異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第二章 歩み〜生活基盤を整えましょう〜

2-8 家庭菜園をつくろう

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 鍛冶場and鍛治工房に施されたドラしゃん特性の防犯システムの話によって凍った空気が漂う中、私はお母さんの腕の中から質問してみた。

「ちゅぎは、なにしゅるの?」

私のこの質問により凍った空気は少し弛まり

『次は確か旦那様がしたいと言っていた"家庭菜園"と言うものをお作りできたらと思ってます。もちろんそれ以外でも大丈夫ですよ。
ラミィーとモッケロンを待っていたのですから彼らにも役立てる機会を与える必要がありますからね。』

そう話すドラしゃんの言葉にラミィお兄ちゃんとモッケしゃんは必死に頷く。
そしてラミィお兄ちゃんがお父さんに一つ質問を投げかける。

「すみません。"家庭菜園"とはいったいどんなものなんですか?教えて頂けたらたすかります。」

ラミィお兄ちゃんの質問にお父さんは地面に絵を描きながら説明していく。

「家庭菜園はですね...ちょっと待ってくださいよ。こんな風に...家の庭でこじんまりと畑を作くる感じです。そこに、家族が食べる分だけ野菜を育てるんです。それをここでも出来たらと思いまして。」

お父さんの話を聞いてラミィお兄ちゃんは何か考え事をしだす。
その間に今度はモッケしゃんが質問をする。

「農業をしはるんですか?それなら...もっと規模は大きい方がえんちゃいます?」

モッケしゃんの言葉に今度はお父さんが悩み出す。

以前の家では、私達家族4人だったので小さめの畑で自分達が食べる分だけのお野菜を育てるので良かった。

しかし...この世界に来て一気に大所帯になってきたので、"家庭菜園では小さいよなぁー"と悩み出したよう。
すると...先程まで首を傾げながら考え事をしていたラミィお兄ちゃんがお父さんに確認をしだす。

「家庭菜園の規模は小さくないとダメでしょうか?
 この世界では小規模の畑で作った作物は出荷できないのです。
というか、出荷して利益を得るにはかなりの量が必要となるんですよ。
作った作物で収入を得るのであれば中規模の畑を作る事をお勧めします。
それなら、作物も出荷対応となりますし、出来栄えしだいでは今後の貴重な収入源となりますから。」

その話を聞いてお父さんとお母さんは迷わず返事をかえす。

「中規模の畑がどの程度の大きさかわかりませんが、少しでも収入源になるならそれでお願いします。」

「家族皆で頑張ればなんとかなりそう。この世界では魔法も使えるしね!」

前向きに考えて返答するお父さんとお母さん。2人の言葉を聞いてラミィお兄ちゃんは"わかりました"と笑顔で返事をかえす。

それと同時にドラしゃんにも確認をする。

「中規模サイズの畑を作るには水脈が近い所がいいのですが...この敷地内だとどの辺りになりますか?
あと、陽当たりも良く影も出来やすい場所がいいです。」

ラミィお兄ちゃんの話を聞いたドラしゃんは、数カ所思い当たる場所を答えていく。

『そうですね...それらの条件にあてはる場所は幾つかありますね。まず、1箇所は旦那様達の住む屋敷の裏です。あとは、御風呂場の裏手と結界の範囲を広げてなら、"ラミネの森"の近くなら場所的にはいいでしょう。』

ドラしゃんが話す場所を思い返していくと...確かに私達の家の裏はスペースも広く少し離れた所に小川が流れていたように思える。
御風呂場の裏手も周りに木々があるので、影も出来やすい環境なのも間違いない。

しかし、最後の"ラミネの森"が分からなかった。
ドラしゃんにその"ラミネの森"がどこなのか確認すると...どうやらラミィお兄ちゃんが管轄する森の1つで、自然豊かな森とのこと。
ただ、そこにはハーフエルフが中心に住んでいるため、他の種族が近寄るのは危険のためお勧めしないと言われた。

