大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

退院と薬

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………この三日間、本当に保健室から出されなかった。トイレって保健室の中にもあったのな。
アーネが何度か俺を部屋に移そうとしたが、先生が「別にこのままでいいよ。そこまで混んでるわけじゃないし。去年の今頃は阿鼻叫喚だったけど」と言い放ち、俺をここに引き留めたのだ。
実際、保健室は割と平穏だった。日に何人も来るのだが、大体は回復魔法を施された後、薬を渡されて終わり。それでも生徒達(たまに先生もいた)は回復魔法を受けた時点で随分と楽になって帰っていく。やっぱりこの人もすげぇんだな…
「…これでよし、斬るなり焼くなりすればいいわ」
と、思っていたら最後の仕上げが終わったらしい。まぁ、仕上げというか検査だが。
「元々、斬られる気も焼かれる気もないんだがな」
「それにしても、なんで背中だけ見せないのかしら?」
男女おとめの秘密だ」
『キモっ』
「端的に言うと気持ち悪いわよ、あなた」
二人共やめてくれ。少しぐらいふざけただけでそこまで言われると思ってなかった。
「あんまり他人に見せられるような背中じゃないんだよ。怪我の跡がな…」
「怪我の跡…?それも背中に?あなた、それってもしかして虐待の跡とかじゃ……」
「ンなのじゃねぇよ。けどそういう訳だ。遠慮してくれ」
「…わかったわ。それと確認しておくけど、右手の方はあんまり衝撃を与えちゃダメよ?治りかけが一番怖いんだから」
「へーへー」
ぐっぱっぐっ、と手を握ったり開いたりしてみるが、痛みどころか違和感すらもない。さすが先生だ。
「あとは……これ。今日と明日、寝る前にこの薬を飲んで、後日私にどうなったか教えてちょうだいね?ちょっとした試験薬だけど、レィア君なら大丈夫でしょう」
「俺はモルモットじゃねぇんだが?」
「安心して。この三日で使った薬は全部試作品だから」
「安心できるかクソ!何勝手に実験してんだ!?」
「その反応を見る限り大丈夫そうね。こっちは大丈夫、と…あとは今渡した方ね」
「飲まねぇからな?絶対に飲まねぇからな?」
「大丈夫、嘘よ」
と言って笑う先生。嘘……だよな?嘘なんだよな?
「けど、その薬はちゃんと飲んでおいてね?」
「…一応確認するが、どんな効果があるんだ?」
「効果そのものは大したことないわ。純粋な魔力を込めただけの魔力補給用の粉末よ?」
………魔力?俺はそんなもの使わないんだが。
「あなた、よく分からないけれど体内の魔力がかなり減ってたわよ?何に使ったのかしら?」
「…そんな記憶はないんだが」
とりあえず受け取っておくが……どうするかね。
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