異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-5 冒険者として初めての依頼は

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 必要な物をある程度は街で揃えた私とお兄ちゃん。
もちろん購入してくれたのはムキじぃーちゃん達だなんだけどね。

まだまだ買い足りないって言っていたが、あまり物があっても困るので遠慮した。
(てか、店の中のもの全て買おうとしたのよ!しかも行く店全てで!止めるの大変だったんだから...。)

いよいよ明日から冒険者として依頼をこなしていける。
一部の保護者は何かとぶつぶつ言っていたけど、わくわく中の私とお兄ちゃんの耳にはそのぶつぶつ声も素通り。

寝る前に部屋でお兄ちゃんと荷物の確認をしているとドラしゃんがやって来た。

『おや?まだ寝ていらっしゃらないのですね。良かったです。お二人に私からお渡しする物がありまして...。』

そう言ってドラしゃんは部屋に入り、クローゼットを開ける。

私達の部屋にあるクローゼットの中身はほぼドラしゃんとお母さんが作った物で埋まっている。

お店で販売する前の試作品だったり、非売品の物もあり、ファンからすると宝物庫のようなクローゼットだ。

元々お母さんが服や鞄なんかを創るきっかけとなったのは私達だから文句は言わせないよ。

お店というお店が自分達の街(国)になかったのと、同盟国から取り寄せたものはサイズが合わなかったり、肌に合わなかったりしたからしかたがない。

街には私達以外の子供も多数いたため、お母さんとドラしゃんが奮闘した結果だ。

小さくなった服や着なくなった服に関しては、街にいる他の子供達にお下がりとして渡したり、鞄などにリメイクしたりしている。

そんなクローゼットの中からドラしゃんはある服を二人分取り出してきた。
それは初めて見る服。

ドラしゃんはそれを大事そうに抱えて私とお兄ちゃんの前に持ってきて

『こちらは私と神様からのプレゼントです。初めての冒険に出ると言う事で、こちら冒険者の服です。
明日からこちらを来て下さいね。』

そう言いながら私とお兄ちゃんに手渡してくれた服は、ドラしゃんにしてはシンプルなデザインのもので、夏用と冬用の二種類それぞれセットでくれた。

お兄ちゃんの方の夏用の服は、半袖の白のワイシャツ風の服に袖無しの青色の皮素材のチョッキ風の上着に、七分袖のズボンにベルトにブーツ風の革靴だ。

冬服は、フカフカのファー付きの帽子が付いたパーカーと長袖のトレーナー風の服に、ポケットが沢山ついた裏起毛のズボンに厚底のブーツだ。

私の夏服は、猫耳付きの半袖のパーカーに薄手の長袖のTシャツにスカートに見えるズボンと足首まで長さのあるブーツ風の革靴。

冬服は、狼の耳付きフワフワのファー付きで裏起毛のパーカーと裏起毛の長袖のズボンにポケットが沢山ついたエプロンと厚底のロングブーツだ。

『デザインはユイカ様に考えていただいた物を、私と神様で少しいじらせて頂きました。
着ない方の服は本日購入した鞄を少しいじって、無限の魔法収納鞄(マジックバック)にしてますのでそちらの方へ収納して下さい。
 遠出をする際は、洗い替えも用意してありますのでそちらも渡しますので、それも鞄に入れて下さいね。
他にも必要な物があれば言ってくださいね。』

「「...。」」

ドラしゃんの言葉に何も答える事が出来なかった私とお兄ちゃん。
初めての冒険でここまで至れり尽くせりで冒険を初める人はいないだろう...。
いたとしても王族ぐらいだろう...。

そう思うぐらい私達に対する対応が厳重...というか、相変わらず過保護。

ありがたい事だけど...このまま無事に冒険が進むのか不安になった。

「ありがとう。ドラしゃん。」

「ありがとうございます。でも、ここまでして頂いていいのですか?」

私とお兄ちゃんの言葉に平然と返事するドラしゃん。

『はい?まだまだですよ。本当はもっとしたかったのですが、ユイカ様とユウダイ様に止められましてね。
ですからこの程度で抑えさせて頂きました。』

そう心底残念そうに話すドラしゃん。
ガチだ!!!

