大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

混戦と二つ名5

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生徒の数がかなり減ってきた。三年は元々数が少ないのもあって残り三人。一、二年は合わせて五人。丁度今、三対五のチーム戦になっている。あの動きは即興じゃ出来ないだろうから、どちらも班だったのかもな。
二つ名持ちもかなり数を減らした。《雷光》、《不動荒野》、《貴刃》、《逆鱗》が退場し、残った二つ名持ちは《剣姫》と《黒法師》、そして《勇者》と俺だけ。その二つ名持ちも今、《剣姫》と《黒法師》が戦っており、激しく火花を散らせる。
《剣姫》の周りを何十もの形状をした何十もの剣が漂い、それを片っ端から《黒法師》が手にした真っ黒な棒で叩き砕き、降り注ぐ剣を紙一重で避けて避けて避けて避けて避けて避けて避けて避けて──《剣姫》に肉薄する。
「細き刃」
《黒法師》が小さく小さくそう呟いたのが聞こえた。
瞬間、黒い棒の先に細長く薄い刃が出現。それとは逆の棒先で剣をさらに叩き潰しつつまだなお《剣姫》に接近。
《黒法師》が一瞬で手を返し、《剣姫》の身体から真っ赤な血が派手に吹き上がる。
「────!!」
それでも──《剣姫》の目には強い意志が消えることなく灯っている。
「……ッ!《貫き通す唯一の一アイン》!!」
ゴッッッッ!!と空を裂き突如繰り出される異常なまでに巨大な大剣が《黒法師》を串刺しにせんと超速で繰り出され、至近距離にいた《黒法師》は回避を一切出来ずに直撃──いや違う!!
《黒法師》は手にしていた自らの武器で剣を防いでいる。同時に迫り上がる戦技アーツに合わせて後ろに飛んでいたのだろう、ダメージはほとんどなさそうだ。
余裕すら見せつけつつ《黒法師》がゆるやかに着地。《剣姫》の戦技アーツが終わり、巨大な大剣が止まった。
「《穿ち返す無二の二ツヴァイ》!!」
と、同時に《剣姫》の第二戦技アーツが間髪をいれずに発動。
位置はアインを受け止めた直後の《黒法師》のすぐ後ろの足元から。
「!?」
斜め上に向けての第二の剣が第一の剣の数倍の速度で飛び出し、戦技アーツを受けきった直後の《黒法師》の身体を容易く貫き、赤の花を咲かせる。
「っ……!がっ……、っ……!!」
剣の先端には返しがついており、第一の剣よりは細いと言えど充分大きな剣は《黒法師》の小さな身体を貫いたまま床から身体を浮かせる。
《黒法師》がどうにか脱出しようと試みるが、胴の真ん中を見事に貫いた剣はそうそう抜けない。
自重で少しずつ深く刺さっていく剣、ついに耐えきれなくなった《黒法師》が血塊を吐き、苦しそうな表情を見せる。
これ以上は不味い、そう思った瞬間勝手に剣が消え、無防備に落ちる《黒法師》。
もしやと思って《剣姫》を見ると、血だまりに倒れていた。
それを見て救護班がすっ飛んでいき、《剣姫》と《黒法師》の両方を回収して去っていく。まぁ妥当か。
「さ、僕達が最後だ。やろうかレィアさん」
『…あぁ、わかったよウィル』
渋々振り返ると、いつの間にか背後で剣と盾を構えていた。
それに合わせて剣を構えると、空気が即座に緊迫する。
踏み込みは同時だった。
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