みんなで転生〜チートな従魔と普通の私でほのぼの異世界生活〜

ノデミチ

文字の大きさ
上 下
28 / 37
貴族の戦い

28. 暴露されちゃったよ

しおりを挟む
「アイラ…。そりゃ確かに私の独断なんだけど。反対はしなかった…と思うのは早計だったか?納得したと…」

 シャトナー伯から送られてきた、あるカモフラージュされた手紙。

 直筆の愛妹アイラからの手紙。

『この街を動くつもりはありません。お兄様には、私の事はほっといていただく様、何度も伝えましたよね』

 要約も何も、ガチでこのまんまの文。
 ヤバいな。彼奴アイラかなり怒ってるよね、コレ。

あの子アイラの性格はよくご存知の筈。そもそもリディアにも内緒なのはどういうことですか?お兄様』
「まぁ、思ったら即実行!ってね。少なくとも、これが最善の策と思ったんだよ」
『ジャン叔父様まで巻き込んで。シャトナー伯爵様も動いているじゃないですか。こんな大事』

 王都の学園寮にいるリディアが水晶球に写っている。流石に此処に至っては彼女にも相談するしかない。父上に極秘にしなくてはならないのが結構痛い。

『で、どちらを立てるおつもりですの?お兄様。今更ジャン叔父様に出来ないとは言えないでしょうし、かと言ってアイラが素直に聞く筈がありませんし』

 こうなっては多分、アイラは自分が直接動く。
 しかも、彼女の実力行使を止められる者等現時点で存在しない。

 『聖獣使い』。
 アイラの従魔は4聖神獣の内の3体。
 フェニックススピリッツタートル大地ガイルフェンだ。

『私はどのみち動けませんわ、お兄様。先ずはアイラとコンタクトを』
「アイラと?ジャン叔父上ではなくて?」
『アイラが直接動く事が1番不味い事態ですわ』

 それもそうだ。
 あの子が表に出る事だけは避けないと。

 そこへ飛び込んでくる知らせ。

 ダッカード侯爵家の横槍⁉︎
「どういう事だ?」
「侯爵が王宮に抗議を。おそらく自身の裏での動きに正当性を持たせざるを得なくなったのかと思われます」

 伝えてきたのは私直属の影。
 以前、侯爵はアイラの拉致を画策しシャトナー伯領のヒガンザタンサラスで配下を暗躍させた。
 アイラ自身に撃退され、秘密裏にシャトナー伯からも抗議した事態。表沙汰にならない様シャトナー伯も我々も動いた筈だったのだけど。

 王家以下高位貴族には筒抜けだったらしい。
 『聖獣使い』の存在の信憑性に箔を付ける結果となったこの件は、スチュワート辺境伯とシャトナー伯とのまさかの連合の噂も重なり貴族中に波紋の様に拡がって、この機を逃さずダッカード侯爵はスチュワート辺境伯に「派閥への裏切行為」と言い出したのだと。

 『国王派』。
 つまり派閥のトップは王自身。

 公爵家の一門たるスチュワート辺境伯が他派閥の筈がなく、それが貴族派の重鎮で武と財を支えるシャトナー伯と結びつこうとするのは派閥の鞍替えにも等しい裏切りだ。
 それがダッカード侯爵家の言い分。

 そして、その根拠として『聖獣使い』アイラ=サイモンの存在を暴露、両者が彼女の力を使い結託して王国に仇為すと主張している。

『お兄様!』
「まさかこんな形で暴露されるなんて。やってくれたな、ダッカード侯爵。が、最悪だ。アイラの力が王家にも確認されてしまった」

 しかも父上は、サイモン公爵家は彼女の死亡を届け出ている。これでは公爵家がアイラを秘匿したと思われても言い訳出来ない。

「父上は今王都だ。そっちで」
『今、荒れ狂った声が聞こえてきましたわ、お兄様。おそらく王宮で陛下に詰問されたのでは』
「お前は知らぬ存ぜぬを貫き通せ。全ては私が対応する。直ぐに王都に出向く」

 で、影を指すと。
「事の次第だけアイラに伝えてくれ。私が何とかする。アイラは存在を隠し引き篭もって欲しいって伝えるんだ」

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 アイラがそんなお兄様ポールの想いを知った時には、叔父様スチュワート家とダッカード家が一触即発の事態になっていて。しかも侯爵家は懲りずに私の拉致を実行しようとしていて。

 ガォオオーン『やるよ、アイラ』
 クヮアー『我等は頭にきている』
 ピィー『止めないでよ、アイラ』

「止めるよ、私の願いはひっそりと暮らす事なんだよ」

 うわーん、サヨナラ、私のスローライフ。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

転生しても山あり谷あり!

tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」 兎にも角にも今世は “おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!” を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

転生少女は自由気ままに今世を楽しむ

紅 蓮也
ファンタジー
アルテミスは、森の中にある家で、両親と暮らしていた。 アルテミスは、両親にも話していない秘密がありる。 それは、こことは違う、別の世界で生きていた記憶を持った転生者だということだ。 ずっと森の中から出たことなかったアルテミスは、初めて両親と一緒に森を出て、街に出掛けた。 アルテミスは、両親が目を離した隙に迷子となった。 両親を探していると騒ぎが起き、人だかりができている場所に向かった。 すると血だらけの男の人が倒れていて、何で皆、見ているだけで、助けないのか、早くしないと死んじゃうと思ったアルテミスは、倒れた男に近づき、当然のように治癒魔法で、大怪我を治してしまった。 この世界では、人族は体内に魔力は保有しているが魔法を使えないのが常識であった。 周りは、その光景に更なる騒ぎとなった。 騒ぎの場に両親が駆けつけたので、両親と無事に再会は出来た。 だが、両親もまたアルテミスに隠している秘密があったのだ。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。

隠密スキルでコレクター道まっしぐら

たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。 その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。 しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。 奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。 これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

王女の夢見た世界への旅路

ライ
ファンタジー
侍女を助けるために幼い王女は、己が全てをかけて回復魔術を使用した。 無茶な魔術の使用による代償で魔力の成長が阻害されるが、代わりに前世の記憶を思い出す。 王族でありながら貴族の中でも少ない魔力しか持てず、王族の中で孤立した王女は、理想と夢をかなえるために行動を起こしていく。 これは、彼女が夢と理想を求めて自由に生きる旅路の物語。 ※小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...