私とお兄ちゃんは長年の付き合いでこれがドラしゃんの本心である事を学んでいる。

だって目がそう語っているからだ。

「ドラしゃん。本当にありがとう。明日から頑張るわ。」

「本当にありがとう。明日は僕とリンだけで冒険者ギルドに行くから。」

『えっ?!なんでですか?私もついて行きますよ!』

慌て出すドラしゃん。
さすがに初めての冒険依頼を受けに行くのに保護者同伴は...。

それにそれに関しては前々からお兄ちゃんと話し合っていた。

「ドラしゃん。大丈夫よ。ギルドにはロドじぃーちゃんや他の人達もいるんだから。」

「そうですよ。まだ、僕達はこの街でこなせる依頼しかしません。」

「だから、ドラしゃん心配はいらないわ。」

私とお兄ちゃんが暫くそうして説得すると、渋々だが納得してくれたドラしゃん。

『では、ちゃんと夕飯までには帰ってきて下さいね。危険な依頼は受けないで下さいね。何かあれば直ぐにロドムカに言うんですよ。でないと...。』

「「大丈夫。何かあればすぐに街の人達に相談するから!」」

私とお兄ちゃんがそう言うと、ドラしゃんは苦笑いを浮かべる。

『分かりました。約束ですからね。』

そうドラしゃんと約束すると、ドラしゃんは名残惜しそうに部屋を出て行った。

私とお兄ちゃんは溜息を吐き荷物の整理を再開する。

「お兄ちゃん。明日からの冒険には【聖獣】達も連れていくのよね?」

「もちろんだよ。彼らは常に僕達と一緒だろう?」

「そうなったら、"ユキちゃん"も一緒って事よね?」

「あっ?!」

「だって、ユキちゃんは私と契約してるんだよ?だったら...ね?」

「確かに...。」

「まぁ~、まだ街の中だから心配ないよね?」

「うん。そうだね。そう願おう。」

「わかった。」

「明日...頑張ろう。」

「あ...そうだね。頑張るしかないよ。」

私達はそう話し合い、荷物の整理を終えると速やかに寝る事にした。


 翌朝、朝食を食べたあと服装を昨日ドラしゃんから貰った服に着替えて、皆から貰った装備を付ける。

「あら?立派な冒険者じゃない。」

「似合ってるなぁー。」

『大変良くお似合いです。』

お父さん、お母さん、ドラしゃんに褒められて照れる私達。

玄関の外に出るといつメンが集まっていた。

「おっ!似合うじゃねぇ~カァー。」

「こりゃ~そこら辺の服よりいいわね。」

「良くお似合いですよ。」

「サマになってるなぁー。」

「良くお似合いでってせ!」

「もう、こんなに大きくなったのかぁー。」

「ラディーミル。じじ臭い台詞だなぁー。しかし、二人ともよく似合ってるぞ。」

まるで入学式に祝いに来た親戚のおじさん、おばさん集団と化しているいつメン。

それはお父さん達も思っていたようだ。

「では、行ってきます。」

「行ってきます。」

「「「「いってらっしゃい。」」」」

『お気を付けて。夕飯までには戻って下さいね。』

沢山の人達に見送られて私とお兄ちゃんは、冒険者としての初めての1日をスタートさせた。

 お兄ちゃんと一緒に皆に見送られながら街の冒険者ギルドへと向かうと、道中街の人に声をかけられて、励まされもした。

冒険者ギルドに到着すると、受付にはナナちゃんがいた。
もちろんコイムさんの姿も。

二人に挨拶をしてギルド内にあるランクごとに分けられた依頼掲示板を見に行く。

以前の冒険者ギルドの依頼掲示板は、ランク関係なく一つの掲示板に張り出していたのだが、それでは見る方は見にくいし、掲示する方も掲示しにくいとお父さんが指摘してから皆で話し合い、その結果が冒険者のランク事に掲示板を作成して、依頼書を貼り出すというやり方になったのだった。

見る方も自分のランクの掲示板のみ見れば良いので見やすくなり、掲示する側も格段と掲示しやすくなった。

私とお兄ちゃんは1番下のGランクだ。

なので、Gランクの掲示板を見にいくと...???...?!!!

なんとGランクの掲示板の半分...きっと半分ぐらいを私とお兄ちゃん名指しの依頼書が掲示されているではないか?!!

