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本編
勝敗とメッセージ
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さてさて。
とりあえず今回の決闘だが、《臨界点》の棄権により、アンジェの勝利…となるのだが、当然本人が納得しない。
さらに言うと、何を賭けた戦いだったか誰も知らないのだから、今回のの決闘は恐らくアンジェが力試し的な意味合いで《臨界点》に決闘を吹っかけたのだろう。
よほどしつこかったんだろうな…じゃなきゃ《臨界点》があんな手に出るわけが無い。そう思う反面、決闘を受ければよかったのに。とも思わないでもない。
去り際に《臨界点》が何をしたかは俺もシャルもさっぱり分からないのだが、何か小さな欠片のようなものを投げたらしいというのが二人の共通見解だ。
それだけの行動で人ひとりを一瞬で凍りつかせるだけの威力があるのなら、開始とほぼ同時にアンジェを倒す事も出来ただろうに…と。あぁ、余談だが、凍った口の悪い生徒は無事救出された。ガチガチ歯を鳴らしていたが、それは外から来る寒さか、はたまた内から来る寒さか。ともかく彼は二度と《臨界点》に逆らおうとはしないだろう。
そして、それが誰もが思ったからこそ、アンジェは余計に悔しいのだろう。
手を抜かれた。わざと負けられた。ナメられた。
色々と思うところはあるだろうが、皮肉なことに彼女は「勝者」なのだ。それを理由に、《臨界点》は二度と戦おうとはしないだろう。
…なんだ、語ってたら理由がポロリと分かってしまった。だから《臨界点》は負けたのだろう。
そう考えれば割とメリットも大きい気が…しないな。デメリットの方が大きいか。
少なくとも《シェパード》という派閥に大きな打撃を与えた様だ。
ほら、目の前の《雷光》殿もおかんむりだ。
「おい!《臨界点》!聞いているのか!?貴様のせいで──」
さっきからずっとこんな感じ。どうやら、訓練所を出た《臨界点》に、すぐさまメッセージを繋げて説教をしているらしい…先輩に説教というのはどうかと思うが…説教される方が悪いか。うん。
「ええい、切られたか!もう我慢ならん!《緋眼騎士》、悪いが私は《臨界点》を追う!」
意外と《臨界点》も話を聞いていたな。五分は保ったか。
「え?あ、うん。行ってらっしゃい。あんまり無茶な事すんなよー」
…と、言ってはみたものの。ありゃ頭に血が上って聞いちゃねぇな。スキル使って走り去ってったもん。
「………。」
無言で《千変》を少し取り、耳元に当てる。
「《臨界点》」
『了解しました』
以前に繋いだことのあるメッセージだ。それほど時間はかからずに繋がる。
『………。』
「よう、《臨界点》」
『何じゃ、お主か。《緋眼騎士》。あまりに癖が無くて誰か分からんかったぞ』
癖とか言うのは魔力の事だろう。それで個人を識別しているそうな。
「今しがた《雷光》が顔を真っ赤にしてお前を探しに行った。気をつけろよ?」
『ほう、それはまたのぅ…わかった。して、まさか話はこれだけではあるまい?』
流石。話が早い。
「少し話を聞きたい。時間は空いているか?」
『お主の頼みとあらば拒否は出来まいて。今晩の…そうじゃの、夜、日付が変わる頃にそこで会おうぞ』
「そこ…?あぁ、訓練所か」
俺がそう言うと、『ではの』と言ってメッセージが切れる。
とりあえず、俺も退散するとしようか。
…あ?アンジェはそう言えばどこに消えた?
とりあえず今回の決闘だが、《臨界点》の棄権により、アンジェの勝利…となるのだが、当然本人が納得しない。
さらに言うと、何を賭けた戦いだったか誰も知らないのだから、今回のの決闘は恐らくアンジェが力試し的な意味合いで《臨界点》に決闘を吹っかけたのだろう。
よほどしつこかったんだろうな…じゃなきゃ《臨界点》があんな手に出るわけが無い。そう思う反面、決闘を受ければよかったのに。とも思わないでもない。
去り際に《臨界点》が何をしたかは俺もシャルもさっぱり分からないのだが、何か小さな欠片のようなものを投げたらしいというのが二人の共通見解だ。
それだけの行動で人ひとりを一瞬で凍りつかせるだけの威力があるのなら、開始とほぼ同時にアンジェを倒す事も出来ただろうに…と。あぁ、余談だが、凍った口の悪い生徒は無事救出された。ガチガチ歯を鳴らしていたが、それは外から来る寒さか、はたまた内から来る寒さか。ともかく彼は二度と《臨界点》に逆らおうとはしないだろう。
そして、それが誰もが思ったからこそ、アンジェは余計に悔しいのだろう。
手を抜かれた。わざと負けられた。ナメられた。
色々と思うところはあるだろうが、皮肉なことに彼女は「勝者」なのだ。それを理由に、《臨界点》は二度と戦おうとはしないだろう。
…なんだ、語ってたら理由がポロリと分かってしまった。だから《臨界点》は負けたのだろう。
そう考えれば割とメリットも大きい気が…しないな。デメリットの方が大きいか。
少なくとも《シェパード》という派閥に大きな打撃を与えた様だ。
ほら、目の前の《雷光》殿もおかんむりだ。
「おい!《臨界点》!聞いているのか!?貴様のせいで──」
さっきからずっとこんな感じ。どうやら、訓練所を出た《臨界点》に、すぐさまメッセージを繋げて説教をしているらしい…先輩に説教というのはどうかと思うが…説教される方が悪いか。うん。
「ええい、切られたか!もう我慢ならん!《緋眼騎士》、悪いが私は《臨界点》を追う!」
意外と《臨界点》も話を聞いていたな。五分は保ったか。
「え?あ、うん。行ってらっしゃい。あんまり無茶な事すんなよー」
…と、言ってはみたものの。ありゃ頭に血が上って聞いちゃねぇな。スキル使って走り去ってったもん。
「………。」
無言で《千変》を少し取り、耳元に当てる。
「《臨界点》」
『了解しました』
以前に繋いだことのあるメッセージだ。それほど時間はかからずに繋がる。
『………。』
「よう、《臨界点》」
『何じゃ、お主か。《緋眼騎士》。あまりに癖が無くて誰か分からんかったぞ』
癖とか言うのは魔力の事だろう。それで個人を識別しているそうな。
「今しがた《雷光》が顔を真っ赤にしてお前を探しに行った。気をつけろよ?」
『ほう、それはまたのぅ…わかった。して、まさか話はこれだけではあるまい?』
流石。話が早い。
「少し話を聞きたい。時間は空いているか?」
『お主の頼みとあらば拒否は出来まいて。今晩の…そうじゃの、夜、日付が変わる頃にそこで会おうぞ』
「そこ…?あぁ、訓練所か」
俺がそう言うと、『ではの』と言ってメッセージが切れる。
とりあえず、俺も退散するとしようか。
…あ?アンジェはそう言えばどこに消えた?
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