大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

流れと考え事

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雑魚でよかった。ちなみに相手は砂の中を泳ぐ蛇。サイズは普通のその辺の蛇と変わんない奴が三匹ほど。十等分ぐらいして終わり。
「背中、大丈夫ですの?」
「ん?あぁ、大丈夫大丈夫。髪でやってるから」
普通に剣振ったら肩甲骨あたりから背中が大変なことになりそうだったし。
「これは……あー、基準に達してねぇな。スコアにゃ反映されねぇや」
ランクが一定以上の魔獣の首じゃないと持ち歩く意味ないしな……そういや。
「なぁアーネ、お前は袋持ってんのか?」
「へ?あ、ちょっと待って下さいまし」
と言ってあちこち身体に手を突っ込み、袋を探し始める。
「ありましたわ」
そりゃ良かった。だが胸の谷間からそれを引っ張り出すってのはどうかと思うぞ。
中身は足りてるのか?」
「えぇ、結界を抜けてしばらくしてから魔獣の大群が襲って来たので、全員で頑張って倒しましたの」
ふーん、もしかして、いつからかは分からないが……ずっと狙われてたのか…?俺だけじゃなくて、班もか…相手の狙いがわからん。
「そうだ、攫われた経緯を聞いてなかったな。何があったんだ?」
軽く剣を振って血を飛ばし、また歩き始める。夏場とかだったら汗が大変だったろうな…そうだったら背中に汗がしみそうだ。冬でよかった。
「魔獣に襲われ続けた後、突如非常に強い狼型の魔獣が現れて……」
狼型の魔獣…?有名所だとフェンリルとかガルムとかだが…ンなの出てきたら抵抗も許されずに、一班メンバー全員が一瞬で腹の中だ。ありゃヒトがそうそう敵う魔獣じゃない。
『いや、そこは狼型の魔獣を産獣師が操ってアーネ達をつかまえたんじゃないか?』
それが可能性として一番ありそうっちゃありそうなんだが……その場合、あいつのメリットが分からねぇんだよなぁ……
「ま、今考えたって仕方ないか。そんで気づいたら天空都市の魔力を勝手に吸われるあの部屋にいた訳か」
んー、産獣師が何をしたかったのかがわからん。
何でアーネ達を攫ったのか。そんでもって何がしたかったのか。
最初の魔力を奪う部屋とか、魔力が欲しいならほかの魔族に少しずつでいいから協力を頼んで魔力を集めりゃいいじゃん。
『アーネのスキルを取るためじゃねぇの?』
そりゃ完全に後付の理由だな。産獣師はむしろ偶然アーネを手に入れて、スキルを取る用意をしてたんだろ。
それに、その場合ならわざわざ班をまるまる一個さらう必要も無くなるし。
うーん、謎だ。
ともかく、これ以上何も起こらないことを切望して──
『マスター・敵影です』
「あぁクソ!進まねぇじゃねぇか!!」
次はどこの馬の骨だ馬鹿野郎!!
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