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忠告11 これが〝答え〟です
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しおりを挟む「……つらい?」
目の前にある唇が、首筋に顔を埋める私を心配するように髪にキスを繰り返す。
見つめる濡れた瞳。余裕のない声。
普段の冷静な彼にこんな顔させているのは私なんだって思うと、たまらないものがある。
「……だいじょぶ……。でも、苦しい……。好きで、幸せで、苦しい……智秋さん、好き……きもちぃ……」
彼が丁寧に愛してくれたおかげで、体格差による痛みも少ないというのに。
うわ言のように呟きながら、ホロリと瞼の奥から熱があふれてくる。
「――あなたは……なんで、泣きながら……っ、そんなこと言うかな……」
熱い唇が、滲んだ涙をちゅっと吸い取って。
堪えきれないといったように、繋がった場所が緩やかに、ぐっちゅぐっちゅと湿っぽい音を立てながら突き上げられる。
「あっ、ん、ぁあっ……」
「そんなこと言われると……たまらない気持ちになる――」
噛みつくように唇を奪って。
愛を囁きながら。
やがて、堰を切ったように、私の中をリズミカルに抉って支配していく彼の体。
でもね……何度言っても足りないの。
ケーキを食べてるみたいに甘く満たされているのに。
同じくらい切羽詰まったようにこみ上げるこの気持ちを。
私はうまく言い表せない。
苦しくて。切なくて。恋しくて。
とめどなく、あふれる――。
「俺は、好きなんかじゃ、足りない――」
やがて、息を詰めた智秋さんが
ぎゅーっと潰れそうなくらい私を抱きしめてきて。
「……俺は、愛してる……」
そううわ言のように呟いて、私の唇を探しながら、
私のナカで大きく身体を震わせた。
〝あいしてる――〟
そうか。この言葉は、こういう気持ちのときに使えばいいんだ……。
――私も、愛してるよ。智秋さん……。
大好きな人に、好きだと言ってもらえる奇跡。
私は夢を見ているような気分で、その腕の中幾度も彼に与えられる快楽の中へおちていった。
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