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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-63 祈りと新たな目覚め
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新しく作った東西南北の街のギルドマスターが無事に決まった。
どの人も安心して任せられる人ばかり。
まず、北側の街はカカンさんがギルドマスターに正式に任命され、西側の街はリュモさんがギルドマスターに任命された。
南側は最後までしっかりと話し合いをしてその結果、正式にサリムさんがギルドマスターに任命され、東側はヤマブキさんがギルドマスターとして任命された。
あと、ギルドマスターを支えるもしくは尻に敷いてビシバシと鍛え上げる存在の副ギルドマスターには、各ギルマスの昔からの仲間が役割を担う事に。
カカンさんやリュモさんの副ギルドマスターになるメンバーは既にこの街ので住民登録をしているのでさほど問題はなかったが...。
サリムさん達は違った。
同盟国の住民登録しかしていないので、新たにこの街で住民登録が必要だった。
それは、それぞれの副ギルドマスターになるメンバーもだ。
サリムさんの方は、側近仲間のリリムさんとハリーさんが副ギルドマスターとして一緒にギルドを盛り立てることになった。
ふたりはサリムさんの後輩にあたり、サリムさん直々に指導にあたっていた存在なので、何かと指示がしやすいのとリリムさんもハリーさんもサポート役としては十分すぎるほどの能力を持っているので適任者でもあった。
ヤマブキさんの方は、同じく側近仲間のシブキさんとコラムさんが副ギルドマスターに任命された。
こちらは、ヤマブキさんの後輩と後輩だった。
シブキさんはヤマブキさんが側近についた時の指導者をしていた人で、コラムさんはヤマブキさんが指導していた後輩にあたる。
それぞれ適任者を得ることができたので、全員まとめてこの街で住民登録を早急に行なった。
登録しつつ、ギルドマスターや副ギルドマスターとしての仕事の指導も同時に行われる。
そのため、自分達の住民登録は各自でルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃんの指導の元おこなっていた。
実際にしながら教わった方が覚えが早いだろうということだ。
彼らの事はルミばぁーちゃんとロドじぃーちゃん。そして街のギルドの職員さんに任せることに。
残るは、移住するにあたって当面の食料や日用品の準備だ。
それには同盟国の国王達も協力してくれて、余裕を持って物資の準備を整えることができた。
同盟国からは、物資だけでなく人も多くやってきた。
総勢約600人近くになり、年齢的に10~40歳代の働き手ばかり。
どうやら仕事をできる身体はあっても仕事がない人や障害があったり満足に教育を受けてなくて、働き口がない人ばかりのようだ。
全員がそういったわけではなく、先に来ている人達の家族も今回含まれている。
とりあえず新しくきた人達全員の健康状態の確認と住民登録も行なっていく。
状態確認と住民登録が完了したら、それぞれに新しくできた街の説明をして、どの街に住むかを決めてもらうように話を進めていく。
この国自体が発展中なので、仕事は山ほどある。
土地の開発や建築、町や村を開墾してもいいし、商売をしても可能だしと選択肢はたくさんある。
それを聞いて移住を決意してきた人達は大喜びする。
私達家族も協力して健康状態の確認や住民登録をしていく。
およそ1週間かかったが、全員のが調査と登録が終わった。
追加できた人達も予想通り...栄養状態がよろしくなかった。
そのため、ある程度の体力と栄養状態が改善されるまで、皆はこの街でドムじぃーちゃんが速攻で作った仮設住宅で住んでもらうように段取りを少しだけ変えることに。
その事もふまえて、皆を集めて話し合いをする事した。
まず、健康状態についての説明をお母さんから説明していく。
その後に住民登録が完了したことをルミばぁーちゃんがして、その登録をした事により今までとここではどう違うことがあるのかについてルミばぁーちゃんとロドじぃーちゃんから説明する。
