異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第二章 歩み〜生活基盤を整えましょう〜

2-4 ユーダイ(父)とユイカ(母)の決意

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 私達家族が眠ったあとに色々あったようだが...無事に一夜が明ける。
私達家族はいつものようにドラしゃんとムキじぃーちゃんの2人と一緒に朝御飯の準備をして食べる。

 朝食後のお茶をそれぞれ用意してゆったり寛いでいる時だった。
お父さんとお母さんは少し悩みながらも真剣な表情でドラしゃんとムキじぃーちゃんに話しかける。

「ドラしゃん、ムキじぃーちゃん。
お願いしたい事があるんですが...いいでしょうか?」

いきなりのことで2人は多少なりとも驚いたようだが、私とお兄ちゃんの相手をしながら"ええ。どうぞ。"と返事を返す。

2人に承諾の返事を貰えたのもあり

「昨晩...家に戻ってから母さんと2人で寝る前に話し合ったんですが...。」 

と言いながらお父さんとお母さんはゆっくり話しだす。

「今日の今日まで見知らぬ私達の家族のために皆さん...色々と手を差し伸べてくれて...本当に感謝してます。
この世界について何も知らないわけですし...以前の世界とは色々と違う面が多すぎて、これからもご迷惑をおかけすると思っています。でも...。」

「でも、私達はずっと甘えてばかりではいけないのではっと思ってもいるんです。ちゃんと親子4人で生活していかないといけないよね...ってお父さんと話をしたんです。」

お父さんとお母さんはいつになく真剣な表情でなんか...怖かったし、2人を見ているとどことなく不安になってきた。

そんな私とお兄ちゃんの気持ちを察してか、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも落ち着かせるようにあやしてくれながらもきちんとお父さん達に向き合う。

私とお兄ちゃんは静かにドラしゃん達の腕の中で事の成り行きを見守る。

「私達は皆さんから見たらまだまだ若造で世間知らずだと思います。
実際にこちらの世界のことについては知らないことばかりですから。
しかしそんな私達でもリンとアキラの親なんです。いつまでも守ってもらえるような子供ではないんです。」

お父さんがドラしゃん達を見つめながら言うとお母さんが頷きながらも続きを話し出しす。

「この世界に来て魔法が使えるなんて夢の様なできごとで、恥ずかしながら2人して舞い上がっていたの。
でも...よくよく考えると私達らしくないねって。」

お母さんは少し顔を赤らめつつも話をする。
ドラしゃんとムキじぃーちゃんは、特に茶化す事もなく真剣に話を聞いている。

「私は前の世界では建築関係の仕事をしていました。自分で家族を養えるだけの収入を得ていました。まぁー...華やかな生活を送れるほどではありませんでしたが、それでも家族4人楽しく生活はできていました。
ちゃんと地に足をつけて生活していました。
しかし...この世界に来てからは何か少し違うなって思っていたんです。
 まぁー、世界が違うので前の世界での生活と全く同じ生活ができるとは思ってはいませんが..それでも...何か違うんです。」

お父さんは自分の中の気持ちを一つ一つ整理しながら話していく。
私とお兄ちゃんは何を言っているのかさっぱり分からなかったけど、ドラしゃんとムキじぃーちゃんには伝わっているぽい感じ。

そんなお父さんの言葉にお母さんは

「誤解しないでね。けして...この世界での生活が嫌な訳ではないのよ?
 それどころがなんでもっと早くからこの世界に来れなかったんだろうって思うぐらいこの世界は大好きよ。でもね...不安なの...。」

そういって顔を少し曇らせる。
その様子を見てドラしゃんは静かに声をかけた。

『大丈夫ですか?何が不安なのか教えて頂けますか?』

ドラしゃんの質問にお父さんとお母さんはお互いの顔を見合わせ、覚悟を決めてドラしゃんに返事をする。

「地に足がついていない様で落ち着かないんです。まだまだこの世界で自分達が何ができるか分からないのも確かです。
でも...このまま皆さんに甘えてばかりではいけないと思うんです。」

「手探りでもいいんです。一からこの世界で私達が自分達の力で出来ることを見つけたいんです。」

それは偽りのない2人の気持ちであった。

ドラしゃんやムキじぃーちゃん達からしたら私やお兄ちゃんはともかく、お父さんあ母さん世代もまだまだ"親"の助けが必要な年齢の範囲内なのでついつい"過保護"にしていたのは内心思っていたみたい。

