす。
「ギルドの風呂広いだろ?な?職員専用の風呂なんだ。」
反らした顔の方に動いて近づいてくるから、またプイッと顔を反対に反らす。
僕は怒ってるんだ。
あの後、全部出し尽くしてデロデロのヘロヘロになった僕は、タオルで身体を拭いてもベトベトが綺麗に取りきれなくて。
顔にも髪にもベトベトが残って。
半ば八つ当たりで、べそべそ泣きながら
「疲れた…ベトベト取れない…お風呂に入りたい、ベトベトのまま帰れない…、お風呂入りたいのにっ…ナックルさんの馬鹿!」
って怒った。
そしたら、大きなタオルに包まれてナックルさんに抱えられて、ここに来た。
ナックルさんが偉い人だからなのか、近くに居た人達は直ぐに去って行ったし、ジロジロ見たり話しかけてくる人は居なかったから、身体をゆっくり洗えた。
ベトベトを洗い流せたらスッキリしたし、もう、あんまり怒ってない。
ただ、ちょっと恥ずかしいから、怒ってるふりをしるんだ。
それにしても、本当に広い。
ギルドの敷地に、こんな場所があるなんて。
いいなあ、職員さん。
毎日お風呂入りほうだいだなあ。
あの身体を洗う場所にあった髪専用の洗剤も、凄く良い香りがして好きだった。
「金バッチ使って、いつでも入りに来ていいぞ。」
「え、ほんと!?」
返事をしたらナックルさんが凄くホッとした顔をした。
あ、しまった。
怒ってるんだった、僕は。
僕は怒ってる、僕は怒ってる。
…でも、広いお風呂入り放題はいいな…
ダメダメ!
僕は怒ってるんだ。
「…別に、家にも、お風呂あるし。…いらない。」
「ついでに社員食堂も特別価格で使えるように手配しようか?」
「いいの!?…あ…」
ニコニコしてるナックルさんが、僕を見てた。
うう…怒り続けるって難しいんだなあ。
「ニーニャ、こっち向けよ。」
「……社員食堂、卵包みある?」
「あるぞ。」
「デミかかってる?」
「もちろん。ホワイトソースかケチャップかデミか選べる。」
「…ほわいと…?けちゃ?」
ほわいと?けちゃ…?何それ気になる。
思わず目が輝いた。
「機嫌…直ったか?」
鼻を摘ままれた。
「へへ…なおった!」
にへらっと笑うと、ナックルさんが安心したように笑った。
ゆっくりお風呂に浸かりながら、本来の目的である、あの店の事と女の子の事をナックルさんに話した。
「でね、その女の子に助けて貰ったんだ。」
「そうか。」
「…あの路地の子供達って、家が無いのかな。」
「あれはなぁ…」
濡れた髪をかきあげながら、ナックルさんが苦々しい顔をして、話してくれた。
僕は今、物凄く広いお風呂に入っています。
そして同時に物凄く怒っています。
厳密に言うと、もう、あんまり怒ってないけど、物凄く怒っているふりをしています。
だから黙っています。
かぽーん。
沢山の桶の音が反響する。
僕の他にもお風呂に入っている人が沢山いる。
広い湯船だから密集することはないけど、沢山の人が湯に浸かっている。
家のお風呂より、ずっとずっと広くて、足が伸ばせて気持ちがいいなあ。
「悪かったって。機嫌直せよ。」
隣で何か言ってる人が居るけど知らない!
プイッと顔を反らす。
「ギルドの風呂広いだろ?な?職員専用の風呂なんだ。」
反らした顔の方に動いて近づいてくるから、またプイッと顔を反対に反らす。
僕は怒ってるんだ。
あの後、全部出し尽くしてデロデロのヘロヘロになった僕は、タオルで身体を拭いてもベトベトが綺麗に取りきれなくて。
顔にも髪にもベトベトが残って。
半ば八つ当たりで、べそべそ泣きながら
「疲れた…ベトベト取れない…お風呂に入りたい、ベトベトのまま帰れない…、お風呂入りたいのにっ…ナックルさんの馬鹿!」
って怒った。
そしたら、大きなタオルに包まれてナックルさんに抱えられて、ここに来た。
ナックルさんが偉い人だからなのか、近くに居た人達は直ぐに去って行ったし、ジロジロ見たり話しかけてくる人は居なかったから、身体をゆっくり洗えた。
ベトベトを洗い流せたらスッキリしたし、もう、あんまり怒ってない。
ただ、ちょっと恥ずかしいから、怒ってるふりをしるんだ。
それにしても、本当に広い。
ギルドの敷地に、こんな場所があるなんて。
いいなあ、職員さん。
毎日お風呂入りほうだいだなあ。
あの身体を洗う場所にあった髪専用の洗剤も、凄く良い香りがして好きだった。
「金バッチ使って、いつでも入りに来ていいぞ。」
「え、ほんと!?」
返事をしたらナックルさんが凄くホッとした顔をした。
あ、しまった。
怒ってるんだった、僕は。
僕は怒ってる、僕は怒ってる。
…でも、広いお風呂入り放題はいいな…
ダメダメ!
僕は怒ってるんだ。
「…別に、家にも、お風呂あるし。…いらない。」
「ついでに社員食堂も特別価格で使えるように手配しようか?」
「いいの!?…あ…」
ニコニコしてるナックルさんが、僕を見てた。
うう…怒り続けるって難しいんだなあ。
「ニーニャ、こっち向けよ。」
「……社員食堂、卵包みある?」
「あるぞ。」
「デミかかってる?」
「もちろん。ホワイトソースかケチャップかデミか選べる。」
「…ほわいと…?けちゃ?」
ほわいと?けちゃ…?何それ気になる。
思わず目が輝いた。
「機嫌…直ったか?」
鼻を摘ままれた。
「へへ…なおった!」
にへらっと笑うと、ナックルさんが安心したように笑った。
ゆっくりお風呂に浸かりながら、本来の目的である、あの店の事と女の子の事をナックルさんに話した。
「でね、その女の子に助けて貰ったんだ。」
「そうか。」
「…あの路地の子供達って、家が無いのかな。」
「あれはなぁ…」
濡れた髪をかきあげながら、ナックルさんが苦々しい顔をして、話してくれた。
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