あと、移住先については...ドムじぃーちゃんから説明がされた。
もちろんこのまま残っても大丈夫なことを踏まえて説明して、皆の意見を聞いていく。
結論が出るに多少時間がかかると考えていたが、いがいとそうでもなかった。
ファールト王国から来た人達は、大半が南側の街へ移住すると意見がまとまった。
なぜなら環境的にそちらの方が住みやすいという意見が大半をしめていたからだ。
ロフィード王国から来た人達は、東西南北均等に分かれて移住することが決まった。
どうも街の説明を聞いて各々興味が湧いた所に行きたいという意見が多かったようだ。
ルファロル王国から来た人達は、全員が西側の街へ希望した。
体質上それは仕方がないし、想定内だったし、人数的にも問題がない。
そして、王様のいるウォルト国から来た人は、こちらも各地にそれぞれ散らばる事になった。
ウォルト国からは獣人やエルフ族が大半だったし、植物や水源が有ればどこでも生活ができることが強みだった。
揉めることもなく、すんなり移住先が決まり国王様達もホッとする。
ホッとしたところで、街の結界が何かに反応して攻撃体勢に入る。
後から来た人達は初めて見る光景で固まっていた。
そりゃそうですよね。
久しぶりにみる新鮮な反応に逆にドキドキする私達がおかしいのかなぁ?と思いながら街の外へ偵察に向かう。
戦力に偏りが出ないように外に偵察にいくメンバーは、私とお兄ちゃんと【聖獣】とドラしゃんだ。
もっといってもよさそうだが、戦力的に十分とロドじぃーちゃんが判定したので、このメンバーで動くことに。
その間に街の結界についてロドじぃーちゃんが皆に改めて説明し、念ための避難を行う。
私達が街の外に出ると...はい...居ましたよ。例の黒服の人が。
懲りないなぁーと思いながらも眺めていると、攻撃の隙をついて分身体を私の方へ移動させる。
あと少しの所で...?!!砕ける分身体。
「ねぇ~。なんで、そんなにわたしにこだわるの?」
私は思わずそう叫んでしまった。
すると、黒服の人が後退り返事をする。
街からある程度距離をとったためか、攻撃が止んだ。
"あなたでないとダメなんです。それは昔かっら決まっていること。あなたが忘れているだけです。"
そう叫ぶ黒服の人。意味がわからない。
だって私あの人と初対面なのに。
そう考えていると、ドラしゃんが黒服の人に叫んだ。
『お前は本来存在しないモノ。誰かの恨みの心や執念の集合体に過ぎないはず!なぜ、そこまでしてお嬢様を付け狙う!』
すると、黒服の人が黒服のマントを退けた。
するとそこには、"ドラしゃん"の姿が。
いいや、ドラしゃん似た姿の人が立っていたのだ。
『やはりか...。』
そう呟くドラしゃん。
どうやらドラしゃんは気付いていた様子。
前回分身体で私に接触して来た段階で、この黒服の人がどんな存在かを理解していたのだった。
"私はお前だ。お前だ。以前の私は別のモノの無念の塊で存在していた。
しかし、あの戦いで私も一度滅んだ。
だが...今度はお前の無念さと人々に対する恨みの塊で再び生まれ変わったのさ。お前だけでない。あの戦いで死んでいった者達の恨みや無念も含まれている。中でも、お前の無念さが1番強かったのさ。"
そう言って不敵に笑う黒服ドラしゃんに扮した人。
だから、以前の結界にすんなり分身体と言えど侵入ができたのだ。
あの黒服の人から感じる禍々しい程の黒い渦は、色んな人の怨念みたいな感情。
私はゆっくりと黒服の人に向かって歩いて行った。
もちろんお兄ちゃんもだ。
ドラしゃんが急いで私達を追いかけようとしてら結界に阻まれた。
私とお兄ちゃんは結界の攻撃がギリギリ届く所まで歩みを進めた。
そして。
「ねぇー。そのせいたちゅたのしい?」
私はそう黒服の人に向かって話しかけた。
黒服の人は、キョトンとしていた。
"はっ?"
「今の生活は楽しいですか?」
今度はお兄ちゃんが私の言葉を正確に伝えてる。
"なんだと言うんだ!"
黒服の人は、少し苛立ちげに返事を返す。
私とお兄ちゃんは手を握って目を閉じる。
そして祈りを捧げた。
以前彼女から貰った力を使う事にしたのだ。
彼女から貰った力に自分達の魔力を乗せて祈った。
すると黒服の人の足元に見慣れない魔法陣が現れたのと同時に、魔法陣から金色の蔦が出てきて黒服の人に巻き付く。
"なんだ!!これは?!"