それに右も左もわからない異世界に連れてこられて最初の頃は本当に不安で、ドラしゃんやムキじぃーちゃんの助けがあってお父さん達はどんなに心強く感じていたか。
だからこそ今回相当悩んだみたい。

でも...お父さんお母さんは互いに協力し合って今まで生きてきた人達だからその"過保護さ"がむず痒く感じていて落ち着かないのも本心なのだ。

「私達は前の世界での経験と記憶がはっきり残っています。それを生かしてこの世界でも出来ることを見つけたいんです。
 自分達が、"日本人"っていうのを忘れたくないんです。それに...。」

「それにリンとアキラはこれからこの世界で大きくなって行きます。
その時せめて少しでも前の世界の物を残してあげたいんです。
 そして私達が"いなくなった"後でも助けとなるものや思い出せる物を残してあげたいんです。それは私達親でないと出来ないことだと思うんです。」

ドラしゃんとムキじぃーちゃんはお父さん達の意外な発言に普通に驚く。
この世界に来て特に愚痴や悩みを抱えている素振りを殆ど見せなかったお父さん達。

それは私とお兄ちゃんを不安にさせない為なのもあったが、お父さん達も前の世界とこの世界の違いに馴染むのに必死だったのだ。

「私達はこの世界で貰っら力は...。力は今後は最小限しか使わない様にするつもりです。
勇者や冒険者に憧れを抱かないわけではないです。でも、元々根っからの庶民ですから煌びやかな生活は自分達らしくないと思うんです。」

「私達だけだったらきっと冒険者とかになってたと思うんです。昔からの憧れみたいなものもあるし、"ゲーマー"なら絶対にやっておきたい職業ですからね。
でも私達には自分達の手で守って、育てないといけない宝があるんです。だから今はそれを優先していきたいと思うんです。」

そう言うとお父さんと、お母さんは私達の方を見る。
その顔はいつも通りの両親の優しい表情が浮かんでいた。

「私達が憧れた夢は未来ある2人に託そうと思います。って、かっこ付けてますが普通の生活して来た自分らには"魔法を使って魔物退治"なんて向かないので。
だから前線に立つより後方支援的な立場でいる方が性に合ってるんです。」

「畑仕事したり、裁縫したりする方が本当におちつくんですよ。
子供達に美味しい料理を提供したり、側で成長を楽しむのが1番落ち着くんですよね。」

苦笑いしながらもそう話すお父さん達はとても生き生きとした表情をしている。
最初のあの不安げな様子は微塵も感じられないほどに。

「もちろん、訓練が必要な事はします。自分の身を守れないんでは大事な家族も守れないので。」

「必要なら私達もいつかは子供達とこの世界を冒険してもいいわ。でもそれは"今"ではないと思うの。今はこの世界でこの子達が少しでも、馴染んで生活出来る様に。
私達が自信持って生活をできる様にするのが先だと思ったんです。」

そんな2人を見て、話を聞いてドラしゃんとムキじぃーちゃんは質問をする。

「2人の気持ちは分かった。分かったが...それだけか?ワシらにできることはないのか?」

『私達に、何のお願いがありますか?
私達は何をしたらよろしいでしょうか?』

お父さんとお母さんは2人同時に答える。

「「この世界で私達に出来る仕事を教えて下さい。そしてやらせて下さい。」」

その言葉を発し終えた瞬間だった。
この場には居なかったはずの人達の声が後方から聞こえてきたのだ。

「思ってた以上にしっかり自分達の事が分かってるじゃないかぁー。気に入った!協力するぞ!」

「とんだ馬鹿親だったら見限るところだったが、若いのにしっかりてるじゃないかい。私も協力してやろうじゃないかい。」

「いやいや、若いのに立派。若い頃のムキファーよりしっかりしてるじゃねーかぁ。その心意気いいねぇー。気に入った!俺も協力するぜ。」

ロドじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん、ドムじぃーちゃんが、玄関とリビングのドアを開けて...というか外して立っていたのだ。

