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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜

4-64 大聖獣の誕生とこれからの生活に向けて

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 突然の声と共に現れた卵たち。私達の目の前に、宙に浮きながら光輝いたと思ったら次々と卵が割れ出す。

唖然とするしかない私とお兄ちゃん。
そしてドラしゃんと【聖獣】に【大聖霊】達。

卵が割れたことにより漏れ出す魔力と気配により、私とお兄ちゃん以外の人はこの卵がなんの卵で、何が産まれるのかを察知した。

街の上空付近で眩い光があるのに気付いた街の人達も何事かと各々の作業の手を止めて空を見上げる。

眩い光と共に卵は粉々に砕け散りそこに現れたのは、大小様々な上に姿もバラバラな生き物たちが姿をあらわした。

ただし放たれる魔力と存在感は高貴な雰囲気を漂わせている。

上空を照らしていた眩い光は徐々に消えて、代わりに光に包まれていたモノ達の姿がハッキリとそこにあらわれ

「えっ?!」

「うそ!」

思わずそう声を上げる私とお兄ちゃん。

『なぜお前が?!』

ドラしゃんも一点を見つめて驚きの声をあげる。

私達の目の前に現れたのは、あの不思議な扉の中で眠っていた元卵達。

姿をあらわした彼らは私達の方を見つめながら声をかけてきた。

『ようやくあなた達に逢えた。この日がきたことを嬉しく思う。』

『ずっとあなた達に逢うのを楽しみにしてました。あえて本当に嬉しいです。』

『ようやく時が来た。我々の力も充分満ちた。』

『あなた達が正しい心で成長をしてくれたことに感謝をいいます。』

『それによって、私達の目覚めも早まったのです。本当にありがとう。』

『またこうして姿を保てる事を嬉しく思う。よくやってくれた。』

彼らは一通り私とお兄ちゃんに御礼の言葉をのべると、自分達に何が起きてどうして私達の前に現れたかを話しだす。

『我々は長き眠りについていました。ある戦いにてギリギリまで力を使い切ったものでね。』

『眠る事でなんとか命を繋ぎ止めていたのです。しかし、それでも足りなかったのです。我々が目覚めるには。』

『我々はこの世界そのもの。憎しみや恨みが蔓延する中では力を回復するどころか、現状を維持するのも難しい状態でした。』

『しかし、あなた達の存在にて我々は救われました。』

『どこまでも深く、暖かく、広い心。そして、何よりどんな相手に対しても平等で慈しむ心が我々の命を繋ぎ止めるだけにとどまらず、回復まで...。』

『"運命"とは本当にあるものなのだな。
あの戦いに行く前に、我々は悩んだ。
我々の命をかけて救う価値がこの世界にあるのかと。
 しかし、幼き子供を2人連れた親子がこの世界に来て、新たな命の息吹を吹き込む姿が脳裏によぎり我々は決意したのだ。』

『あなた達を信じて良かった。本当にありがとうございます。そして、また"父上"と合わせて貰えて...感謝しか言えません。ありがとう。リン、アキラ。』

目の前には13体の神々しい輝きを放つ"生き物"...と言ったら失礼に当たるよね...。

でもそう言いたくのも無理はない。
今私達の目の前には...

黄金に輝く大きなネズミさん。
銀色に輝く大きなワンちゃん。
緑色に輝く大きなカメさん。
白銀に輝く大きなトラさん。
蒼色に輝く大きなリュウさん。
紅色に輝く大きなトリさん。
虹色に輝く大きなヘビさん。
桃色に輝く大きなウサギさん。
黄色に輝く大きなクマさん。
銀色に輝く大きな角の生えたウマさん。
茶色に輝く大きなイノシシさん。
白銀色に輝く大きなヒツジさん。
そして、ドラしゃんに似た姿をした小さな白いドラゴンさんがそれぞれ上空にいるのだから。