慌てた黒服の人。
しかし、金色の蔦は黒服の人を逃さなかった。
そして、私達も金色に光った。
その光景は【大聖霊】達によって密かに街の人達にも見せられていた。
金色に光ったと同時に私とお兄ちゃんは、大人の姿になった。
驚く街の人達と黒服の人。
「可哀想な人。いつまでも恨んでいてもいい事はないわよ。」
「恨むのも疲れるよ?恨むより新しい世界に目を当てる方がいいよ。」
「私達からあたなたに新しい人生をプレゼントをします。新しい人生でいい思い出を沢山作って。」
「僕達も新しい人生を貰って幸せだから、貴方にも。」
そう言って、ある魔法をかけた。
「「あなたに祈りを。新しい命と人生を。リザレクション・ライフレス」」
すると黒服の人は金色の光に包まれて消えていった。
「「あなたに神の祝福を。」」
そう言い終わると私とお兄ちゃんは、元の姿に戻ってその場に崩れ落ちる。
私とお兄ちゃんが倒れると同時にドラしゃんを邪魔していた結界は消えた。
ドラしゃんは急いで私とお兄ちゃんを抱きかかえる。
ドラしゃんに抱えられた私とお兄ちゃんは、すやすやと寝息を立てて眠っていた。ホッとするドラしゃん。
私とお兄ちゃんを抱きしめて街へと戻っていく。
帰る前に黒服の人が立っていたところを見るドラしゃん。
そこにはあの姿はなく、代わりに綺麗な花が咲き誇っていたのだった。
大きな力を使った私とお兄ちゃんは、5日間も眠りについていた。
その間夢で色んな人がお礼を言いにきていた。
多分だがあの黒服の人に取り込まれていた無念や恨みを残していった人達だろう。
皆笑顔だった。
そして、最後にあの黒服を着た人が現れた。
フードの中の姿はドラしゃんではなく、本来のこの人なのだろう。
ドラゴンと人間のハーフの姿をしていた。
その人は私とお兄ちゃんの前に来て、フードを外し頭を下げて御礼をいい、自分の過去を話し出す。
彼は家族を人間に殺されてしまい、彼も命尽きるまで奴隷として人間にこき使われていたという。
その奴隷先で、私と同じ魂の波動を持つ女性と恋に落ちたと語ってくれた。
"彼女も目の前で殺された。私はその恨みを募らせて死んでいったのさ。
また、彼女と巡り会うために...。
でも、彼女はもうすでに生まれ変わっていたのだね...。
君達には助けられた。
御礼に君達にこれをプレゼントするよ。
コレはドラゴンの鱗の中でも貴重な部分の鱗さ。
これを持っていたらある程度の魔物は逃げるし、ドラゴンの加護を受けられる。
本当にありがとう。"
そう言って私とお兄ちゃんに一枚ずつ鱗を渡してきた。
私とお兄ちゃんがそれを受け取った事を確認して、その人は静かに消えていった。
完全に気配も存在もなく...。
彼と最後の別れをして私達は目を覚ました。
目を開けると、周りにはいつメンが揃っていた。
私達が目覚めないので移住も先延ばしにして、皆で交代で看病をしてくれていた。
目覚めたと同時に私とお兄ちゃんは体に違和感を感じた。
少し来ている服が窮屈に感じるのと、視線がいつもより少し高くなった感じがする。
どうやら寝ている間に、体から少し大きくなっていたようだ。
魔力量が増大した分大きくなったのでは?と言う【大聖霊】達の言葉だったが...。
すでに大量の魔力量を持っているのに...。と、疑問に感じたが、そこは何故か皆黙認する。
『これは、服を作り直さないといけないですね。子供の成長は早いですね。』
そう言って苦笑いするドラしゃん。
「しかし、今回も派手にやったな。街の奴らはお前たちを拝み出したぞ!」
「そうそう。なんか各街にお前さん達の像を建てるとか言い出す始末だったよ。」
「しかし、ご苦労さんだったなぁー。」
「もう全て片付いたようですね。気配が全くないですから。」
「ほんま、あんさんらはすごいわぁー。」
それぞれに褒められているのか微妙な言葉を貰った。
「リン、アキラ目が覚めて良かったよ。しかし、無茶はあれほど駄目だって言っただろう?」
「もう!すぐ無茶をするんだから!」
お父さんとお母さんには、小言を言われた。
しかし、辛さより嬉しさが一杯だった。
最後に見たあの人の顔が笑顔だったから。
彼女との約束が守れたかはわからないけど、きっと許してくれるはず。
そうなんとなく思った。
とりあえずもう1日だけ様子を見て何ともなければ翌日から北側の街から移住を開始する事にした。
なぜ私達の回復を待ったかと言うと、各街に張られている結界のせいだ。
最初はきっと私とお兄ちゃんが一緒に行かないと結界が攻撃するだろうと思ったからだそうだ。
それに関しては街の人達からは異議は出なかったそうだ。
あれだけの力を見せつけたら幼児でも逆らうのは危険と感じたのだろう。
それとは別に皆が私達と一緒に最初は旅をしながら移住をしたいとの事だった。
それなら...ね。悪い気もしなかった。
行きはのんびりで、帰りはマッハでのスケジュールとなるが...私達にはできないことはない。
とりあえずは、今日1日はのんびり過ごす事に。
街の人達には、ルミばぁーちゃん達から目が覚めた事を伝えてくれた。
ルミばぁーちゃんが伝えると快気祝いだと言って、夕食を盛大にしたいと申し出があったそうだ。
それにはお母さん達も賛同した。
移住祝いもかねて皆で盛大に祝おうと言うことに。
そうと決まれば皆の行動は早い!!!
