プリンセス王子と虹色騎士団

美作美琴

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第72話 再会、オネエよ

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 『さあ、こちらです』

 シャルロットたちの少し前には空気の球が浮いている。
 それは透明だが、時折風が球の周りをなぞる様に走るので存在を確認できる。
 それが声を発しながらふわふわと漂い、彼女らを誘導しているのだ。

「あなたは一体? 何故私たちを助けてくれるのですか?」

「しばらくお待ちください、もうすぐで私の居るところに着きますので」

 空気の球が森の開けた草原で弾けて消えた。

「お待ちしていました、女勇者様」

 樹の上から目の前に飛び降りてきたのは頭を顔半分をフードで隠した女性であった。
 その佇まいは森の中や樹上を移動するのに適した身体にフィットした衣服、
フードは不自然に頭上が盛り上がっていたのでシャルロットはすぐに彼女の正体に気づく。

「あなたは耳長族の方ですね? もしや……」

 もしかしてツィッギーが生きていたのでは? 一縷の望みを抱き目の前の女性に問いかける。
 女性もそう言われてはフードを取らざるを得ない……手をかけ頭と顔の上部を覆っていた布を自ら取り去る。

「あっ……」
 
 その顔を見て希望が落胆に代わってしまう……目の前の女性はツィッギーでもなければレズリーでもなかった……見知らぬ耳長族の女性だったのだ。

「落胆させてごめんなさいね、私はティーナといいます」

「あっ……こちらこそすみません!! 初対面の方に失礼な振る舞いを!!
 私はシャルロットといいます!!」

 慌てて頭を下げる。

「私はアルタイルと申します、先ほどは私たちを助けていただきありがとうございます」

「いえ、当然のことをしたまでですよ」

 優し気にほほ笑むティーナ。

「ところであなたは私たちにどのような要件がおありで?」

「ちょっとアルタイル!!」

 いきなり本題を切り出すアルタイルを制するシャルロット。
 助けてもらった直後にその恩人を疑うのは気が引けたからだ。
 確かに見ず知らずの自分たちを助けてくれたのは善意からなのは重々承知しているが、何となく彼女からは怪しげな雰囲気が感じられたのだ。

「せっかちな方ですね、でも話が早い殿方は嫌いではなくてよ
 単刀直入に申しますと、あなた方に私の目的を達成するための協力をしていただきたいのです」

 深々と頭を下げるティーナ。

「お話は分かりました、しかし私は一刻も早くアイオライトを救出したいのです
 あなたのお手伝いはその後ではいけませんか?」

 その言葉を聞き心穏やかではないアルタイル。

「姫様、まさかあの四天王にまた戦いを挑むというのですか?」

「決まっているだろう、アイオライトが人質に取られているんだよ? 助けに行かなくてどうするんだ」

「あのバアルという者の風の魔法を見たでしょう? あれは魔力の練度が桁違いです、人間では真似できないほどのね……何の策も持たずに挑んでも返り討ちに遭うだけです」

「確かに、バアルは四天王で最強の魔力の持ち主と言われているわ」

 アルタイルの意見に捕捉を入れるティーナ。

「かといってアイオライトをこのままにしておけない、彼女は僕の友達だからね!!」

 頑として考えを曲げないシャルロットに対してアルタイルは徐々に苛立ちを覚える。

「本当は言いたくないのですが、敢えて言わせて頂きます……アイオライトは元々魔王の兵器、会話の受け答えが出来ていても所詮は造られたもの、命がある訳ではありません……ここは見捨てていくのも選択肢の一つではないでしょうか?」