思わずコイムさんの方を見ると、露骨に視線を避けられた。
これはコイムさんもグルなのだな?!
そう確信した私とお兄ちゃん。

しかし、掲示板の半数を私達名指しで依頼書が出されているため、他の人の為の依頼書が出せない状況になっていたので、お兄ちゃんと協力して名指しの依頼書を全て剥がして受付へと持って行く。

「ナナちゃん。これ、全部受けたいんだけど。いい?」

「良いですよね?何せ名指しですので。」

私とお兄ちゃんの迫力に押され気味のナナちゃんは、思わず近くにいたコイムさんに助けを求めた。

コイムさんはこうなる事がわかっていたのであろう。
すんなりナナちゃんと変わって私達の対応にあたってくれた。

「コイムさん。コレはなんですか?」

「依頼書ですね。」

「それは、見たらわかります。しかし、おかしいですよね?なんで、半数近くが僕達指名なんですか?!」

私とお兄ちゃんに睨まれるコイムさん。

溜息を吐きながらも真相を教えてくれた。

「お二人が冒険者登録をする前からこれらの依頼書は存在していたのです。
いずれお二人が冒険者になった時にと考えて作られたものばかりです。
もちろん最近作られた物もありますが、多すぎて貼り出せないのですよ。
これでもまだほんの一部ですよ?」

と話すコイムさん。

よく見れば依頼書の紙は黄ばんでて古い感じがする。

そんな前から書かれていた物だとは私もお兄ちゃんも思っていなかった。

しかも依頼書に書かれている依頼主は全て、私とお兄ちゃんが知る人達ばかり。

「駆け出しの冒険者は地道に沢山の依頼をこなしていかないとランクをあげるのは難しいのです。
その為、親心というのでしょうかね...。自分達に出来ることをという事で、"依頼書"という形で手助けをしたいのでしょう。」

話ながらもコイムさんは、私とお兄ちゃんが持ってきた依頼書の受理作業をこなしている。

「でも...あんまりだわ!掲示板の半数近くを占めるのは悪いことよ!他の人の迷惑だわ!」

「これでも選りすぐったんですよ?だってほら...。まだまだこれだけ、お二人が専用の依頼書があるですよ。」

と言いながら、部屋の奥から木箱二つを運んでくるコイムさん。

木箱といっても、120センチ四方の大きめの箱二つだ。

「この二つがGランク用。他にもそれぞれランクごとに2~3箱ずつありますよ。ずっと、このギルドの倉庫で保管してましたからね。日の目を見れてよかったですよ。」

コイムさんの言葉に何も言い返せなくなった私とお兄ちゃん。
専用依頼がすでに各ランクごとに用意されているって...。
そんな冒険者っているの?

思わず口に出さずにコイムさんを見つめると...。
すごく温かい眼差しと共に肩をぽんぽんされた。

とりあえず、コイムさんによって受理作業をされた依頼書をこなす事にした。

今日のノルマーは依頼書30枚だ!!!

多分私とお兄ちゃん専用に用意されている依頼書の1/3にも満たない量だけど、こなしてなんぼのもんよ!

お兄ちゃんが依頼書を管理して、二人でこなす事に。

最初の依頼書の内容は...。

「「えっ?!」」

依頼書の中に書かれている内容を見て目が点になる私とお兄ちゃん。

依頼書の内容とは...。

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:小金貨二枚(約2000円)
依頼主:スティールミ 】

「えっ?草抜きして、お茶をするだけで...。」

「小金貨二枚...。」

とりあえず、依頼主であるルミばぁーちゃんの所へ向かう事に。

向かう道中に他の依頼書にも目を通していると...。

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:小金貨二枚(約2000円)
依頼主:ムキファー 】

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:小金貨二枚(約2000円)
依頼主:ロドムカ】

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:小金貨二枚(約2000円)
依頼主:モッケロン 】

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:小金貨二枚(約2000円)
依頼主:ドム】

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:小金貨二枚(約2000円)
依頼主:ラミィー 】

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:小金貨二枚(約2000円)
依頼主:ラディーミル】

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:小金貨二枚(約2000円)
依頼主:カシム】

【Gランク冒険者、アキラ・リン専用依頼書
内容:庭の草抜きと一緒にお茶をする事。
報酬:大金貨二枚(約20000円)
依頼主:フレア 】

と...まぁ~似たような内容ばかりが...30枚も....。

しかもドラしゃんの報酬って?!
えっ???!!!

私とお兄ちゃんは二度見してしまった。

そんなこんなで、依頼書を見ながら歩いているとルミばぁーちゃんの家に着いた。

まぁ~依頼書の依頼を受けるんだから...ねぇ?