ドムじぃーちゃん、お父さん、ムキじぃーちゃんは、会場の設置。
ラディじぃーちゃんとカシムじぃーちゃんとモッケしゃんとラミィお兄ちゃんで、街の人達と食料調達。
(主に肉類と魚類を)
お母さんとナナばぁーちゃん、ロナばぁーちゃんと街の主婦達で料理を。
ルナばぁーちゃんとギルド職員さんでお酒類の調達を。
私とお兄ちゃんはドラしゃんの側で大人しくと言うことになった。
やる気に満ちた大人達の行動力は凄い!!
頭の回転の速さと行動力。
なんで普段にそれを発揮しないの?ってな感じ。
街の人達もそれぞれ自分たちで出来ることを探して、夕方のパーティーの準備に取り掛かっていた。
私とお兄ちゃん、そしてドラしゃんと【聖獣】達と【大聖霊】達はお城の天守閣になぜか登って街を見下ろしながら待つ事に。
「すごいね。」
「うん。凄い。最初は何もない森に囲まれた所に居たのにね。」
『そうでしたね。気付けば家が増え、人が増え。しまいには街ごと移動して国になりましたからね。』
「はやいね。」
「確かに。」
『ありえない速さでしたね。でも、それだけここが豊かになっていると言うことですよ。良いではありませんか。』
『確かに。ここほど良い環境はないなぁー。』
『ないですのう。』
『ないな。』
『ないですわね。』
「まるで"てんごく"だね。」
「そうだね。でも、どっちかと言うと"桃源郷"かもだね。」
私とお兄ちゃんの言葉にキョトンとする面々。
「"てんごく"って、みたことはないんだけと、すごくいいところなんだって。」
「色んな花や植物があって、"極楽浄土"って言う場所なんだって。一度行ったら帰れなくなるとか。」
『それならわかります。ここ以外で住めと言われても、もう無理ですね。』
『無理だね。』
『無理』
『あー無理無理。』
『やだね。』
『無理』
『無理ですのう。』
『むーりー!!』
『無理ですわ。』
【大聖霊】【聖獣】たち皆がそう言って首を縦に振る。
その姿を見て
『以前の生活をするのは、もう..無理ですね。なんで、あんな生活を出来ていたのか不思議なぐらいですよ。』
そう言って微笑するドラしゃん。
ドラしゃんがどんな生活をしていたかはよく知らないが、自分達との生活がいいと言ってくれるのがとても嬉しかった。
私もお兄ちゃんも、前の生活より今の方が断然よかった。
決して前の生活が悪かったわけではない。
しかし、これだけ色んな人と出会って楽しい思い出が増えた今、以前の生活に戻る事は不可能だ。
それだけ今の生活が自分達にとって良いものになっていた。
テレビもないし動物園もない。
デパートもないし遊園地もない。
ないけど、その分彼らが居てくれる。
ふわふわの毛をした獣人の人達。
【聖獣】や【大聖霊】。
それに、ルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃん。
ラミィお兄ちゃんにモッケしゃんとムキじぃーちゃん。
そして何より、いつも側にいて誰よりも1番に私達のことを考えてくれるドラしゃんがいるのだ。
それだけで十分。いや、お釣りがくるぐらいだ。
「このせかい。リン大好き。」
「僕も大好き!」
私とお兄ちゃんの言葉を聞いて皆笑顔に。
こんな素敵な人達がいる世界を嫌いになるはずがない。
嫌いになれない。
そう思ったが時だった。
『ありがとう。その言葉をずっと待っていたんだ。』
『ありがとう。愛してくれて。』
『ありがとう。』
『感謝します。あなた達には。』
『ようやくだ。ようやく目覚める事ができるよ!』
そんな声が私達の近くから聞こえて来た。
その声はドラしゃんや【聖獣】、【大聖霊】達にも聞こえていたみたいで警戒する。
いったい何処から?
私達がキョロキョロして周りを見渡していると....?!!
目の前に何処かで見た事がある卵が浮いているのに気付いた。
「えっ?」
「卵?」
私もお兄ちゃんがそう呟くと、眩しい光と共に卵が割れいった。
リン:
卵って宙にうけるの???
アキラ:
すごいね!卵!
ドラしゃん:
そこですか?!!
リン:
だって卵だよ?
アキラ:
卵だよ!