「なっ……!!」

 シャルロットは言葉を失った……まさかアルタイルの口からこんな薄情な言葉を聞くことになるとは思ってもみなかったからだ。

「アルタイル!! 君、それは本気で言っているのか!?」

「ええ、本気ですとも……強敵全てを打ち倒す必要はないのです、回避できる戦いは極力避けるべきです!!」

「ちょっと!! 二人とも冷静に……」

「あなたは黙ってて!!」
「あなたは黙っていてください!!」

「はい……」

 喧嘩を見かねて仲裁に入ったティーナであったが、二人のあまりの迫力に引き下がってしまった。

「あーーーもう!! 何でこんな事に!?」

 尚も口喧嘩を続ける二人を背を向け頭を抱えるティーナ。

「あらあら~~あなたたち何をそんなに揉めているのかしら~~?」

「「えっ……?」」

 聞き覚えのある野太いオネエ言葉……この人物はまさか……シャルロットとアルタイルは声の方に向き直る。

「ハァイ!! 元気にしてた!? シャルちゃん!!」

「ベガ!!?」

 驚きのあまり殊更声が大きくなる。
 そこには派手なメイクと派手な衣装を着たベガが立っていたのだ。
 次の瞬間、シャルロットはベガの胸に勢いよく飛び込んでいた。

「僕が分かるって事は君はベガなんだね!? 今まで何処へ行ってたんだい!? 僕らは今、大変なことになってるんだよ!?」

「あらあら、まだまだ甘えん坊さんなのねシャルちゃんは」

 涙混じりの声で再開を喜ぶ二人。

「どうやってここに?」

「これよ、コ・レ」

 ベガの手には開かれた魔導書が載っており、その上には森の全景がミニサイズで再現された立体映像が映し出されている……『ロイヤルサーチ』の魔法を使ってここに来たのだ。

「ベガ……なのか? 本当に!?」

 アルタイルは半ば放心状態で喉の奥からやっと声を絞り出している。

「あ~~……それはそうなのだけれど、アタシはシャルちゃんあっちの世界のベガなのよ」

「そ、そうか……」

 一気に残念そうな表情になるアルタイルに今のベガは愛想笑いを向けるのが精一杯だった。
 
「あの……一体何がどうなっているんかしら?」

 一人取り残されたティーナが遠慮がちに問いかけてきた。

「あっごめん!! そうだね、少し状況を整理しようか……」

 人目に付かない茂みに隠れ四人は車座に座る。

「グリッターツリーで船を建造してた時の事よ、アタシはシェイドの手下アークライトと名乗る魔導士に手紙で呼び出されたの、二人きりで会わないかってね……でも指定の場所にはそのアークライトと死神グリムが居たわ、ただ死神の登場はアークライトにとっては想定外のものだったらしいのよ」



 元の世界、マウイマウイ渡航前の『嘆きの断崖』での出来事……。

『死ねーーーー!!!』

 死神グリムがベガに向かって突進、鎌を振り下ろす。

「あっと、危ないわね!! 何するのよ!!」

 横に飛び退き、寸でのところで体をかわす。

『あなたの知恵があのお方には邪魔なのですよ、ここで退場してはいただけませんか?』

 先ほどのローブを自らはぐって顔を晒し、取り乱していた人物とは思えないほど冷静な素振りのアークライト。
 その取り繕いようからベガはアークライトがグリムや他の仲間には秘密で自分に会いに来たのではと予測を立てた。
 その証拠にグリムが現れてからアークライトの態度が一変したのだ、間違いないだろう。

『そういう事らしいぜ、俺が冥府に送ってやる!!』

 再び切り掛かってくるグリムだったが、後方から彼の身体を掠めるように炎の球が飛んできた。
 
「くうっ!!」

 辛うじて魔法障壁を発生させ日の球を防いだベガ。

『アークライトてめぇ!! あぶねぇじゃあねぇか!!』

『ベガの意表を突いたんです、あなたこそ私の邪魔にならぬよう気を付けてください』

『うるせぇ!! 俺に指図するな!!』

「あらあら、こんなところで仲間割れかしら? オホホホ!!」

 わざと挑発するように手の甲を口に当てせせら笑うベガ。

『てめぇも笑ってんじゃあねぇ!! うおっ!?』

 グリムを押し退け、アークライトが物凄い勢いでベガに向かって突進してくる。
 そしてそのまま組み付き、崖から落下したのだ。
 魔導士の戦闘方法としてはかなり常軌を逸している。

