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本編
鎧と精査
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そんな訳で二、三日ぐらいアーネん家でゆっくりしながら過ごした。その間、特に何かあったりはしなかった。平和なもんだ。
夏の時とは違って課題もないし、右腕が死んでるなんてこともない。やることもないので、かなりだらけていた。
いや、やることがないというのは少し語弊があるか。一応用事はあった。
何かというとマキナのメンテナンス。一応言っておくと、マキナに本来メンテナンスは必要ないらしい。造った本人であるベルがそう言っていたのだからまず間違いないのだろう。
しかしそのベルから「マキナを見せろ」と連絡されたのだから見せに行かないわけにはいかない。
「んー、最短で一週間は欲しいな」
マキナを渡しに行った時、ベルはそう言った。
「どこか壊れてたのか?」
実際、かなり荒い扱いをしていた自覚はそれなりにある。修羅場もそれなりにくぐっているし、どこか壊れていてもおかしくない。そう思って聞いてみたら、
「まずはそこからやな。検査して問題があったらそこ直して、一緒に今までどんな戦い方使い方をしてたんか調べる。それが終わったらあんたの使いやすいように少し手ェを加えて、より快適にする。それが終わったらその動作確認と《魔を封じて御する者》で付与したもう一人のアンタに確認を取りながら微調整、あとは──」
「おいおい、メンテナンスはいらなかったんじゃなかったのか?」
思わずそう言うと、ベルの目つきが変わった。
「あんたの唯一無二の武具は決まった形のないっていう特徴がある。加えて本来の目的は防具でありながら、武器にもそれ以外にも使える。どんな武器や防具にもない、色んな能力を持つ他のオリジン・ウェポンの中でも極めて特異なモンやってこと、わかっとるんか?」
「な、なるほど?」
いわれりゃそうだ。というか、元々は「硬くて軽い鎧をくれ」という注文だったのに、蓋を開けてみりゃ俺とそっくりな存在が宿った……なんて形容すりゃいいんだ?ともかく「鎧」ではない(だけではない)オリジン・ウェポンが完成したんだ。そんなもん俺の予想のはるか上だし、ベルの予想外でもあったのだろう。
「しかしまさか、ウチとアンタのスキルが反応しあった結果がこのマキナ…やっけ?こんなモンを生み出すとはなぁ…何が起きるかわからんものやんな」
しみじみと鎚形態のマキナを眺めるベル。
「そんじゃ、ウチはこれから徹夜で調整入るから。終わったらすぐ送るな」
そう一方的に言うと、とっととぼろい小屋の中に入っていってしまい、俺はひっそりとアーネの家に向かった。
と、言うのがついこの前の話。ゼランバに着いた次の日ぐらいの話だな。
今?今は………
「何卒!何卒お願いします!」
家におっさんが駆け込んできて猛烈に頭下げてる所。
夏の時とは違って課題もないし、右腕が死んでるなんてこともない。やることもないので、かなりだらけていた。
いや、やることがないというのは少し語弊があるか。一応用事はあった。
何かというとマキナのメンテナンス。一応言っておくと、マキナに本来メンテナンスは必要ないらしい。造った本人であるベルがそう言っていたのだからまず間違いないのだろう。
しかしそのベルから「マキナを見せろ」と連絡されたのだから見せに行かないわけにはいかない。
「んー、最短で一週間は欲しいな」
マキナを渡しに行った時、ベルはそう言った。
「どこか壊れてたのか?」
実際、かなり荒い扱いをしていた自覚はそれなりにある。修羅場もそれなりにくぐっているし、どこか壊れていてもおかしくない。そう思って聞いてみたら、
「まずはそこからやな。検査して問題があったらそこ直して、一緒に今までどんな戦い方使い方をしてたんか調べる。それが終わったらあんたの使いやすいように少し手ェを加えて、より快適にする。それが終わったらその動作確認と《魔を封じて御する者》で付与したもう一人のアンタに確認を取りながら微調整、あとは──」
「おいおい、メンテナンスはいらなかったんじゃなかったのか?」
思わずそう言うと、ベルの目つきが変わった。
「あんたの唯一無二の武具は決まった形のないっていう特徴がある。加えて本来の目的は防具でありながら、武器にもそれ以外にも使える。どんな武器や防具にもない、色んな能力を持つ他のオリジン・ウェポンの中でも極めて特異なモンやってこと、わかっとるんか?」
「な、なるほど?」
いわれりゃそうだ。というか、元々は「硬くて軽い鎧をくれ」という注文だったのに、蓋を開けてみりゃ俺とそっくりな存在が宿った……なんて形容すりゃいいんだ?ともかく「鎧」ではない(だけではない)オリジン・ウェポンが完成したんだ。そんなもん俺の予想のはるか上だし、ベルの予想外でもあったのだろう。
「しかしまさか、ウチとアンタのスキルが反応しあった結果がこのマキナ…やっけ?こんなモンを生み出すとはなぁ…何が起きるかわからんものやんな」
しみじみと鎚形態のマキナを眺めるベル。
「そんじゃ、ウチはこれから徹夜で調整入るから。終わったらすぐ送るな」
そう一方的に言うと、とっととぼろい小屋の中に入っていってしまい、俺はひっそりとアーネの家に向かった。
と、言うのがついこの前の話。ゼランバに着いた次の日ぐらいの話だな。
今?今は………
「何卒!何卒お願いします!」
家におっさんが駆け込んできて猛烈に頭下げてる所。
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