ドラしゃん:
卵以外でも驚くところあるでしょ?!!
どの人も安心して任せられる人ばかり。
まず、北側の街はカカンさんがギルドマスターに正式に任命され、西側の街はリュモさんがギルドマスターに任命された。
南側は最後までしっかりと話し合いをしてその結果、正式にサリムさんがギルドマスターに任命され、東側はヤマブキさんがギルドマスターとして任命された。
あと、ギルドマスターを支えるもしくは尻に敷いてビシバシと鍛え上げる存在の副ギルドマスターには、各ギルマスの昔からの仲間が役割を担う事に。
カカンさんやリュモさんの副ギルドマスターになるメンバーは既にこの街ので住民登録をしているのでさほど問題はなかったが...。
サリムさん達は違った。
同盟国の住民登録しかしていないので、新たにこの街で住民登録が必要だった。
それは、それぞれの副ギルドマスターになるメンバーもだ。
サリムさんの方は、側近仲間のリリムさんとハリーさんが副ギルドマスターとして一緒にギルドを盛り立てることになった。
ふたりはサリムさんの後輩にあたり、サリムさん直々に指導にあたっていた存在なので、何かと指示がしやすいのとリリムさんもハリーさんもサポート役としては十分すぎるほどの能力を持っているので適任者でもあった。
ヤマブキさんの方は、同じく側近仲間のシブキさんとコラムさんが副ギルドマスターに任命された。
こちらは、ヤマブキさんの後輩と後輩だった。
シブキさんはヤマブキさんが側近についた時の指導者をしていた人で、コラムさんはヤマブキさんが指導していた後輩にあたる。
それぞれ適任者を得ることができたので、全員まとめてこの街で住民登録を早急に行なった。
登録しつつ、ギルドマスターや副ギルドマスターとしての仕事の指導も同時に行われる。
そのため、自分達の住民登録は各自でルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃんの指導の元おこなっていた。
実際にしながら教わった方が覚えが早いだろうということだ。
彼らの事はルミばぁーちゃんとロドじぃーちゃん。そして街のギルドの職員さんに任せることに。
残るは、移住するにあたって当面の食料や日用品の準備だ。
それには同盟国の国王達も協力してくれて、余裕を持って物資の準備を整えることができた。
同盟国からは、物資だけでなく人も多くやってきた。
総勢約600人近くになり、年齢的に10~40歳代の働き手ばかり。
どうやら仕事をできる身体はあっても仕事がない人や障害があったり満足に教育を受けてなくて、働き口がない人ばかりのようだ。
全員がそういったわけではなく、先に来ている人達の家族も今回含まれている。
とりあえず新しくきた人達全員の健康状態の確認と住民登録も行なっていく。
状態確認と住民登録が完了したら、それぞれに新しくできた街の説明をして、どの街に住むかを決めてもらうように話を進めていく。
この国自体が発展中なので、仕事は山ほどある。
土地の開発や建築、町や村を開墾してもいいし、商売をしても可能だしと選択肢はたくさんある。
それを聞いて移住を決意してきた人達は大喜びする。
私達家族も協力して健康状態の確認や住民登録をしていく。
およそ1週間かかったが、全員のが調査と登録が終わった。
追加できた人達も予想通り...栄養状態がよろしくなかった。
そのため、ある程度の体力と栄養状態が改善されるまで、皆はこの街でドムじぃーちゃんが速攻で作った仮設住宅で住んでもらうように段取りを少しだけ変えることに。
その事もふまえて、皆を集めて話し合いをする事した。
まず、健康状態についての説明をお母さんから説明していく。
その後に住民登録が完了したことをルミばぁーちゃんがして、その登録をした事により今までとここではどう違うことがあるのかについてルミばぁーちゃんとロドじぃーちゃんから説明する。
あと、移住先については...ドムじぃーちゃんから説明がされた。
もちろんこのまま残っても大丈夫なことを踏まえて説明して、皆の意見を聞いていく。
結論が出るに多少時間がかかると考えていたが、いがいとそうでもなかった。
