上 下
14 / 50

心配…?

しおりを挟む
昨日の夜は凄かった…。
あの後も二人に、ぐるんぐるんされた。
ぐるんぐるんって言葉で色々と察してほしい。


今朝起きたら、テーブルは綺麗に片付いていて、僕の身体も綺麗だった。
二人は居ないからギルドに行ったんだろうな。

「はあ…なんで、昨日あんなに熱かったんだろ。…まあ、いっか!考えても分かんないし。」

この楽観的な所が、ニーニャの良いところでもあれば、悪いところでもあるのだ。

「今日は何しようかな。」

部屋の掃除も終わったし、お風呂もピカピカ。
でも、やらないといけない事は沢山ある。

「出掛けよう。」

今日も街に出てきた。

髪専用の洗剤、お皿、お箸…
沢山買い込む。
後は…

「勉強道具が欲しいなあ。」

今度の魔法教室で使う用紙と万年筆が欲しい。
何かを勉強するなんて初めてだ。
用紙と万年筆の他に何か必要な物はあるのかな。
とりあえず街の文房具店に行ってみよう。

日陰を選びながら移動してたら話しかけられた。
腰には剣が装備されているため、おそらくこの街の警察だ。

「この人、見たことありませんか?」
「へ?…!?」

あの貼り紙だった。

「行方不明ということで、ご家族が心配して探しておられます。この人を見たことありませんか?」
「い、いえ、知りません…」
「そうですか、失礼しました。」

びっくりした。
僕の事を探してる。
家族が心配?

「ほんとかな?」

まあ、帰らないけど。
今さら心配されても意味が無いし。
外に出て、より思い知った。
僕は本当に酷い扱いを受けていたんだと。
魔力が少ない、小汚ない、役立たず、恥知らず。
たくさん色んな事を言われた。
朝昼晩、いつも働いた。
寝る間も無かった。
そんな扱いをしていた人間を心配するかな…?


…だめだめ。
僕はラニーニじゃない。
楽しく生きるって決めたんだから。
気を取り直して、文房具店を目指して歩く。
この辺りは食べ物の良い匂いがする区間だなあ。
何か黄色の食べ物が書いてある看板が目に入る。
あれ何だろう。
気になる。


「…先にご飯食べようかな。」


良い匂いに誘われて、店内に入る。
お客は僕だけみたいだ。

「いらっしゃい。好きなところにどうぞ。」

思えば外食は初めてかもしれない。
とりあえず座ればいいのかな。
じっと座って待っておく。

「お客さん、注文は?決まりました?」
「え!えっと…何があるんですか?」
「え?あ、これ見て決めてくださいね。また来ますね。」

テーブルにあった冊子を見ないといけなかったのか。
何も知らなくて恥ずかしい。
えっと…外の看板に書いてあった黄色の物は…これかな。

「決まりましたか?」
「はい、この、とまとご飯の卵包みと、檸檬水下さい。」
「はい。少し待ってて下さいね。」


そわそわして待つ。
待っているうちにお客さんが増えてきた。
ガヤガヤした店内は案外居心地がいいなあ。


「はい、おまちどおさま!」



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

罪ほろぼし〜奴隷のあなたに全て捧げます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:404

据え膳食わぬは男の恥

BL / 完結 24h.ポイント:205pt お気に入り:53

可愛い双子猫獣人の愛が重くて激しい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:53

捨てられた令嬢、幼なじみに引き取られる。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:205

嫌われた王と愛された側室が逃げ出してから

BL / 完結 24h.ポイント:184pt お気に入り:226

本編完結R18)メイドは王子に喰い尽くされる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:298pt お気に入り:3,535

処理中です...