3 / 2,022
本編
決闘説明と名乗り合い
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プッツンという音が聞こえたかと思った。
口より手が出るとは我ながら情けない話だが、この手の話は自分に、言っちゃあいけない話だ。
現に、試験官はあれから無言で下向いてるし。仕事しろよ。
思わず、背中に背負っていた自分の武器を取り出して、自分と相手のど真ん中に突き刺す。
自分の身長とほぼ同じ、もしかしたらそれより少し大きいかもしれない大剣だ。
「なんですか?ついに口でしゃべることすら出来ず、子供のようにダダをこねたのですか?それとも、まさか力ずくでも、とでも言うのでしょうか?」
…まさか、『はい、そのとおりです』とも言えない…。
「自分の理由」
「はい?」
「自分の髪が長い理由は、自分の戦い方に必要なものだ」
だから――
と、続けようとしたところで、割り込みが入った。
「そうだ、決闘でいいじゃないですか!」
…試験官の間の悪さ、半端じゃないな…。
「決闘って、大丈夫なのか?王都では喧嘩とかそのあたりの類は全部まとめて禁止だろう?」
「あなた…ここは聖学ですよ?力がなければ聖女様を守ることすら出来ません。力が一番、次に品位、そして三つ目に美しさです!…そういう風にしっかり説明したはずですが…?」
…そんなこと、説明されたっけなぁ…?
試験官に言われて頭の中を探してみるけど、一向にそんなこと言われた覚えがない…。
「…とりあえずわかった。決闘のルールはなんだ?」
「一つ、立ち会い人が付くこと、二つ、武器の使用は認めるが、中二級以上の回復魔法が必要になる怪我は禁止とする、三つ、気絶、戦闘不能、もしくは相手の降伏により決着とする、ですわね」
「…なんでお前が知ってんの?」
「常識ですわよ」
…既に凄まじい敗北感だ…。
というか、中二級というと、骨折ぐらいなら簡単に、というレベルの回復魔法だから…うん、割と厳しいのね。
「その通りですね。今回は、立ち会い人が私、回復魔法も一応、上三級までは使えるので、多分大丈夫かと。…あと、お願いですから、意地張って降伏しないとかやめてくださいね?」
「「大丈夫です!」」
だって、降伏させずに戦闘不能にするからね!
「…なんか、裏がありそうなほどいい返事ですね…。受験者はあなた二人のみとなったので、私も専念出来ます」
しれっと今なにか凄いこと言わなかったか?
めちゃくちゃ人いたのに、合格者の二十九人と、自分とこの女以外全滅…?なにがあったのだろうか?
「とにかく始めましょうか。オカマさん?」
わざわざ人のイラつくところつつきながらしゃべるなぁ、この女…。
「わかった、ちなみにスキルと戦技については?」
「こちらも、中二級の回復魔法で追いつくのであれば、使用は可能です」
なるほど、それなら依存はない
「じゃあ、始めようか?デカブツ?」
あ、相手のコメカミがピクピクしてるや。
「上等ですわ!原型が留めないほどにミンチにして差し上げますわ!」
うん、ミンチにされるのも嫌だし、そこまでやられたら、自分、中二級どころか最上位の回復魔法でも助からない気がするんだ…。
煽りすぎたかな?まぁ、自分は何度もいわれてるからこれぐらい、いいでしょ。
「では、名乗りをどうぞ」
試験官に言われて気づいた。まだ名前知らないし、言ってなかったな。
「…アーネ・ケイナズですわ、オカマちゃん」
「レィア・シィルだ、デカブツちゃん」
皆さんも以後お見知りおきを。レィアというのが、この物語の主人公。5人もいる英雄を引きずり下ろして、たったひとり、聖女の隣にいようとする者だ。
口より手が出るとは我ながら情けない話だが、この手の話は自分に、言っちゃあいけない話だ。
現に、試験官はあれから無言で下向いてるし。仕事しろよ。
思わず、背中に背負っていた自分の武器を取り出して、自分と相手のど真ん中に突き刺す。
自分の身長とほぼ同じ、もしかしたらそれより少し大きいかもしれない大剣だ。
「なんですか?ついに口でしゃべることすら出来ず、子供のようにダダをこねたのですか?それとも、まさか力ずくでも、とでも言うのでしょうか?」
…まさか、『はい、そのとおりです』とも言えない…。
「自分の理由」
「はい?」
「自分の髪が長い理由は、自分の戦い方に必要なものだ」
だから――
と、続けようとしたところで、割り込みが入った。
「そうだ、決闘でいいじゃないですか!」
…試験官の間の悪さ、半端じゃないな…。
「決闘って、大丈夫なのか?王都では喧嘩とかそのあたりの類は全部まとめて禁止だろう?」
「あなた…ここは聖学ですよ?力がなければ聖女様を守ることすら出来ません。力が一番、次に品位、そして三つ目に美しさです!…そういう風にしっかり説明したはずですが…?」
…そんなこと、説明されたっけなぁ…?
試験官に言われて頭の中を探してみるけど、一向にそんなこと言われた覚えがない…。
「…とりあえずわかった。決闘のルールはなんだ?」
「一つ、立ち会い人が付くこと、二つ、武器の使用は認めるが、中二級以上の回復魔法が必要になる怪我は禁止とする、三つ、気絶、戦闘不能、もしくは相手の降伏により決着とする、ですわね」
「…なんでお前が知ってんの?」
「常識ですわよ」
…既に凄まじい敗北感だ…。
というか、中二級というと、骨折ぐらいなら簡単に、というレベルの回復魔法だから…うん、割と厳しいのね。
「その通りですね。今回は、立ち会い人が私、回復魔法も一応、上三級までは使えるので、多分大丈夫かと。…あと、お願いですから、意地張って降伏しないとかやめてくださいね?」
「「大丈夫です!」」
だって、降伏させずに戦闘不能にするからね!
「…なんか、裏がありそうなほどいい返事ですね…。受験者はあなた二人のみとなったので、私も専念出来ます」
しれっと今なにか凄いこと言わなかったか?
めちゃくちゃ人いたのに、合格者の二十九人と、自分とこの女以外全滅…?なにがあったのだろうか?
「とにかく始めましょうか。オカマさん?」
わざわざ人のイラつくところつつきながらしゃべるなぁ、この女…。
「わかった、ちなみにスキルと戦技については?」
「こちらも、中二級の回復魔法で追いつくのであれば、使用は可能です」
なるほど、それなら依存はない
「じゃあ、始めようか?デカブツ?」
あ、相手のコメカミがピクピクしてるや。
「上等ですわ!原型が留めないほどにミンチにして差し上げますわ!」
うん、ミンチにされるのも嫌だし、そこまでやられたら、自分、中二級どころか最上位の回復魔法でも助からない気がするんだ…。
煽りすぎたかな?まぁ、自分は何度もいわれてるからこれぐらい、いいでしょ。
「では、名乗りをどうぞ」
試験官に言われて気づいた。まだ名前知らないし、言ってなかったな。
「…アーネ・ケイナズですわ、オカマちゃん」
「レィア・シィルだ、デカブツちゃん」
皆さんも以後お見知りおきを。レィアというのが、この物語の主人公。5人もいる英雄を引きずり下ろして、たったひとり、聖女の隣にいようとする者だ。
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