ファールト王国から来た人達は、大半が南側の街へ移住すると意見がまとまった。
なぜなら環境的にそちらの方が住みやすいという意見が大半をしめていたからだ。
ロフィード王国から来た人達は、東西南北均等に分かれて移住することが決まった。
どうも街の説明を聞いて各々興味が湧いた所に行きたいという意見が多かったようだ。
ルファロル王国から来た人達は、全員が西側の街へ希望した。
体質上それは仕方がないし、想定内だったし、人数的にも問題がない。
そして、王様のいるウォルト国から来た人は、こちらも各地にそれぞれ散らばる事になった。
ウォルト国からは獣人やエルフ族が大半だったし、植物や水源が有ればどこでも生活ができることが強みだった。
揉めることもなく、すんなり移住先が決まり国王様達もホッとする。
ホッとしたところで、街の結界が何かに反応して攻撃体勢に入る。
後から来た人達は初めて見る光景で固まっていた。
そりゃそうですよね。
久しぶりにみる新鮮な反応に逆にドキドキする私達がおかしいのかなぁ?と思いながら街の外へ偵察に向かう。
戦力に偏りが出ないように外に偵察にいくメンバーは、私とお兄ちゃんと【聖獣】とドラしゃんだ。
もっといってもよさそうだが、戦力的に十分とロドじぃーちゃんが判定したので、このメンバーで動くことに。
その間に街の結界についてロドじぃーちゃんが皆に改めて説明し、念ための避難を行う。
私達が街の外に出ると...はい...居ましたよ。例の黒服の人が。
懲りないなぁーと思いながらも眺めていると、攻撃の隙をついて分身体を私の方へ移動させる。
あと少しの所で...?!!砕ける分身体。
「ねぇ~。なんで、そんなにわたしにこだわるの?」
私は思わずそう叫んでしまった。
すると、黒服の人が後退り返事をする。
街からある程度距離をとったためか、攻撃が止んだ。
"あなたでないとダメなんです。それは昔かっら決まっていること。あなたが忘れているだけです。"
そう叫ぶ黒服の人。意味がわからない。
だって私あの人と初対面なのに。
そう考えていると、ドラしゃんが黒服の人に叫んだ。
『お前は本来存在しないモノ。誰かの恨みの心や執念の集合体に過ぎないはず!なぜ、そこまでしてお嬢様を付け狙う!』
すると、黒服の人が黒服のマントを退けた。
するとそこには、"ドラしゃん"の姿が。
いいや、ドラしゃん似た姿の人が立っていたのだ。
『やはりか...。』
そう呟くドラしゃん。
どうやらドラしゃんは気付いていた様子。
前回分身体で私に接触して来た段階で、この黒服の人がどんな存在かを理解していたのだった。
"私はお前だ。お前だ。以前の私は別のモノの無念の塊で存在していた。
しかし、あの戦いで私も一度滅んだ。
だが...今度はお前の無念さと人々に対する恨みの塊で再び生まれ変わったのさ。お前だけでない。あの戦いで死んでいった者達の恨みや無念も含まれている。中でも、お前の無念さが1番強かったのさ。"
そう言って不敵に笑う黒服ドラしゃんに扮した人。
だから、以前の結界にすんなり分身体と言えど侵入ができたのだ。
あの黒服の人から感じる禍々しい程の黒い渦は、色んな人の怨念みたいな感情。
私はゆっくりと黒服の人に向かって歩いて行った。
もちろんお兄ちゃんもだ。
ドラしゃんが急いで私達を追いかけようとしてら結界に阻まれた。
私とお兄ちゃんは結界の攻撃がギリギリ届く所まで歩みを進めた。
そして。
「ねぇー。そのせいたちゅたのしい?」
私はそう黒服の人に向かって話しかけた。
黒服の人は、キョトンとしていた。
"はっ?"
「今の生活は楽しいですか?」
今度はお兄ちゃんが私の言葉を正確に伝えてる。
"なんだと言うんだ!"
黒服の人は、少し苛立ちげに返事を返す。
私とお兄ちゃんは手を握って目を閉じる。
そして祈りを捧げた。
以前彼女から貰った力を使う事にしたのだ。
彼女から貰った力に自分達の魔力を乗せて祈った。
すると黒服の人の足元に見慣れない魔法陣が現れたのと同時に、魔法陣から金色の蔦が出てきて黒服の人に巻き付く。
"なんだ!!これは?!"