「あなた、一体どういうつもり!?」

『申し訳ありません、これもこの世界を、いえ二つの世界を救うためなのです』

「あなたは一体何を言って……!!」

 尚も落下を続ける二人……崖の中腹辺りでアークライトから黒い魔法力が滲みだす……そしてそれはベガに移っていきやがて彼を暗黒の球体へと閉じ込めてしまった。

『あなたは先に行って待っていてください』

「何だっていうの!? 説明しなさい!!」

『グリムに感づかれます、時間がない……向こうに行けばあなたなら成すべき
ことが分かるはず……』

 向かい合って組み付いているアークライトの背中越しにグリムが見える。
 どうやら落下している自分たちを追って着たようなのだ。

『任せましたよ』

「ちょっと待ちなさい!!」

 ベガの悲痛な声に耳を貸さず、アークライトが離れていく。
 そしてベガを包んだ黒い球体は忽然とそこから姿を消した。

『おい!! ベガの奴はどこへ行った!?』

 遅れて到着したグリムが辺りを見回す。
 ベガに対するアークライトの一連の行動は、彼の身体に隠れていたためグリムには見えなかったのだ。

『たった今、くびり殺して海に沈めた……』

『お前らしくな戦い方だな、何かあったのか?』

『別にいいだろう? 結果がすべてだ』

『まあそうだけどよ……』

 その後、特に口を開くことなくアークライトは空間転移魔法を使ってその場を後にした。
 グリムはしばし海面を見つめていたが、そう間を置かず飛び去って行った。


「……気が付くとアタシは嘆きの断崖近くの草原の上に倒れていたってわけ、最初は普通に崖の上に移動しただけかと思ったのだけど、グリッターツリーが焼け野原じゃない……それからしばらく色々探っていたら、ここはアタシが暮らした世界ではないという結論に達したのよ」

「そうだったんだ……でも不可解なのはそのアークライトって魔導士だよね……彼は一体何を知っているんだろう、そもそも敵なのか味方なのか……」

 シャルロットが首をひねる。

「我々にはまったく理解できない話だ」

 アルタイルとティーナは尚の事、今の話題に置いてきぼりを食らっていた。

「仕方ないわよ、過ごしてきた世界も時間も違うんだから……ところでこっちのあんたに一つ聞きたいんだけど……」

「何だい?」

「あんたさ、弟子は居る?」

 急に神妙な顔つきになるベガ。
 やや押され気味ながらアルタイルは答える。

「いや、私は弟子を取ったことは今の一度もないが……」

「そう……」

「それがどうかしたのかい?」

「僕の世界ではアルタイル、君にはイオっていう可愛い弟子が居るんだよ
 ずっと君にべったりでね」

 先ほどは険悪な状態だったがシャルロットも子供ではない、ほほ笑みながらアルタイルに話しかける。

「私は人と関わるのは苦手だから、弟子を取っているなんて意外ですよ」

「じゃあこちらの世界のイオは一体何をしているんだろうね」

「さあ、どうかしらね……」

 ふとベガはフードをはぐって露になったアークライトの顔を思い出していた。
 その顔はイオにそっくりだったのだ。
 いやそっくりというレベルではない、あれは間違いなくイオだった。

 ベガが嘆きの断崖で戦っていた時、元の世界のイオはグリッターツリーで彼が出した課題の魔法を習得中だったのであの場に現れるはずはないし、そもそもアークライトに変装してくる意味がない。
 恐らくこちらの世界のイオなのではとベガは考えていた。
 何らかの理由、何らかの方法で世界を渡って来たのだと。
 並行世界が存在することが分かったからこその発想である……そうでなければこんな憶測は立てられなかった。
 だがこの考えに至ってから恐ろしいことに気づき始めていたのだが、まだ確証がつかめないでいた。
 しかしこれを証明してしまうときっとシャルロットは精神的に窮地に追い込まれるのは分かり切っている。
 今はその時ではないと自分に言い聞かせ、ベガは敢えて話題を変えることにした。

「あなたたち、少しは頭が冷えたかしら? じゃあアタシから提案なんだけど、まずはティーナちゃんのお願いを聞くところから始めましょうよ」

「アイオライトは大丈夫かな……」

 心配そうなシャルロット。

「そんなに心配いらないわよ、人質は生かしておいてこそ価値があるもの、時間に猶予があるわ……それにティーナちゃんのお願いには何か私たちにとって良い事が起こりそうな予感がしているのよね」

「内容を聞いていないのに?」

「ウフフフ、それこそ女の、いえオネエのカンてやつ?」

 ベガは口元を隠し不敵に笑った。
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