大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

適当な先生と信じてもらえない性別

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「はっはっは!すまん!そのことを忘れていた!」
このオッサン、マジで一旦泣かしたろうか?
クラス全員が思ったに違いないその一言は、言わなくともオードラル先生に通じたようだ。
「しかし、どうしようか?」
アンタが知らないなら誰も知るわけないだろうが!
「だよな!はっはっは!すまん!」
全員の心の声が再び聞こえたのだろうか。
「なら、今日は時間もないから、解散!…と言いたいが、この学校、全寮制だけど、寮はわかるか?わからんヤツは手を上げろー!」
え?マジ?適当にも程があるでしょ。
とりあえず、言われて手を上げたら、自分以外全員わかってるようだった。死ぬほど恥ずかしい!
「なぁなぁ、見ろよあいつ、知らねぇんだってよ」
「え、えぇ、みたいですね」
おいこらそこのダメ担任、何お前が率先して馬鹿にしてるんだ!絡まれた女子が目を白黒させてるじゃないか!
「一人だけなら、どっか周りのヤツにきいてくれ」
しかも対応が心底どうでもいい感じだな、オイ。
けどさ、自己紹介もしてない状態でいきなり訊けとか結構難しくない?
「貴女が頭下げて『お願いしますアーネ様』って言ったら考えてあげなくも無いですわよ?」
顔色読んでそんなことを言ってくるヤツもいるが無視だ無視。
第一、考えてあげなくもないってのが既に徒労に終わるのが目に見えてるだろうが…。
「あ、先生、僕が教えときます!」
「そうか、ならお前に任せるわ!…名前なんて言ったっけ?」
「受験番号805のラウクム・ナーバーヤです!」
みごとな金髪を刈り上げて、健康的に日焼けした褐色の肌、高身長のハンサムくんはラウクムね、よし覚えた。
「よろしく!本来なら女子が説明した方がいいんだろうけど、とりあえず自分がするよ!」
うん?まぁ、そりゃ自分も綺麗な女の方が嬉しいが。
「えーと、なんて名前なのかな?お嬢さん」
なるほど、コイツがなぜ女子云々と言ったのか理解出来た。ちょうどいいから宣言しとこう。
「初めましてラウクム。自分はレィア・シィル。男だが、よろしく頼むな」
コイツとはいい関係を築きたいもんだ。
しかし、自分が男だと言った瞬間、ラウクムと、他数人の男子が崩れ落ちた。
何事だ、一体。
「…き、君が男?冗談はよしてくれないか?君はどうみたって女じゃないか!」
やばい、殴りたい。
「ところが残念ながら男だ。ほれ、証拠に―」
「うわぁ!やめたまえ!」
―胸なんかないだろう?
と、言いながら上の服を脱ごうとすると、ラウクムが全力で止めてきた。
「じ、女性が無闇と服を脱ごうとするものじゃないよ!」
「いやだから、自分は男だって」
「その愛らしい顔!白く透き通るような肌!抱きしめると折れてしまいそうな腰!どれをとっても美しい女性じゃないか!」
「…人のコンプレックスをずけずけと言ってくれやがったなこの野郎」
良好な関係を作りたいのに、喧嘩をふっかけてしまっては流石に不味い。
どうしようか、先生を見ると、完全に無視決め込んで、何か書類を片付けてた。
先生、たーすーけーてー…。
「わかったわかった!とりあえず、寮の場所教えてくれないか?」
「あぁ、場所は…」
後日、絶対に訂正してやると思いつつ、なんとか聞き出せたが、これ多分というか、絶対に女子寮だよな…どうやって男子寮に入るか…。
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