『お久しぶりです。【大聖獣】の皆さん。やはり生きていられたのですね。
あの戦いの後姿を隠されたのでもしやとは思っていたのですが...。ご無事で何よりです。』

ドライアドがそう言って微笑むと他の【大聖霊】や【聖獣】達も嬉しそうな表情をする。

そんな彼らとは反対に、目の前の現実が中々受け入れられずにいた人が1人いた。

『嘘だ...。ありえない...。確かに...この目で...。』

大きく目を見開いて、そうブツブツと呟くドラしゃん。
そんなドラしゃんに、そっと近づく白い小さなドラゴンさん。

私は知っていた。
その白い小さなドラゴンさんがいったい誰なのかを。

私とお兄ちゃんはただじっとしていた。

お兄ちゃんはいきなり大きな生き物が現れたのでじぃーと上空を見つめていてドラしゃんの事まで気が回ってなかったみたいだけどね。

しかし、私は違っていた。
以前から感じていた気配を記憶の奥底で覚えていたのもあったし、こんな突然な出来事に半分慣れてきていたしね。

それよりドラしゃんの事が気になって仕方がなかった。

【大聖獣】と呼ばれる大きな動物達と【大聖霊】や【聖獣】達が話しをしている間も、私の視線はずっとドラしゃんへとむいていた。

『父上。お久しぶりです。こうしてまた父上に会える日をずっと待ってました。』

そう言って小さな白いドラゴンさんは、ドラしゃんの前で飛びながら話しかける。

すると、私達の白の襖がそろっと開いたと思ったら両親といつメンがその場にきていた。
ナイスタイミングなのか、バットタイミングなのかはわからないが...。

皆はちゃんと状況をさっしてか、その場で動かず、言葉を発さずに佇んでいた。

いつもならその事にも気付くドラしゃんなのだが、今は違っていた。

それもそうだろうと思う。

ドラしゃんの前を飛んでいる小さな白いドラゴンは、昔の戦いに巻き込まれて"死んだはずの実の娘"だからだ。

ドラしゃんは震える手をそっと目の前のドラゴンさんへと差し向ける。
小さな白いドラゴンは、差し向けられた手にそっと身を寄せる。

すると...ドラしゃんの目からは次々と涙が溢れていた。

失ったはずの存在(娘)が。
自分の命より大切な存在(娘)が。
今自分の手に触れているのだから。

『あの時、私は一度命を失ったの。でもその命を【大聖獣】様達が救ってくれたのです。
   父上が我を忘れて人間達に攻撃を仕掛けている最中、【大聖獣】様達に亡骸を拾って頂き消えかけていた命の灯火を繋ぎ止めて頂いたのです。
本来ならそのまま生き返るはずだったのですが、父上があまりにも"暴れる"ので私の蘇生を中断して卵の状態で眠らせて貰ったのです。
 父上を止めてから私の蘇生を再開する予定だったのですが、父上の"暴れ"ぷりがあまりにも凄まじかったようで、【大聖獣】様達も力尽きて時期が来るまで、皆で寝っていたんです。
でも、リンとアキラのおかげで無事に蘇生を成し遂げられました。』