『あそこに住むハーフエルフは、他のハーフエルフより神経質で面倒くさい奴らが多いのです。ですからあまり関わりを持ちたくないのですし、関わらなくていいです。』

そのドラしゃんの言葉は本音九割、事実一割といった感じのようで、ルミばぁーちゃんやラミィお兄ちゃん達に確認しても似た様な答えが返ってきたのでそうなのだろう。

『特に、お嬢様達が小さい内はあまり関わりを持たない方が良いかと。』

ドラしゃんもルミばぁーちゃん達も心配そうにするので、気にはなるが今回は家の裏手に家庭菜園を作る事に決めた。

場所も決まったので、皆で家の裏へ向かうことに。
地面に倒れ込んでいたムキじぃーちゃんとロドじぃーちゃんもいつのまにか復活。

ぼろぼろのモッケしゃんは、ムキじぃーちゃんに背負われて移動する事になりちゃんとムキじぃーちゃんの背中におんぶされていた。

(足なんか、産まれたてのバンビみたいだったのよね。ドラしゃん、一体何をしたのやら)

 鍛冶場から家へてこてこと向かい、ようやく家の裏手に着くと、ラミィお兄ちゃんは地面にしゃがみ込み手を当てて何かをしだす。
他の人達はそれをただじっーと見守るだけで特に何かを言う訳でもない。

あまりにも不思議な光景だったので、私達はドラしゃんに確認してみることにした。

「ドラしゃん。ラミィお兄ちゃん、なにしてるゅの?」

私の質問にドラしゃんはもちろん笑顔で答える。

『ラミィーは、エルフです。しかもハイエルフなので、自然に関することに対しては彼の右にでるものはいません。
今、ラミィーは土が畑に向いているのかを探っているのです。
 畑に向いていない場合は、魔法を使って土壌を改善しないといけませんからね。』

ドラしゃんの説明を聞いてお父さんとお母さんは納得したようだけど、私とお兄ちゃんはいまいち内容が理解できなかったが...ラミィお兄ちゃんが凄いことだけは伝わった。

全員が見守る中、ラミィお兄ちゃんは土地というか土壌の確認をしていく。
お父さん達が魔法を使って野菜を作っても規格外の物が出来ないかもちゃんと確認をしていた。
確認をしたところで無駄だと分かっていてもだ...。

確認の結果。ここの土地はとんでもなかったようで、ラミィお兄ちゃんはかなり困惑している様子。

ドラしゃんの加護と神様の加護が働いている上に、以前来た異世界人が住んでた場所って言うのもあり、土壌状態がこの世界で一番...というか評価のしようがないぐらい完璧な土壌をしていたのだ。

そのため、確認結果としてでたのが..."何を作っても、素晴らしいものができます。しかもその品質は神級クラス。ものによったら特別なことが起こるかも!!"となったらしい。

ラミィお兄ちゃんが急に涙を流しながら地面に伏した為、お父さんとお母さんは慌ててラミィお兄ちゃんに駆け寄る。

しかし...ドラしゃん達は違っていた。
ドラしゃんもムキじぃーちゃんもロドじぃーちゃんもルミばぁーちゃんもドムじぃーちゃんすらも顔色を失い、それぞれ天を仰いだり頭を抱え出したり、深いため息を吐くなどしているではないか。
内心全員...終わったな...とおもっていたそうだ。

「どうしました?もしかして...家庭菜園をするには不向きですか?」

お父さんとお母さんはこのラミィお兄ちゃんの状況を上手く理解できていないため、純粋に心配して側でオロオロしている。
それに気づいたラミィお兄ちゃんは、急いで涙を拭き笑顔で

「大丈夫です。少し、ドラしゃん達と相談して来ますのでお待ち下さい。」

と言ってお父さん達から離れた場所で集合をかけて話し合いが速やかに行われた。
ラミィお兄ちゃんの号令で、ドラしゃん、ルミばぁーちゃん、モッケしゃんが集められロドじぃーちゃん、ムキじぃーちゃん、ドムじぃーちゃんは、"話を聞いても意味が分からん"との事で私達と話し合いが終わるのを待つ事に。