慌てた黒服の人。
しかし、金色の蔦は黒服の人を逃さなかった。
そして、私達も金色に光った。
その光景は【大聖霊】達によって密かに街の人達にも見せられていた。
金色に光ったと同時に私とお兄ちゃんは、大人の姿になった。
驚く街の人達と黒服の人。
「可哀想な人。いつまでも恨んでいてもいい事はないわよ。」
「恨むのも疲れるよ?恨むより新しい世界に目を当てる方がいいよ。」
「私達からあたなたに新しい人生をプレゼントをします。新しい人生でいい思い出を沢山作って。」
「僕達も新しい人生を貰って幸せだから、貴方にも。」
そう言って、ある魔法をかけた。
「「あなたに祈りを。新しい命と人生を。リザレクション・ライフレス」」
すると黒服の人は金色の光に包まれて消えていった。
「「あなたに神の祝福を。」」
そう言い終わると私とお兄ちゃんは、元の姿に戻ってその場に崩れ落ちる。
私とお兄ちゃんが倒れると同時にドラしゃんを邪魔していた結界は消えた。
ドラしゃんは急いで私とお兄ちゃんを抱きかかえる。
ドラしゃんに抱えられた私とお兄ちゃんは、すやすやと寝息を立てて眠っていた。ホッとするドラしゃん。
私とお兄ちゃんを抱きしめて街へと戻っていく。
帰る前に黒服の人が立っていたところを見るドラしゃん。
そこにはあの姿はなく、代わりに綺麗な花が咲き誇っていたのだった。
大きな力を使った私とお兄ちゃんは、5日間も眠りについていた。
その間夢で色んな人がお礼を言いにきていた。
多分だがあの黒服の人に取り込まれていた無念や恨みを残していった人達だろう。
皆笑顔だった。
そして、最後にあの黒服を着た人が現れた。
フードの中の姿はドラしゃんではなく、本来のこの人なのだろう。
ドラゴンと人間のハーフの姿をしていた。
その人は私とお兄ちゃんの前に来て、フードを外し頭を下げて御礼をいい、自分の過去を話し出す。
彼は家族を人間に殺されてしまい、彼も命尽きるまで奴隷として人間にこき使われていたという。
その奴隷先で、私と同じ魂の波動を持つ女性と恋に落ちたと語ってくれた。
"彼女も目の前で殺された。私はその恨みを募らせて死んでいったのさ。
また、彼女と巡り会うために...。
でも、彼女はもうすでに生まれ変わっていたのだね...。
君達には助けられた。
御礼に君達にこれをプレゼントするよ。
コレはドラゴンの鱗の中でも貴重な部分の鱗さ。
これを持っていたらある程度の魔物は逃げるし、ドラゴンの加護を受けられる。
本当にありがとう。"
そう言って私とお兄ちゃんに一枚ずつ鱗を渡してきた。
私とお兄ちゃんがそれを受け取った事を確認して、その人は静かに消えていった。
完全に気配も存在もなく...。
彼と最後の別れをして私達は目を覚ました。
目を開けると、周りにはいつメンが揃っていた。
私達が目覚めないので移住も先延ばしにして、皆で交代で看病をしてくれていた。
目覚めたと同時に私とお兄ちゃんは体に違和感を感じた。
少し来ている服が窮屈に感じるのと、視線がいつもより少し高くなった感じがする。
どうやら寝ている間に、体から少し大きくなっていたようだ。
魔力量が増大した分大きくなったのでは?と言う【大聖霊】達の言葉だったが...。
すでに大量の魔力量を持っているのに...。と、疑問に感じたが、そこは何故か皆黙認する。
『これは、服を作り直さないといけないですね。子供の成長は早いですね。』
そう言って苦笑いするドラしゃん。
「しかし、今回も派手にやったな。街の奴らはお前たちを拝み出したぞ!」
「そうそう。なんか各街にお前さん達の像を建てるとか言い出す始末だったよ。」
「しかし、ご苦労さんだったなぁー。」
「もう全て片付いたようですね。気配が全くないですから。」
「ほんま、あんさんらはすごいわぁー。」
それぞれに褒められているのか微妙な言葉を貰った。
「リン、アキラ目が覚めて良かったよ。しかし、無茶はあれほど駄目だって言っただろう?」
「もう!すぐ無茶をするんだから!」
お父さんとお母さんには、小言を言われた。
しかし、辛さより嬉しさが一杯だった。
最後に見たあの人の顔が笑顔だったから。
彼女との約束が守れたかはわからないけど、きっと許してくれるはず。
そうなんとなく思った。
とりあえずもう1日だけ様子を見て何ともなければ翌日から北側の街から移住を開始する事にした。
なぜ私達の回復を待ったかと言うと、各街に張られている結界のせいだ。
最初はきっと私とお兄ちゃんが一緒に行かないと結界が攻撃するだろうと思ったからだそうだ。
それに関しては街の人達からは異議は出なかったそうだ。
あれだけの力を見せつけたら幼児でも逆らうのは危険と感じたのだろう。
それとは別に皆が私達と一緒に最初は旅をしながら移住をしたいとの事だった。
それなら...ね。悪い気もしなかった。
行きはのんびりで、帰りはマッハでのスケジュールとなるが...私達にはできないことはない。
とりあえずは、今日1日はのんびり過ごす事に。
街の人達には、ルミばぁーちゃん達から目が覚めた事を伝えてくれた。
ルミばぁーちゃんが伝えると快気祝いだと言って、夕食を盛大にしたいと申し出があったそうだ。
それにはお母さん達も賛同した。
移住祝いもかねて皆で盛大に祝おうと言うことに。
そうと決まれば皆の行動は早い!!!