そう笑顔で話す小さな白いドラゴンさん。さすが、ドラしゃんの娘...と言ったところだろうか。言葉の端々にトゲが...。
時々ドラしゃんがダメージを受けていたしね。

『本来ならそなた達ドラゴン族を皆生き返らせるつもりだったのだ。』

『だが、どこかの誰かの所業がのう...ちと派手で...。そこまで手が回らなんだ。』

『だが、せめてその子だけでもと思って...。』

『理不尽に踏み躙られる命を全て救えなんですまない。』

そう話す【大聖獣】達。
しかし、誰もその言葉に異議を唱えなかった。
それどころか...。

『いえ。ありがとうございます。大勢の仲間を、家族を失い我を忘れた私が未熟でした。娘だけでも...助けて頂き..かんしゃ...しか..ありません...。』

ドラしゃんは、自分の手で娘の存在をしっかり確かめながら。
そして、涙を流しながら【大聖獣】達に御礼を言う。

『なんの。我々より御礼を言うならこの子たちだ。この子たちの存在がなければ我々も危なかった。』

『我々だけでない。【大聖霊】や【聖獣】たち。そして、この世界そのものが存続が厳しかった。』

『数奇な運命だが、これもまた縁だ。』

『我々の命。そして、この世界を救って頂いた恩は忘れません。』

『本来なら"契約"をと言うのだろうが、我々は他の者たちと違って一つ存在に縛られる事ができないのだ。すまない。』

『だが、"加護"は授ける事は可能です。』

『"加護"を授ける事により、我々と繋がりができます。』

『困った事があれば助けることもできる。』

『我々はこの世界の何処かで存在している。』

『姿は見えなども、そなた達と繋がっておる。』

『そなた達が居れば安心して我々も過ごせる。』

そう言って、【大聖獣】達は私とお兄ちゃんに、"【大聖獣】の加護"と言うものを与えてくれたのだ。

しかも一体につき1つの"加護"をそれぞれにだ。

私とお兄ちゃんにそれぞれ"加護"を与えると、【大聖獣】達は空気に溶け込む様に姿を消していった。

『我々は我々の仕事をしに行く。』

『常に見ていますよ。』

『ありがとう。』

そう言って完全に姿と気配を消したのだった。

「きえちゃったね。」

「そうだね。」

私とお兄ちゃんはそう呟くと、【大聖霊】と【聖獣】達は呆れた顔をして私とお兄ちゃんを見つめくる。

そして、ドラしゃんはと言うとだ。

『お前は行かなくていいのか?』

まだ、目の前にいる娘にそう話しかけていた。

『まぁー!父上。私はあの方達みたいな存在ではないですよ?
あくまでも蘇生をするまで一緒にいさせて頂いただけです。
どこに行けと言うのですか?』

そう言い返す小さな白いドラゴンさん。

まだ状況が掴めていない様子のドラしゃん。
見かねた私とお兄ちゃんは、2人でドラしゃんの側に行き声をかけた。

「ドラしゃん。よかったね。これからおやこですごせるよ!」

「そうだよ!ドラしゃん。いつも言ってるよ。子供は大きくなるまで親元にいないと危ないんですって!だったら側にいないとダメだよ!」

私とお兄ちゃんの言葉に驚くドラしゃん。

そして、ここぞとばかりに今まで空気となっていた人達が、ドラしゃんに話かけて来たのだ。

「そうよ!ドラしゃん。親子なら一緒にいないと!」

「そうそう。子供なんてあっという間に大きくなるんだよ。今まで側に居られなかったぶん、大事にしないと。」

「良かったじゃねぇーか!フレア!」

「娘だけでも生きていてくれて良かったなぁー!!」

「本当だね。これからは、娘さんとゆっくり過ごしたらいいよ。」

「旦那ぁー。よかったじゃないですか!後のことは、我々に任せて大丈夫でっせ!」

「そうだ!いい事言うなぁー!モッケロン!お前に休暇を与える!
娘と旅にでも行ってろ!こっちのことは気にするな!」

「そうだな。移住だけだから、どうにかなるしな。そうだ。そうしろ!」

いつメンはそう言って半ば無理矢理にドラしゃんに休みを取らせようとしていた。

私やお兄ちゃんとしても、せっかく再会できた娘さんと親子水入らずで過ごして欲しい気持ち半分と、ドラしゃんのいない状況下で色々してみたい事があるので、それをしたい気持ち半分だった。

それを見抜いたのか...見抜かれたのかはわからないが...先程まで流していた涙はどこへ行ったのやら。

平然としたいつものドラしゃんから返ってきたの返事は"ノー"だった。

『大丈夫です。ご心配なく。娘とはこれからいくらでも一緒に過ごしますよ。でも、別に皆さんと一緒でも問題はないです。
それどころか、皆さんのことをこの子に紹介しなくてはいけないしね。
せっかく再会できたのです。時間は十分あります。お気遣い無用です。』