「...一応聞いておくわね。どうしたんだいラミィー?」

ルミばぁーちゃんが絶望感漂わせる表情をしながらラミィお兄ちゃんに声をかける。
ルミばぁーちゃんの声に腹を括ったラミィお兄ちゃんが話をはじめる。

「...土壌状態は...この上となくとても素晴らしいものですよ。本当に。どんな質の悪い種を植えても最上級の物がゴロゴロできるでしょう。畑にするにはいい場所です。いい場所すぎるんですよ!!なんなんですか?!!ここだけではないです!この家を中心に半径一キロ圏内上質な土壌に変化してますよ!!
こんな所で育ったものをおいそれとは売れません!!トラブルの元になります!確実に!!」

暗い表情から必死にどうにかしてくれと訴える表情に変わるラミィお兄ちゃん。
ラミィお兄ちゃんの話を聞いて"やっぱりかぁ..."という空気が漂う。
本当に嫌な予感ってよく当たる。

ドラしゃん以外の人は驚きのあまり頭を抱え項垂れ出す。

「下手をしたら...いいえ確実に国宝級のモノが育ちますよ。どうします?」

ラミィお兄ちゃんは縋るように3人に問いかけるがルミばぁーちゃんもモッケしゃんも返答ができずにいた。
"そんなもん、無理だろう"って言うのが正直な気持ちだからだ。

そうなると...自然と3人の視線はドラしゃんに向けられていく。
ドラしゃんは3人の視線を受けても平然としており、"何をそんなに悩む必要があるのか?"と言いたげなようす。

そして...平然と

『気にする必要はないでしょう。この際、好きにさせるのが良いかと思いますよ。使った作物は最初のうちは私達で消費をしましょう。
 作物のできを見て然るべき場所に報告して対応すればいいのでは?
"奴"と関わるのは面倒くさいですが"腐っても"って言うものですからね。
それまではなるべく魔法を使わず作業に取り組んでもらうしかないでしょう。』

その言葉に3人は溜息をつくしかなかった。
どういってもそれ以外の方法は今現在ないのですから...。

「...では、その方向でいきましょう。
とりあえず、最初の"印"は私がします。そして...1日だけ様子を見てから本格的な作業にとりかかってもらいましよう。」

ラミィお兄ちゃんの提案に3人とも頷き話し合いは終わる。

話し合いが終わりラミィお兄ちゃん達は、私達の方に戻ってくるとお父さんに話し合いの結果を伝えた。

「野菜を育てる土地としては申し分ないものです。ただ、"良すぎる"のでユウダイさん達は魔法を使用せずに作業する事をお勧めします。
大変ですが大きなドラブルを避けるためにはその方がいいです。
 本日、作物を作れるように土壌を整備しますので、本格的な作業は明日から取り掛かりましよう。」

ラミィお兄ちゃんの言葉にお父さんはほっとした表情を浮かべてお願いしますとラミィお兄ちゃんに頭を下げる。
しかし、腑に落ちない事があったので聞いてみた。

「畑は農具を使って自分達の手で一から畑を耕すものですよね?
そのつもりでいたので別に大変ではないです。
あのう?魔法使って耕す事ができたんですね?」

お父さんの疑問にラミィお兄ちゃん達は逆に驚く。魔法を使って耕す方が楽なのに自分達の手で耕す気でいたからだ。

(元々、魔法のない世界の人間ですから私達にはそれが普通なのにね。)

ラミィお兄ちゃんは微笑しながらお父さんに話をする。

「魔法を使って耕す方がこの世界では普通ですね。そのための魔法もありますから。
ここは、ユウダイさん達の土地ですから好きなようにして下さって問題ないです。」

それを聞いて、"なら自分達の手でやります"とお父さんは返事をする。

『では話はまとまりましたか?まず明日は必要な道具を本日作った工房で作成してから作業に取り掛かりましょう。』

とドラしゃんが助言する。
ドラしゃんの言葉に全員が賛同したので明日の段取りが決まった。

とりあえずラミィお兄ちゃんが畑にする部分の土地に"印"をつけるので、その間私達は少し離れた場所で待機することに。

なぜ印をつけるのかと質問したら、"印"をつける事により一晩かけてゆっくり畑用の土壌にしていくという。
印がなくても問題はないのだが、印がある方が耕しやすく、水捌けの良い土壌になるとラミィお兄ちゃんが教えてくれた。