玄関の扉をノックすると、複数の足音が。
勢いよく扉が開いたと思ったら、依頼主以外の人達も...。

と言うか、依頼書を出している全員がそこにいた。

「やったぁー!!ほら、私のいった通りだろう?」

「クソ!!なんで、このババァーの所が先なんだ!!」

「誰だ?受付をした奴は?!」

など色んな言葉が飛び交う。

初めてこなす依頼内容が...。
何故かいつもと変わらない感じがするのは...気のせい?

そうもいながらチラッと横目でお兄ちゃんを見ると、どうやらお兄ちゃんもおんなじ事を考えているようだった。

「五月蝿いよ!お前たち。アキラ、リン待ってたよ。依頼を受けてくれたんだろう?頼んだよ。草抜きをしている間にお茶の準備をしているからね。」

そう言って私とお兄ちゃんを庭に案内するルミばぁーちゃん。

草抜きをさせる為わざと抜いてないのがわかるほどに、草が生えているではないか。
いや、ルミばぁーちゃんの事だからこの依頼のためにワザと薬でも使って草を生やした可能性がある。

もちろん横並びに立っている他の依頼主のお庭も似た様な光景が...。

ちなみにラディじぃーちゃん達の家も、街をやりかえる時私達の家の近くにお引越ししたので、ご近所さんなのだ。

そこでだ。
私とお兄ちゃんは道中考えていたことをここに居る依頼主達に伝えた。

「依頼内容が皆似たような内容ばかりだから、先に全ての家の草抜きを終わらせてからお茶を皆でしましょう?」

「他の依頼もそんな感じで良いですか?皆さん集まっているので、その方が僕達も動きやすいので。」

私とお兄ちゃんがそう提案すると皆納得してくれた。
どうやら草抜き云々差し引いて、ただ私達とお茶がしたいだけのよう。

とりあえず、ルミばぁーちゃんの家から順に草抜きとその他の依頼をこなしていく事にした。

 まずルミばぁーちゃんの家から草抜きを始めた私とお兄ちゃん。

"単なる"草抜きだから楽勝だとほとんどの人達は思うだろう。

だって依頼書にも"草抜き"と書かれているから普通そう思うのが当たり前なのだが。

この依頼内容は"一般的な草抜き"とは訳が違う。
だって草抜きする庭の主をよく考えてくださいよ?!