お父さんとお母さんはびっくりして、私とお兄ちゃんはキョトンと。
ドラしゃんとムキじぃーちゃんは額に青筋を立てていた。

「えっ?い、いつのまに?あっ、おはようございますぅ。」

「えっ?えっ?あっ、おはようございます。」

お父さんとお母さんはそれぞれに挨拶をするが、ドラしゃんは何処から取り出したのかお盆を3人に向けて投げつける。

(もちろん、ルミばぁーちゃんがロドじぃーちゃんとドムじぃーちゃんを縦にして回避したから、ルミばぁーちゃんは無傷。)

どうやら3人は各家で朝食を食べ終え本日の予定を確認する為に我が家に訪れていた。
玄関のチャイムを鳴らそうと思ったが話し声が聞こえてきたので、あえてチャイムは鳴らさずに玄関のドアを開けて(外して)リビングの扉の外側で聞き耳を立てて待機していたのだった。

ドラしゃんが完全にキレる前にロドじぃーちゃんとドムじぃーちゃんで壊した玄関の扉とリビングの扉を直してくれた。

その後改めて皆んなで話し合いをすることになったのだが...ほぼ結論は出ていたので話は早かった。

『結論から申しますと。旦那様、奥様ができる仕事はございます。
そして、今後の皆様の事を考えて私達も話し合っていたんですが....どうやら御二人に先を越されてしまいましたね。』

ドラしゃんは私を抱っこしたまま苦笑いで答える。
ドラしゃんの横で座っているムキじぃーちゃんもお兄ちゃんを抱っこしたままお父さん達に話しかける。

「お前さん達の力は正直な所なワシ以上なんだわ。いやー今まで、この世界に来た転移者・転生者の中ではきっと群を抜いて桁外れだ。もちろん良い意味でだ。
やろうと思えばお前さん達は、この世界を牛耳る事ができるんだぜ。でもよ、御人好しのお前さん達はそんな事は全く考えていないし、するつもりもないだろう?だから俺達はあんたら家族が大好きなんだ。」

と笑顔で語る。

「しっかしよ?このままではお前さん達を他の奴らと交流さすのは無理なんじゃよ。完全に浮いちまうからなぁー。」

とドムじぃーちゃんが。

「そこで俺達の出番だなぁ。この家を中心に小さな村か町を作ろうと思ってんだ。
俺たちの知り合いを少しずつここに呼び寄せて作る予定だ。もちろんあんたら一家でも出来ることをしながらな。」

とロドじぃーちゃんが。

「呼び寄せた奴らがここに住みたいなら住居を別に構えてやりゃーいいのさ。
そしてそいつらを使ってあんたらと他の住人と交流を測って行こうと考えている。
 気の長い話にはなるとは思うけど、何事もコツコツといくんだよ。
そうすればこの子達がある程度大きくなる迄にはなんとかなるさぁ。この私らが付いてんるだ。できないことはないし、できないとは言わせないよ。」

とルミばぁーちゃんが。

『とりあえず一つずつこなしていきましょう。旦那様の方から何かしたい事ございますか?』

とドラしゃんがお父さんに確認をする。

「あのう、"家庭菜園"をしたいです。あとは、建築関係か物作りをしたいです。
ゆくゆくは農業を本格的にして出荷とかができたらと思っています。」

とお父さんは謙虚に話をする。
これなら前の世界と大幅に見当違いの事にはならないだろうと思ったし、自分にそれなりの知識と経験がある方がドラしゃん達の負担を減らせるとも思ったからだ。

ドラしゃんは少し悩みながらも

『それでしたら、ラミィーとモッケロンが、適任でしょう。それと、...。』

「俺だなぁ。」

とドムじぃーちゃんが答える。
なぜ?と思うでしょう?
ドムじぃーちゃんの職業を思い出して下さい。

「俺は大工でもあるが元々は鍛治士だ。田畑を耕すには道具が必要だろう?俺なら作れるし作り方も教えてやれる。
農業については専門外だからそこは期待するなよ。」

とドムじぃーちゃんは笑顔で胸を張る。

「なら鍛冶場が必要ね。そこから今日は作るかい?フレア。場所は、確保できるでるわよね?」

とルミばぁーちゃんはドラしゃんに尋ねるとドラしゃんは少し不機嫌そうに

『誰に物を言ってる?場所なら直ぐにでも用意できますよ。』

と答える。

「じぁー、まずは鍛冶場作りからだ。あとはモッケロンとラミィーが来てからだなぁ?」

とロドじぃーちゃんが皆んなに確認すると一斉に頷く。

私とお兄ちゃんはとりあえず手を挙げて返事をした。













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