と、満面の笑顔で返されたのだった。

ですよねぇー...。と、その場に居た皆の心の声は、その言葉で一つとなった。

こうして突然の出逢いと別れ。
再会も果たして、新しい仲間と能力を授かりますますこの国は豊かに発展していくのだった。

滅びたと思われていた【大聖獣】も全て復活して、より一層世界中に潤いと恵みがもたらされていく。

【大聖獣】の復活に関しては、瞬く間に世界中に話が広まった。

国中で歓喜の声が上がったのは言うまでもない。
枯れ果てた大地にも緑が芽吹き、腐った水も命ある水に。

少しずつだが、世界が命の息吹を吹き返していっていたのだ。

今日の出来事は、のちの時代にももちろん受け継がれていくのだが、それはまた別の話になるかな。

ドラしゃんの娘という新しい仲間を迎え入れて、私達も新たなチャレンジへ向かう事に。

出だしは、北側の街の移住からだ。

街に両親を残して、ムキじぃーちゃんとドムじぃーちゃん、ドラしゃんとその娘。

そして、北側の街へ移住する人達と私とお兄ちゃんで移住を行う事に。

もちろん【聖獣】や【大聖霊】達も一緒だ。

中央の街に残る人達。
他の街へと移住する人達との別れを告げて、新しい生活を夢見て第一歩を踏み出したのだ。

行きしは通常の運行で。
長い道のりで、もちろん野宿もした。

しかし、道中は楽しかった。
景色を楽しみ、新たな発見をしたり...もちろん騒動も起こしたりと...。

ただではすまないのが、私達の旅だった。

なんとか北側の街に皆でたどりつき、街の案内と建物説明をすると...皆は驚いてしばらく固まっていた。

普通の感覚していたら、正しい反応なんでしょうね。
目の前には広がる景色は、それそれは見たこともない景色だったはず。

建物もそうだし、街並みもそうだし...。
何より安全面がかなりしっかりしているからだ。

案の定、私とお兄ちゃんの姿を認識するまで街に張られた結界は街の人達を敵と認識して攻撃を仕掛けようとしたのだった。

私とお兄ちゃんの存在を感知し、味方である。守るべき対象である事を認識して、ようやく普通の結界となった。

『一度認識すれば問題はないでしょう。全ての街に張られている結界ですから。そこに住人が移り住み認識されれば、街同士の人間が行き来しても問題はないでしょう。
問題があるとすれば...。』

「新しく迎える住人か...。」

『そうですね。それをどうするかですね。全て迎え入れる様にするのは簡単なのでしょう。
しかし、それをすれば敵意を持つ人間が紛れ込んだ時が困ります。』

「かと言って、毎回リンやアキラに出向くのは無理だぞ?こいつらは1人ずつしかいないからなぁー。」

『わかってますよ!そんな事。しかし、どうしたものですかねぇー。』

と悩みだす、ドラしゃんとムキじぃーちゃん。

その間にドムじぃーちゃん一人で街の人達の相手をしていた。

といっても、しっかり意識を取り戻した皆の相手はしよいものだった。
それぞれ住む家を決めて荷物の整理をし出していた。

私とお兄ちゃんは2人で話し合って、こっそり結界の側に。

そして。

「あのね、わたしたちやまちのひとたに、わるいことするひとがきたら、メッてしてね。」

「入れなくする様にして欲しいです。あと、悪い魔物や災害が来たら全力で守ってください。」

そう言って結界に手をかざしてお願いをする。

すると...結界のベールの色が光り輝いて、色が少し変わったではないか?!!

『凄い!2人ともさすがね。もう大丈夫よ。結界が、2人の考えを聞き取ってくれたみたいよ。』

ドラしゃんの娘がそう言って私とお兄ちゃんの元へ飛んできた。

こうして、またやらかした私とお兄ちゃん。

異変に気付いたドラしゃんとムキじぃーちゃんに小言を言われるのは...ね。

こうして、結界問題も解決して街の人達の移住も完了した。
あとは、街の人達にお任せとなる。

私達は次の移住の為に中央の街へとすぐさま戻る事に。

こんな感じで、残り3つの街の移住を順に終わらせて行った。

結局の所、中央の街に残ったのは...。
私達家族と、ドラしゃん親子。
ムキじぃーちゃんにドムじぃーちゃん。
ラミィーお兄ちゃんにモッケしゃん。
ルミばぁーちゃんにロドじぃーちゃん。

そして、ルミばぁーちゃんが呼んだギルドの職員さん達とモッケしゃんが救ってきた村や街の人達。

あと、ラディじぃーちゃんとカシムじぃーちゃん夫婦と兵士の皆さんとムキじぃーちゃんの知り合いの冒険者達だけどなった。

ほぼ初期メンバーに近い人数となった。

少し寂しい感じにはなったが、それぞれ皆各街で頑張ってくれているしね。

私達もそれに見合う様に頑張る事にした。

こうして小さな村みたいな状況から気付けば国となっていった私達の住んでいた場所。

沢山の出会いと別れを繰り返して、時々トラブルもあったけど乗り越えてきた。

これからも私達はそうやってこの世界で過ごしていくのだ。










リン:
ようやく国としての基盤が
完成したね^ ^

アキラ:
これからも頑張らないとね^ ^

リン:
ドラしゃんは、娘と再会できて良かったね♪

ドラしゃん:
これも全てお嬢様達のおかげです。
ありがとうございます。

リン:
私は何もしてないよ。



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