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本編
蛇と繋ぎ
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真っ黒に炭化した蛇。ピクリとも動かないその巨躯は、見上げるだけでも嫌悪感や畏怖を感じる。軽く床に刺した銀剣を握りいつでも斬りかかれるように下半身に力を込める。
随分と弱っていると思うが…まだ駄目らしい。どうやってこいつを捕獲したか気になる。
『デカいな。討伐方法は頭と心臓を潰すんだっけ?』
あぁ。ちなみに頭は二つだが、心臓は一個だ。メッタメタに切り刻まなきゃならんがな。
今すぐ始めてもいいのだが、下手に刺激を与えてウロボロスが暴れてもらっても困る。まずはフィールド内に残っていた生徒をフィールドの外に出し、安全を確保してからやることとなった。俺はその間、まだ生きているウロボロスの見張りだ。
…そうだ、万が一に備えて。
「おいマキナ、メッセージを──」
「レィア、他の生徒はもうフィールドの外に出たぞ。さっさと終らせよう」
「あ、ああ」
ユーリアが一振り剣を出し、俺が剣を床から引き抜く。
「んじゃ、打ち合わせ通り……頭は任せた」
「あぁ、任されたぞ。レィアは心臓を確実に頼む」
二度大きくバックステップ。銀剣を担いで構えるのは《煌覇》の構え。
一方ユーリアは目を閉じ精神集中。小さくブツブツと言っているのは魔法の呪文だろうか。
ウロボロスの心臓は丁度身体の中間地点にあり、それそのものが異常なまでの再生能力を持つため、完膚なきまでに叩き潰すなどして再生出来ないようにする必要がある。
「タイミングはお前に任せる。俺はいつでもいいぞ」
片目をパチリと開け、アイサインで「了解」と答えたユーリア。彼女を中心に膨大な魔力が渦巻き、一つの形となって収束し始める。
……これだけでさっきの特二級魔法の半分近くの魔力量はあるな。化物かよ。
「収束せよ」
そう命令した途端、ユーリアが握る剣に膨大な魔力、その全てが一瞬で内包される。
ユーリアが静かに頷き、俺が一歩踏み出す。
「《煌覇》!!」
「《ライジングブレイド》!!」
ドッッッ!!と放たれたのは俺の極紅の戦技、それとユーリアの魔力を込めた戦技──
一撃足りねぇじゃねぇか。
「おいユーリア、お前もう一──」
「繋げて」
身体をひねり、右手に握っていた剣を左手に握る。
「《ライジングブレイド》!!」
先に撃った戦技を、後ろから追い越す第二の戦技。
「おまっ、まさか!?」
「あぁ、二連ぐらいなら成功率二割ぐらいで出来るようになったぞ。連戦技」
笑えねぇ。
ってかこのクソ大切なタイミングで二割に賭けるんじゃねぇ。
文句の一つでも言おうとした瞬間──爆音。
戦技は全て狙った通り、頭、心臓、頭の三箇所を破壊。これで蛇も死んだだろ──
『いや、今代の。こいつ死んでない』
「──あ?」
完璧に心臓を貫いたはず。頭も下顎を残して吹き飛ばされた。確実に死んだはず。
振り返った瞬間、胴を破り、心臓を貫いて作られた穴──そのすぐ横に、規則正しく脈動する赤黒い塊があった。
「なっ──」
絶対に破壊したはず。それは間違いない。
だと言うのに──なぜもう一つ心臓がある!?
「お、おいレィア──」
かけられた声を無視し、全力で前に跳ぶ。距離はまたたく間に零へ。
もう一度戦技を放つ。完膚なきまでに心臓を破壊する!
「戦技──《音狩》!」
音は一度のみ、蛇の腹が大きく横に切り開かれる。これで心臓が見えたっ!
繋げて──戦技。初めてつなぐ戦技同士だが、成功を祈るしかない!
「《終々》!」
ゴポッ。と。
心臓がもう一つ、完全に潰れた。
随分と弱っていると思うが…まだ駄目らしい。どうやってこいつを捕獲したか気になる。
『デカいな。討伐方法は頭と心臓を潰すんだっけ?』
あぁ。ちなみに頭は二つだが、心臓は一個だ。メッタメタに切り刻まなきゃならんがな。
今すぐ始めてもいいのだが、下手に刺激を与えてウロボロスが暴れてもらっても困る。まずはフィールド内に残っていた生徒をフィールドの外に出し、安全を確保してからやることとなった。俺はその間、まだ生きているウロボロスの見張りだ。
…そうだ、万が一に備えて。
「おいマキナ、メッセージを──」
「レィア、他の生徒はもうフィールドの外に出たぞ。さっさと終らせよう」
「あ、ああ」
ユーリアが一振り剣を出し、俺が剣を床から引き抜く。
「んじゃ、打ち合わせ通り……頭は任せた」
「あぁ、任されたぞ。レィアは心臓を確実に頼む」
二度大きくバックステップ。銀剣を担いで構えるのは《煌覇》の構え。
一方ユーリアは目を閉じ精神集中。小さくブツブツと言っているのは魔法の呪文だろうか。
ウロボロスの心臓は丁度身体の中間地点にあり、それそのものが異常なまでの再生能力を持つため、完膚なきまでに叩き潰すなどして再生出来ないようにする必要がある。
「タイミングはお前に任せる。俺はいつでもいいぞ」
片目をパチリと開け、アイサインで「了解」と答えたユーリア。彼女を中心に膨大な魔力が渦巻き、一つの形となって収束し始める。
……これだけでさっきの特二級魔法の半分近くの魔力量はあるな。化物かよ。
「収束せよ」
そう命令した途端、ユーリアが握る剣に膨大な魔力、その全てが一瞬で内包される。
ユーリアが静かに頷き、俺が一歩踏み出す。
「《煌覇》!!」
「《ライジングブレイド》!!」
ドッッッ!!と放たれたのは俺の極紅の戦技、それとユーリアの魔力を込めた戦技──
一撃足りねぇじゃねぇか。
「おいユーリア、お前もう一──」
「繋げて」
身体をひねり、右手に握っていた剣を左手に握る。
「《ライジングブレイド》!!」
先に撃った戦技を、後ろから追い越す第二の戦技。
「おまっ、まさか!?」
「あぁ、二連ぐらいなら成功率二割ぐらいで出来るようになったぞ。連戦技」
笑えねぇ。
ってかこのクソ大切なタイミングで二割に賭けるんじゃねぇ。
文句の一つでも言おうとした瞬間──爆音。
戦技は全て狙った通り、頭、心臓、頭の三箇所を破壊。これで蛇も死んだだろ──
『いや、今代の。こいつ死んでない』
「──あ?」
完璧に心臓を貫いたはず。頭も下顎を残して吹き飛ばされた。確実に死んだはず。
振り返った瞬間、胴を破り、心臓を貫いて作られた穴──そのすぐ横に、規則正しく脈動する赤黒い塊があった。
「なっ──」
絶対に破壊したはず。それは間違いない。
だと言うのに──なぜもう一つ心臓がある!?
「お、おいレィア──」
かけられた声を無視し、全力で前に跳ぶ。距離はまたたく間に零へ。
もう一度戦技を放つ。完膚なきまでに心臓を破壊する!
「戦技──《音狩》!」
音は一度のみ、蛇の腹が大きく横に切り開かれる。これで心臓が見えたっ!
繋げて──戦技。初めてつなぐ戦技同士だが、成功を祈るしかない!
「《終々》!」
ゴポッ。と。
心臓がもう一つ、完全に潰れた。
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