説明を一通り終わらすとラミィお兄ちゃんは、畑にする場所に印を付ける作業に取り掛かる。

時間が余ってしまいどうするか、悩んでいたらルミばぁーちゃんがある提案をしてくれた。

「今日はまだ時間があるんだよね?ならユイカ!あんたも私と一緒に専用の工房を作ってみないかい?あんたも色々できるんだろう?あんたにあった働く場所を作ろうじゃないかい!」

ルミばぁーちゃんはそう言うとお母さんの返事を聞く前に決めて、お母さんを連れて工房を作りにいくことにした。

そして、その場に私とお兄ちゃん。お父さんとドムじぃーちゃん、ラミィお兄ちゃんを残し、お母さんはルミばぁーちゃんに連れられて工房を作れそうな場所に向かう。

残された私達はラミィお兄ちゃんの印付けの作業が終わるのをひたすら待った。
しかし退屈しだした私はお父さんにあるお願いをしてみることに。

「パーパ、リンね。カンカンしてるゅのみたい。」

私はお父さんが工房で道具を作る姿を見てみたくなったのだ。
私の言葉にお兄ちゃんも賛同してくれて同じようにお願いする。

「お父さん、僕も見てみたいです。」

私とお兄ちゃんの言葉にお父さんとドムじぃーちゃんは困惑しつつも慌てだす。
そんな中でラミィお兄ちゃんは作業を終えていた。

「こちらの作業は無事に終わりましたよ。明日の為に簡単な道具を作ってみるのもありですね。」

ラミィお兄ちゃんはそう言いながらお父さん達の側に歩み寄る。

お父さんとドムじぃーちゃんはとりあえずドラしゃんを見る。
まぁー、見るだけ無駄だった。
ドラしゃんが私達の意見を反対する筈がないのだから。

案の定、ドラしゃんは私とお兄ちゃんの味方のため商品にしないのなら問題ないと作業する許可をだす。

ということは...有無も言わさずに私達は今日作った工房に向かい農作業に必要な工具を数個作りに行く事に。
歩いて行こうとしてらドラしゃんが引き止めた。
時間短縮の為に今回はドラしゃんの魔法で工房まで移動することに。

歩かなくてもいいならと、ドラしゃんの魔法で工房の鍛冶場に移動した私達。
瞬きをし終えるかぐらいの速さで鍛冶場に着いた。

鍛冶場に着くと私とお兄ちゃんはドラしゃんとラミィお兄ちゃんに預けられ、お父さんとドムじぃーちゃんが作業を始める。
道具に使う鉱石はドムじぃーちゃんのストックから借りる事に。

ドムじぃーちゃんは腰に付けてる鞄から、少し大きめの石を3つ取り出したかとおもったら、それらを目の前にある3つの炉に入れる。

「今取り出したのは、炉の火種となる魔石だ。あれに、この炉を使う人の魔力を流すと、その人のみがこの炉を使う事が出来る様になる。
 今回は、俺からの祝いで炉の火種の魔石をくれてやる。
魔石の寿命は大体5年だ。5年後は自分で用意しろよ。そんじゃー、一緒に魔石に魔力を流すぞ。」