そんな人達が依頼するものが、そんな簡単なものの訳ないのです。
私とお兄ちゃんの"嫌な予感"は的中したのだ。

子供の頃から日常的に皆の庭の草抜きや部屋の掃除は一緒に行って来た。

側から見たら孫と楽しむ年寄りの道楽みたいに見えただろう。

しかし、実際はそんな甘いものではないのだ。

特にルミばぁーちゃんの庭は、この街で一番危険な地帯だといっても過言はない。

何せ、ルミばぁーちゃんの庭には一見"雑草"に見える"毒草"や"魔物草"と呼ばれる草が沢山生えているからだ。

私とお兄ちゃんはそれを幼い頃からばぁーちゃん達と草抜きと言う名目で取り扱い方や見分け方の訓練を受けていた。

もちろんそれはルミばぁーちゃんだけでない。
他のじぃーちゃん達の庭も似たり寄ったりの環境なのだ。

長年冒険者をしているとお店で回復剤を購入するより、自分で素材を栽培して作成する方が回復量が違うそうだ。

あと自分で素材を栽培してお金に変えたりして、冒険に行けない間の資金源にしたりするそうだ。

そのためか、高ランクの冒険者ほど自分の土地や敷地内に薬草や毒草などを栽培している人が多い。

何より色んな場所に旅に出るなら必要最小限の植物に対する知識はあった方が良いと言う理由で、みっちり鍛えられたのだ。

あと私は戦闘より魔物や植物に対する知識、魔法を中心に身につけておくほうが良いと言うばぁーちゃん達の親心でもあった。

そうでなくても、私が闘うなんて事をしたら全力で止めに入る人物がいるから...知識なら問題ないだろうと言うのが本音だったようだ。

そんなこんなで、今回の依頼は少し厄介だった。

でも、私とお兄ちゃんにはこれぐらいの内容は慣れている。

一瞬で庭に生えている植物を全て確認して必要な道具と装備を鞄から取り出した。

「お兄ちゃん。準備できた?」

「おう!リンは?」

「私もできたよ!」

「「じゃーやりますか?!」」

私とお兄ちゃんはそれぞれ手分けして作業に取り掛かった。

お兄ちゃんは未だに雑草と毒草と薬草類の区別がつかないので、私が見分けを行い抜いたものをお兄ちゃんに知らせる。

お兄ちゃんは私が抜いたものをそれぞれの処理方法で回収するという役割だ。

私の方がしんどいと思われがちだが、実はお兄ちゃんの方がしんどいのだ。

私がするのは見分けてそれぞれのやり方で抜くまでだ。
それ以降はお兄ちゃんの仕事となるからね。

私が抜いた雑草は普通に処理したらいいのだが、毒素や薬草類は一味違う。

処理の仕方を間違うと色々と面倒な上に、魔力を使うので負担が多いのだ。

先に私が庭の中に入り抜いていく。

「お兄ちゃん。この庭には普通の雑草と普通の毒草と中毒性の高い毒草が五種類。ガンバク草、ランドル草、ドクダン草、マヒダン草、ダンダガ草があるよ。
あと、燃やすと猛毒を分泌するマンドン草もあるわ。
 あとは、回復素材のモモン草、アサナ草、ヤナマ草があるわ。」

私が庭に入ったと同時に何が生えてるかをお兄ちゃんに伝えると、それぞれの処理用の道具を設置し出した。

「相変わらずエグいね。ルミばぁーちゃんの庭って。」

「でも、どれも売ったら高いものばかりよ。さすがよね。」

私は次々と足元の草達を抜いていく。

簡単に抜いている様に見えるが、抜き方や扱い方を間違うと怪我をしたり、毒にやられたりするので集中力を途切らせずにしないといけない。

「まずは、先に普通の雑草を抜いていくからね。」

「わかった。」

次々と普通の雑草を抜いていくが、まだまだ草が生えている状況だ。

「よし!雑草は抜けた。次は中毒性の強い五種類を抜いていくよ。
抜いた草の名前を言って渡すから宜しくね!」

「わかった!」

ここからは毒草となる。
この五種類は抜き方と処理の仕方が独特なのだ。

ガンバク草とランドル草を一緒に抜かないといけないが、処理は一緒にできない。

ドクダン草とマヒダン草を一緒に抜かないといけないが、処理はガンバク草と一緒にしないといけない。

ダンダガ草は、ガンバク草、ランドル草、ドクダン草、マヒダン草を抜いてからでないと抜いたら駄目な毒草だ。

しかし、ランドル草と一緒に処理をしないといけないと言う、面倒臭い植物なのだ。

だが、どれも抜いて直ぐに処理をしないと、葉や根から毒成分が液状化して出てくるのだ。
だから素早さと正確さが求められる。

しかしタイムロスが生じるため、抜いてから処理ができる相方が抜けるまで魔法で毒成分が分泌されない様に予防しないといけないのだ。

「じぁー、お兄ちゃんいくよ?!」

「ああ。いつでもいいぞ!」

「じゃ、抜くね!」

お兄ちゃんの準備が出来ているのを横目で確認して、毒草を五種類抜いてった。

まずは...ガンバク草とランドル草を一緒に抜いて、お兄ちゃんに渡す。

「お兄ちゃん、右がガンバク草で左がランドル草よ!」

「わかった!」

次にドクダン草とマヒダン草を一緒に抜いた。

「次は、右がドクダン草で左がマヒダン草よ!」

「了解!」

最後はダンダガ草を抜いた。

「これがダンガン草よ!また、最初に戻るからね!」

「了解!」

お兄ちゃんにそれぞれの毒草を渡すとお兄ちゃんは手順通りに処理をこなしていった。

その様子を家の中からルミばぁーちゃん達はちゃんと見守っていてくれた。
決して口出しも手出しもしない。

しかし、私達の動きをしっかり見逃さないように見守ってくれていたのだ。

「やるじゃないか。」

「ちゃんと教えた事を覚えているなぁー。」

「アキラは相変わらず見分けがつかないんだなぁ~。」

「リンは"鑑定"のスキルを持っているからね。」

「そうでなくても、【大聖霊】達の加護もあるからなぁ~。」

『成長を喜ばないといけないのですが、なぜか寂しいですよね。
以前より頼って貰えることが減りましたからね...。』

私達が一生懸命作業をしている間、そんな事を話していたばぁーちゃん達は少し寂しそうな表情をしていたのだった。









アキラ:
ルミばぁーちゃんの庭って本当に危険地帯だよね。

リン:
泥棒も入りずらいよね。

アキラ:
てか、この世界に来て泥棒見た事ないね。話も聞かないし。

リン:
無理じゃない?こんだけ色んな意味で危険な人達の家に入ろうと思う人いないでしょう?

アキラ:
...リン...。

























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