ドムじぃーちゃん、お父さん、ムキじぃーちゃんは、会場の設置。
ラディじぃーちゃんとカシムじぃーちゃんとモッケしゃんとラミィお兄ちゃんで、街の人達と食料調達。
(主に肉類と魚類を)
お母さんとナナばぁーちゃん、ロナばぁーちゃんと街の主婦達で料理を。
ルナばぁーちゃんとギルド職員さんでお酒類の調達を。
私とお兄ちゃんはドラしゃんの側で大人しくと言うことになった。
やる気に満ちた大人達の行動力は凄い!!
頭の回転の速さと行動力。
なんで普段にそれを発揮しないの?ってな感じ。
街の人達もそれぞれ自分たちで出来ることを探して、夕方のパーティーの準備に取り掛かっていた。
私とお兄ちゃん、そしてドラしゃんと【聖獣】達と【大聖霊】達はお城の天守閣になぜか登って街を見下ろしながら待つ事に。
「すごいね。」
「うん。凄い。最初は何もない森に囲まれた所に居たのにね。」
『そうでしたね。気付けば家が増え、人が増え。しまいには街ごと移動して国になりましたからね。』
「はやいね。」
「確かに。」
『ありえない速さでしたね。でも、それだけここが豊かになっていると言うことですよ。良いではありませんか。』
『確かに。ここほど良い環境はないなぁー。』
『ないですのう。』
『ないな。』
『ないですわね。』
「まるで"てんごく"だね。」
「そうだね。でも、どっちかと言うと"桃源郷"かもだね。」
私とお兄ちゃんの言葉にキョトンとする面々。
「"てんごく"って、みたことはないんだけと、すごくいいところなんだって。」
「色んな花や植物があって、"極楽浄土"って言う場所なんだって。一度行ったら帰れなくなるとか。」
『それならわかります。ここ以外で住めと言われても、もう無理ですね。』
『無理だね。』
『無理』
『あー無理無理。』
『やだね。』
『無理』
『無理ですのう。』
『むーりー!!』
『無理ですわ。』
【大聖霊】【聖獣】たち皆がそう言って首を縦に振る。
その姿を見て
『以前の生活をするのは、もう..無理ですね。なんで、あんな生活を出来ていたのか不思議なぐらいですよ。』
そう言って微笑するドラしゃん。
ドラしゃんがどんな生活をしていたかはよく知らないが、自分達との生活がいいと言ってくれるのがとても嬉しかった。
私もお兄ちゃんも、前の生活より今の方が断然よかった。
決して前の生活が悪かったわけではない。
しかし、これだけ色んな人と出会って楽しい思い出が増えた今、以前の生活に戻る事は不可能だ。
それだけ今の生活が自分達にとって良いものになっていた。
テレビもないし動物園もない。
デパートもないし遊園地もない。
ないけど、その分彼らが居てくれる。
ふわふわの毛をした獣人の人達。
【聖獣】や【大聖霊】。
それに、ルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃん。
ラミィお兄ちゃんにモッケしゃんとムキじぃーちゃん。
そして何より、いつも側にいて誰よりも1番に私達のことを考えてくれるドラしゃんがいるのだ。
それだけで十分。いや、お釣りがくるぐらいだ。
「このせかい。リン大好き。」
「僕も大好き!」
私とお兄ちゃんの言葉を聞いて皆笑顔に。
こんな素敵な人達がいる世界を嫌いになるはずがない。
嫌いになれない。
そう思ったが時だった。
『ありがとう。その言葉をずっと待っていたんだ。』
『ありがとう。愛してくれて。』
『ありがとう。』
『感謝します。あなた達には。』
『ようやくだ。ようやく目覚める事ができるよ!』
そんな声が私達の近くから聞こえて来た。
その声はドラしゃんや【聖獣】、【大聖霊】達にも聞こえていたみたいで警戒する。
いったい何処から?
私達がキョロキョロして周りを見渡していると....?!!
目の前に何処かで見た事がある卵が浮いているのに気付いた。
「えっ?」
「卵?」
私もお兄ちゃんがそう呟くと、眩しい光と共に卵が割れいった。
リン:
卵って宙にうけるの???
アキラ:
すごいね!卵!
ドラしゃん:
そこですか?!!
リン:
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アキラ:
卵だよ!
ドラしゃん:
卵以外でも驚くところあるでしょ?!!
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