お父さんにそう説明するとドムじぃーちゃんはお父さんを炉の前に呼び、魔力の流し方の説明をして一緒に魔力を流し出す。

お父さん達が魔力を流すと魔石が光って炉の中で少しずつ溶け出し炉に火が灯っていく。

「これで、今日から俺とユウダイ専用の炉になったぞ。これから沢山一緒に作って行くぞ!」

ドムじぃーちゃんは笑顔でお父さんに話するとお父さんはドムじぃーちゃんの言葉に嬉しそうに返事をする。

炉に灯った火はとてと神秘的な光を放っている。
そして部屋全体を暖かい光と熱が覆っていく。

「この世界では、イメージしながら魔力を流し道具を作るんだ。まずは俺が手本を見せてやる。」

ドムじぃーちゃんが作業に必要な道具も腰の鞄から取り出し鉱石の加工を開始する。

やり方はどことなく日本と同じやり方のようだが、お父さんはそこまで鍛冶には詳しくないので真剣な表情でドムじぃーちゃんの作業を見つめている。
道具に必要な量の鉱石を専用の容器に入れて炉に入れて溶かしていく。
鉱石が溶けたら不純物をはぶき作る道具の型に流し入れて形を整えて行く。
簡単そうに見えてかなり難しい作業だ。

炉に入れる時間、流す魔力の強さや量によって作る物の品質や寿命が変わっていくからだ。

ドムじぃーちゃんは真剣な顔付きで作業しながら

「この道具も一式お前さんにやるよ。俺の使い古しだけど、まだまだ現役で使える奴だ。
 これで、練習して慣れてきてらお前さん専用の道具を揃えたらいいぞ。
俺はいくつも道具を持っているから心配するな。
 気になるならお前さんが一人前になった時に、俺になんか道具を作ってくれ。それでいいぞ。」

ドムじぃーちゃんは道具を作りながらお父さんに話するとお父さんは感激の涙を流しながらお礼をいう。

「ありがとうございます。いつか、ドムじぃーちゃんに素敵な道具を作ってプレゼントします。」

お父さんの言葉にドムじぃーちゃんは、豪快に笑って"気長に待つぞ"という。

ドムじぃーちゃんは手慣れた様子であっという間に一本の"クワ"を作り出した。
本体は魔法で省略で作成したが素晴らしいものが出来上がった。

「どうでい。こんなもんさ。
つぎは、お前さんが作ってみろ。」

ドムじぃーちゃんは自分が作ったクワを見せてお父さんにも作るように勧める。
お父さんはドムじぃーちゃんから作ったクワを借りて自分の手で確かめていく。

ドムじぃーちゃんの作ったクワはとても手に馴染んできて尚且つ軽い。
長時間使用しても腕や腰に負担がかからないように作られていた。

一通りクワの見聞が終わるとお父さんはドムじぃーちゃんにクワを返して鉱石をもらい作業にとりかった。

それを見ていたドラしゃんは何かを思い付いたようで、私をラミィお兄ちゃんに預けて、"少し席を離れます。直ぐに戻ります"と言ってその場から姿を消した。

外野のことなんか全く気に留めることもなくお父さんは、ドムじぃーちゃんに指導してもらいながらクワを作り出した。

「もう少し、魔力をながせ!そうだ。遠慮してると形が崩れるぞ!
イメージを固めろ。自分が作る道具を鮮明にイメージするんだ。型に流す時も、イメージするんだぞ!仕上がりが違うからなぁー。
そこは、魔力は抑え気味に流すんだ。
上手いじゃねぇ~か。」

ドムじぃーちゃんはとても楽しそうな表情を浮かべつつも真剣にお父さんに指導する。
お父さんもドムじぃーちゃんの言葉に、"はい"と返事を返すのみで真剣に作業に打ち込んでいる。
その時のお父さんは別人に見えた。

「パーパ、かっくいいね。」

私はお兄ちゃんとラミィお兄ちゃんにお父さんの姿を見ながら感想を伝えると優しく頭を撫でてくれた。
お兄ちゃんも私と同じ気持ちだったようで満面の笑顔を浮かべる。

もう少しで完成するという頃にドラしゃんが戻ってきてラミィお兄ちゃんから私を取り返す。

ラミィお兄ちゃんがドラしゃんに何か言おうとした時だった。

「できたぁー!」

と言うお父さんの声が鍛冶場に響く。

お父さんの方を見るとドムじぃーちゃんが作ったクワより輝きがかなり違うクワが出来上がっているではないか。












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