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番外編
番外編①-2
しおりを挟む王国騎士団と宮廷騎士の違いとは、と聞かれれば、王国騎士団とは主に外回りを担当し、宮廷騎士は内回りを担当していると答えるのが正しい。
王宮の守護や、要人の警護をするのが宮廷騎士であり、最も確実に出世できるエリートコースだが、憧れを抱かれるのは王国を外側から守護し、時には戦場へも出向くことのある王国騎士団である。
「聖女様が護衛にラインハルトを指名した」
団長の執務室は葬式のように暗い雰囲気だ。
先に説明をした通り、要人の警護をするのは宮廷騎士のお役目――それを無視して聖女様はラインハルトを護衛に選んだのだ。
胃が痛いとばかりに頭を抱える団長と、氷の表情の副団長。後ろに控えたサーシャは今すぐ執務室から出て行きたかった。
一週間後に、隣国で行われる建国記念を祝うパレード。それに聖女様は招待されている。建国百五十周年ということで、かなり大きくパレードを行うようだ。
毎年、騎士団は騎馬でパレードを歩いていたがまさか護衛に指名されるとは思わなかった。婚約は断ったが、聖女様は諦めていないということだろう。
「また宮廷騎士団から睨まれる原因が増えた」
「えぇっと……団長、その指名は断れないのですか?」
「聖女様直々に、宮廷騎士団にお断りをされたそうだ」
「……あら、まぁ、それは」
それ以上何も言えなかった。
とにかくラインハルトの機嫌が急降下していっているのが背中越しでもわかる。養い親がそれに気づかないはずがない。
「まぁ、落ち着けレイ。パレードと言っても、聖女様の乗る馬車の隣を騎馬で歩けばいいだけだ。一時間我慢してくれ。凱旋パレードが終われば自由時間だ。あとは宮廷騎士に任せて、サーシャと屋台でも見てまわればいい」
「へっ!? わ、私も行くんですか!?」
てっきり留守番とばかり思っていたから、声が裏返ってしまった。
「騎馬隊に混ざって、花を配って欲しい。子ども達に、健やかな成長と幸せな未来を願って花を配るんだが、いかんせん、うちのやつらは厳ついだろ」
言われて、筋肉隆々な強面たちが花を配るのをイメージしたが似合わなさ過ぎて苦笑いしてしまった。
かっこよく、男の子の憧れ第一位に輝く王国騎士団だが、幼い子供にはちょっとばかし受けが悪い。
「よし、そうと決まればサーシャの団服を拵えよう! どうせならレイとお揃いにしようじゃないか!」
「ま、待って、お父さん、団服なんて作ってもらっても着る機会がないし、予算がもったいないから」
「いいじゃないか。サーシャは、俺とお揃い、嫌か?」
今の今まで無言を貫いていたかと思えば、言うに事欠いてそれか!
嫌なわけないじゃないか! とっても嬉しい!
嬉しいのと恥ずかしいのと感情がごちゃ混ぜになって、ラインハルトの背中を思いっきり叩いた。びくともしないのが腹立たしい。
「はっはっは! 仲良きことは良いことだ!」
こうして、養い親と恋人による、「最強に可愛い俺の彼女のお揃い団服」が作られることが決定した。
ついでに、パレードにサーシャも参加すると決まり、団員たちの士気も上がった。
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